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父親との再会
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「アンナ、まさかそんなことになっていたとは。悪い噂を聞いてはいたが、気づくことが出来ずに済まない!」
それから調査がひと段落したところでアスカム家の屋敷に、私の父上、スペンサー公爵がやってきました。
「いえ、嫁いだ以上はその家の一員になるので、父上に泣きつこうとは思っていませんでした」
私はベンの態度が悪くても父上に伝えてベンの態度を改めさせようとはしませんでした。
そもそも父上が出てきたところで状況が改善するとは思えませんでしたし。
父上経由でアスカム公爵がベンに強く言ってくれれば一時的にはマシになったかもしれませんが、今回のように屋敷を離れてしまえば同じ結果になっていたと思います。しかも実家に告げ口したと分かればベンは今回よりもさらに怒っていたでしょう。
「そうか、その心がけは立派だが、妻を軟禁して別の女を屋敷に連れ込むなどもっての他だ!」
「それは私も気がつきませんでした」
父上は私の親ということで、一番怒っているところは浮気行為だったようです。
続いて父上は私の傍らに立つデニスの方を見ました。
「デニス君、今回は娘を助けてくれてありがとう」
「僕もまさかここまでまずいことになっているとは思いませんでしたが、お役に立てて良かったです」
「一体何があったんだ?」
「実は……」
そう言って私たちはベンとベンの家臣の悪行を説明します。元々ベンに対して怒りを抱いていた父上ですが、話を聞くにつれてどんどん表情が険しくなっていきました。
「全く、一度聞いただけでは信じられないことだ。しかもベンはこの期に及んで自分のことしか考えていないし、アスカム公爵は領地に出向いているなど……」
「かくなる上はスペンサー公爵に収拾をつけていただくほかありません」
「分かった。とりあえずこの屋敷は一番有能な家臣の方に管理していただくとしてベンは謹慎させておく他あるまい。とはいえ屋敷にいるとまた悪さをするかもしれないからうちで預かろう」
父上はテキパキと事態の収拾案を考えていきます。
「あの、私は一体どうすれば……」
「アンナはとりあえずうちに帰ってきなさいといいたいところだが、アスカム家に嫁いだ以上、屋敷に残りなさい」
「え?」
父上の言葉は私にとって少し意外でした。
とはいえ屋敷からベンがいなくなるのであればそれも悪くはないのかもしれません。
「いくら何でも家臣だけに任せておく訳にはいくまい。アスカム公爵がここに戻ってきて、正式に離縁が決まるまではしっちゃかめっちゃかになっている屋敷をどうにかするのが最後の仕事だ」
言われてみれば確かにそうです。ベンの不始末についても私に責任がない訳ではありません。
「分かりました」
「では任せた。デニス君も本当にありがとう、また落ち着いたら改めてお礼をしよう」
「はい」
こうして父上は失意のベンの元に向かったのでした。
父上は父上でベンを連れていくという大仕事があるので忙しいです。
それから調査がひと段落したところでアスカム家の屋敷に、私の父上、スペンサー公爵がやってきました。
「いえ、嫁いだ以上はその家の一員になるので、父上に泣きつこうとは思っていませんでした」
私はベンの態度が悪くても父上に伝えてベンの態度を改めさせようとはしませんでした。
そもそも父上が出てきたところで状況が改善するとは思えませんでしたし。
父上経由でアスカム公爵がベンに強く言ってくれれば一時的にはマシになったかもしれませんが、今回のように屋敷を離れてしまえば同じ結果になっていたと思います。しかも実家に告げ口したと分かればベンは今回よりもさらに怒っていたでしょう。
「そうか、その心がけは立派だが、妻を軟禁して別の女を屋敷に連れ込むなどもっての他だ!」
「それは私も気がつきませんでした」
父上は私の親ということで、一番怒っているところは浮気行為だったようです。
続いて父上は私の傍らに立つデニスの方を見ました。
「デニス君、今回は娘を助けてくれてありがとう」
「僕もまさかここまでまずいことになっているとは思いませんでしたが、お役に立てて良かったです」
「一体何があったんだ?」
「実は……」
そう言って私たちはベンとベンの家臣の悪行を説明します。元々ベンに対して怒りを抱いていた父上ですが、話を聞くにつれてどんどん表情が険しくなっていきました。
「全く、一度聞いただけでは信じられないことだ。しかもベンはこの期に及んで自分のことしか考えていないし、アスカム公爵は領地に出向いているなど……」
「かくなる上はスペンサー公爵に収拾をつけていただくほかありません」
「分かった。とりあえずこの屋敷は一番有能な家臣の方に管理していただくとしてベンは謹慎させておく他あるまい。とはいえ屋敷にいるとまた悪さをするかもしれないからうちで預かろう」
父上はテキパキと事態の収拾案を考えていきます。
「あの、私は一体どうすれば……」
「アンナはとりあえずうちに帰ってきなさいといいたいところだが、アスカム家に嫁いだ以上、屋敷に残りなさい」
「え?」
父上の言葉は私にとって少し意外でした。
とはいえ屋敷からベンがいなくなるのであればそれも悪くはないのかもしれません。
「いくら何でも家臣だけに任せておく訳にはいくまい。アスカム公爵がここに戻ってきて、正式に離縁が決まるまではしっちゃかめっちゃかになっている屋敷をどうにかするのが最後の仕事だ」
言われてみれば確かにそうです。ベンの不始末についても私に責任がない訳ではありません。
「分かりました」
「では任せた。デニス君も本当にありがとう、また落ち着いたら改めてお礼をしよう」
「はい」
こうして父上は失意のベンの元に向かったのでした。
父上は父上でベンを連れていくという大仕事があるので忙しいです。
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