『修正中』イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。

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デート3。

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その後、カフェを出た私たちは海へと続く階段を降りていった。
潮風が頬を撫で、塩の香りがほんのり鼻をくすぐる。

「あの……お会計、本当にいいんですか……?」

カフェを出るときに、神楽さんは代金をすべて払ってくれた。
せめて自分が食べたぶんを支払おうと聞くものの、彼は首を横に振ったのだ。

「払わせるわけないだろ? それに……俺と一緒のときは財布なんて要らないっていうのを覚えてもらいたいしね」

唐突な言葉に、私は息を呑んだ。
聞き返そうとしたが、彼が指差した先に広がる光景が言葉を奪う。

「ほら、海が広がってるよ」

潮の引いた砂浜に、陽光に照らされて波が揺れている。
その光景に、私は目を大きくして立ち止まった。

「わ……海だ……」

寄せては返す波打ち際を並んで歩き、貝殻を拾い、丸い石を見つけては海に投げてみる。
そんな穏やかな時間の中で、かえではふと口を開いた。

「あの……神楽さん……?」
「うん?」
「……私、誰にも言っていないことがあるんですけど……聞いてもらえますか?」

唐突なお願いだった。
でも、私を保護してくれ、『結婚してほしい』と言ってくれる神楽さんには、どうしても知っておいてほしいことだったのだ。

(もしかしたら……この話を聞いて私から興味が削がれるかもしれないけど……)

そんなことを考える私の気持ちを見透かしているかのように、神楽さんは優しい笑みを浮かべ―――

「……いいよ? ゆっくり話して?」

と、歩く足を緩めてくれたのだ。
その歩調に合わせるようにして、隣をゆっくり歩いていく。

「……むかーし、むかし。あるところに……小学5年生の女の子がいました。その女の子は風邪など引いたことがないほど元気で、毎日楽しく暮らしていたのです」

女の子は両親と3人で暮らしており、学校や家、公園などを往復する日々を送っていました。
そんなある日のこと、女の子が学校から帰るとき、一人の男の人が道を聞いてきたのです。

「おじょうちゃん、駅はどっちかな?」

女の子は親切にも、道を教えてあげようとしました。

「えっと、あそこを右に曲がって――――――」

ですがそのとき、男はポケットから取り出したハンカチで女の子の口を塞いだのです。
パニックになった彼女は呼吸を乱し、意識を失ってしまいました。

「……ふふ、おじさんと、ずぅー……っと一緒に暮らそうね」

そう、女の子は誘拐されてしまったのです。
目を覚ましたときには手と足は縛られており、目隠しもされていました。

「ここ……どこ……」

動くことも困難な状況で、彼女は自身の状況に強い不安を覚えました。

「出して……いやっ……! おとうさん! おかあさんっ!」

泣いては叫び、また泣いては叫ぶ。
しばらくすると口にパンが押し当てられ、女の子はそれを必死に食べました。
トイレはおむつをつけられ、そこに……。

「やだよぉ……おうちに帰りたいよぉ……」

何日も、何日も過ぎたある日、警察の人が女の子を見つけ、保護してくれました。
無事に両親のもとへと帰ることができ、ほっとしたのですが―――
ひとつ、トラウマが残ってしまいました。
暗いところがだめなのです。

あの日を―――思い出してしまうから。

「それって……水瀬さん……?」

最後まで話を聞いてくれていた神楽さんは、切ない表情でそう聞いてきた。

「……めでたし、めでたし」
「『めでたし』じゃないだろう……」
「ふふ、この話、翔太にもしたことないんですよ」

こういう話をしたところで、翔太は『へー』としか言わないだろう。
誰かに言う必要もないと思っていたけど、なぜか……知っていてほしくなったのだ。

「俺に言ってくれたのは……どうして?」
「……『好き』って言ってくださったんで……ちゃんと私のことを知ってほしくて……」
「そっか……」

私はしんみりしてしまった空気を変えるため、ひょこっと一歩、大きく踏み出した。

「引きますよね? できるだけ早く家を見つけて出ていきますから……」

そう言って私は歩き始めた。
一歩、また一歩と歩いていくと、ふいに腕が掴まれ、くるっと振り返らされたのだ。

「引く? そんなわけない。俺は知りたい。水瀬さんのことを全部……」

彼の声は真剣だった。
そして、こう続けたのだ。

「……実は、知ってたんだ。誘拐されたことも、ご両親を亡くしてることも。……調べたんだよ、好きになったときに」

その言葉と同時に、神楽さんは私の身体を引き寄せて抱きしめた。

「想いを伝える気はなかった。ただ見てるだけでよかったけど……あの泣いてる姿を見て俺は決めた。水瀬さんを泣かせない、俺が幸せにするって」

胸に響くその言葉は、冷たい潮風よりもずっと熱を帯びていた。

「ストーカーみたいだろ?」
「……そんなふうには見えないですけど……そうなるんですかね……」

神楽さんは絡めていた腕をほどき、私を真剣な眼差しで見つめる。
そして―――

「俺以上に水瀬さんを好きな男は……いない。俺と付き合って……ゆくゆくは結婚してくれない……?」
「それは……」
「返事は今度でいい。とりあえず……帰ろう」

私の肩を抱き、神楽さんは急ぎ足に歩き始めた。

「え?」

なぜ急に『帰る』なんて言い出したのかと思っていると―――

「気づいてない? 身体、冷えてる」

その言葉に、私は両手で頬を触ってみた。
すると、たしかに冷えてしまっていたのだ。

「風邪ひくといけないから。ほら……」

肩だけでなく、手も引いてくれる神楽さんに、私の胸がきゅぅっ……と締め付けられる。
最短ルートで駐車場に戻り、車に乗り込むと、神楽さんはひざ掛けを取り出して私にかけてくれたのだ。

「あ、りがとうごさいます……」
「帰ったら温まって。風呂でもいいし、布団でもいいから」
「はい……」

車は走り出し、来た道を通っていく。
私はひざ掛けに手を置き、ぼーっと外を眺めながらさっきのことを思い返していた。

(私のことを調べたって言ってた……)

この行動は、客観的に見るとアウトだろう。
でも、不思議と嫌な気持ちにならなかったのだ。
これが翔太だったら……ゾッとしていたことは間違いない。

(……)

夜中に家を飛び出した私を保護してくれた神楽さんは、優しくて紳士的だ。
ひとつひとつの行動に、私を想ってくれている証みたいなのが見える。

(私が真っ直ぐ歩けるように、肩と手を引いてくれたんだよね……。車に乗るときはドアを開けてくれて、食事も服も用意してくれて……)

好意がない相手にはしないだろうことをたくさんしてくれたことに、胸が締め付けられる。

(私も好きなのかな……身体が熱い……)

冷えていた身体が温まったからか、頬に熱を感じていた。
瞼が重たくなり、私はいつの間にか……目を閉じていたのだった。


――――――


そんなかえでを、慶は横目で見ていた。
帰路についた車の中で、一言も話さないことに不安を覚える。

(あー……言うんじゃなかった……)

フラれてもおかしくない発言をしたことを後悔しつつ、ハンドルを握る。
往きに会話があったことから、かえでが慶の言葉と行動に引いてしまったと考えていた。

(ずっと外見てるし……)

信号待ちの度に彼女を見るものの、一度も前を向かないかえで。
その様子に、慶はふと異変を感じたのだ。

(ちょっと待て……彼女はいつも店で他愛ない会話を振ってくる。なのに今、一言も話さないっておかしくないか?)

そう考えた次の瞬間、彼女の頬に浮かぶ不自然な赤みと、荒い呼吸に気づいたのだ。

「……まさか」

路肩に車を止め、彼女の額に手を当てる。
その火照りは―――明らかだった。

「水瀬さん? 大丈夫?」
「ぅ……」
「熱があるな……この三日間の疲れが出たか?」

声を潜めながら、慶は彼女の熱い額を自身の手で包み込んだ。

「すぐに家に向かうから……もう少しがんばれ」

ハンドルを握り直し、アクセルを踏み込む。
そして、急いで家に戻ったのだった。


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