彼は救いの鞭を待っている

奥村康弘は被虐趣味の持ち主だ。しかし、本人はそれを受け入れられずにいた。
自分は異常であるという強迫観念に囚われ、性癖をひた隠しにして「普通」に固執する奥村の下に、一人の後輩が配属される。
市川優紀という物腰柔らかな後輩は、飲み会の席で好きな女性のタイプについて尋ねられた時、事も無げにこう答えた。

僕は、黒髪眼鏡で放っておけないような雰囲気の"男性"がタイプですね――と。

自らのマイノリティな性癖を受け入れて正直に生きている市川を見て、奥村は羨望と僅かな嫉妬を覚え、心乱されていく。
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