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ナンパ。

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翌日の昼。

かえでside・・・




かえで「うわぁ・・・すごいっ!」



初めて・・・(2回目?)のヘリコプターに感動してる私。

眼下に広がる景色が、飛行機よりも近くて感動していた。

でも・・・

バラバラとプロペラの音がすごすぎて慶さんと会話がままならない。



慶「---!?・・・!」

かえで「え!?なぁに!?」

慶「気分悪くないか!?」

かえで「だいじょーぶ!!」




眼下に広がる海を見ながらヘリコプターに揺られること30分。

慶さんが言ってたリゾート地が見えてきた。




かえで「あの島!?」

慶「そうだ!」

かえで「うわぁ・・・。」




さっきまでいた島とは比べ物にならないくらい大きな島だ。

観光客らしき人ががたくさんいるのも見える。



かえで「楽しみーっ。」



ヘリコプターが着陸して、私たちはヘリコプターから下りた。




かえで「ふらふら・・するっ・・・。」



ヘリコプターの振動に負けたのか、まっすぐに歩けない私。

すかさず慶さんが支えてくれた。



慶「ほら。大丈夫?」

かえで「ふふ。ありがとう。」



支えてもらいながら歩くこと10分。

しっかり自分の足で歩けるようになった私は、慶さんと一緒に手を繋いでショッピングを楽しむ。




かえで「あれかわいいっ・・!あっちも見たいし・・・うーん・・・。」



どのお店に行くか悩みながらみてると、慶さんが私の手を引いて歩き始めた。



かえで「?」

慶「全部見るんだよ。1週間あるんだし。」

かえで「!!・・・うんっ。」





一番端のお店から順番に入ってウインドウショッピングを楽しむ。

食べ物屋さんに入って、食べ歩きをしたり・・かわいい小物を見つけて買ったり・・・。



ずっと歩きっぱなしだった私は疲れてしまい、途中にあったベンチに腰を下ろすことになった。



かえで「疲れた・・。」

慶「ならちょっと待ってな?飲み物買ってくる。」

かえで「はーい・・・。」




お店に向かっていく慶さんの後姿を見送る。




かえで「私が買いに行こうにも・・・英語がわかんないんだよね・・。」




この島に着いて買い物に行った時に気がついた。

この国は・・・日本語が通じなかった・・・。



かえで「すごいなー・・慶さん。英語、普通に喋ってるんだもん。」



買い物は全て慶さんに聞いてる。

何を書いてるのかもわからないし、店員さんの説明もさっぱりわからなかった。

全部慶さんに訳してもらっていた。




かえで「勉強したほうがいいのかな。でも今更覚えられる自信がない・・・。」



ケータイを取り出して翻訳アプリを起動する。

いろいろ打ち込んで見てると、私の前に誰かが立ち止まった。



かえで「?」



見上げてその姿を確認すると・・・外人さんだった。



かえで「え・・・。」

外人「(英語で)キミ、観光客?」

かえで「え?え?」

外人「(英語で)かわいいねぇ、案内してあげるよ。おいで?」

かえで「??」




何を言われてるのかわからない。

腕を持たれてぐいぐいと引っ張られるのだけはわかった。

これは・・・嫌な予感がする。



かえで「あの・・私、言葉がわからないです。」

外人「(英語で)ほら、おいしいご飯でも食べに行こうよ。」

かえで「?」



もう立つ元気もない私は、腕を引っ張られても立ち上がることすらできなかった。



かえで「あの、困ります。大事な人が来るんで・・・。」



そう言った時、外人さんの後ろに慶さんが現れた。



慶「(英語で)おい・・人の女、ナンパしてんじゃねーぞ。」

かえで「慶さんっ。」

外人「(英語で)はぁ?お前の女だ?」

慶「(英語で)その辺の海に沈められたくなかったら失せろ。それとも二度とナンパなんかできないようにその口・・・縫ってやろうか?」

外人「!!」




慶さんと外人さんは言葉を交わして、そのあと外人さんが走り去っていった。



かえで「?・・・なんて言ってたの?」

慶「うん?人を探してたんだってさ。かえでと間違えたみたい。」

かえで「そうなんだ。」

慶「ほら、飲み物。これ飲みながら休憩しよう。」

かえで「ありがとう・・・ごめんね?頼りっぱなしで・・・。」



一人で買い物はできないわ、すぐに疲れて歩けなくなるわ・・・




慶「俺はいいけど・・・元々かえでとは体力も違うしな。」

かえで「・・・鍛えてる・・んでしょ?慶さんに勝てる人はいないって聞いたよ?」

慶「!!・・・誰に?」

かえで「門番さん。」




結構前に聞いたことを、ふと思い出した。

いつも勝てないっていうことと、慶さんに勝てるのは私くらいって言われたことを。



慶「あいつはなー・・・気を抜くとやられる。だからいつも真剣に試合してるよ。」

かえで「そうなんだ。あ、あとね、門番さんが言ってたんだけど、慶さんに勝てるのは私くらいなものって。」

慶「え?」

かえで「勝てるわけないのにねぇ。」



もらった飲み物を口に含み、私は慶さんを見た。



かえで「・・・え?」

慶「ーーーっ!」



口もとを手で押さえながら顔が少し赤くなってる。



かえで「どうしたの?」

慶「あ・・・いや、その通りだと思って・・・。」

かえで「・・・え!?」

慶「そりゃ本気でやればかえでくらいねじ伏せられるけど・・・そんなことできない。」

かえで「・・・『できない』?」

慶「ケガなんてさせたくないし・・・痛い思いもさせたくない。だから・・・俺はかえでに勝てない。」

かえで「!!」




慶さんが私を大事にしてくれてるのはわかってたけど・・・改めて思い知らされた。






かえで(・・・私はこの人が注いでくれる愛情に見合うだけのものを返せるんだろうか。)




そんなことを思いながら私はベンチから立ち上がった。

慶さんの手にある空っぽの入れ物。

それをもらって私はお店に向かって数歩歩き始めた。



かえで「捨ててくるね。」

慶「・・・うん。」



歩きながらさっきのことを考える。

私が慶さんを好きなことは事実だけど、慶さんは私が想う以上に私を想ってくれてる。




かえで(私ももっと好きって伝えれたらいいんだけど・・・。)



空っぽの入れ物をゴミ箱に捨てて、私は慶さんのところに戻ろうと足を向けた。

そのとき、私の目に見たくないものが飛び込んでくる。



かえで「慶さんが・・・ナンパされてる・・・!」



二人の女の人に話しかけられてる慶さん。

困ったように何か言ってるけど、女の人のほうがぐいぐいと話しかけてて強気だ。



かえで「や・・やだ・・!慶さんは取られたくない・・・!」



私は鞄からケータイを取り出した。

さっき開いてたアプリを見る。



かえで「あっ・・・あった!」



書いてある内容を覚えて、私は慶さんのところに走っていった。





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