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会食
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「ここだよ」
フィリエル殿下に連れられてきたのは、王都でも一、二を争う高級レストランだった。
当然私は入ったことなんてない。
「そこまで緊張する必要はないよ」
「そ、そう言われても」
「それじゃあ行こうか」
「はい」
フィリエル殿下とともにレストランの中に入っていく。
中もやっぱりきらびやかなデザインで、ウェイターの態度一つとっても洗練されていた。
「こちらです」
ウェイターに案内されてある個室へと向かう。
「フィリエル殿下の言っていた『私に会ってほしい方』というのは結局誰なんですか?」
「すぐにわかるよ」
個室の中に入る。
そこにいたのは――
「おお、やっときたか息子よ。待ちくたびれたぞ」
「はは、すみません父上。これでも時間通りですけどね」
……ん? 息子? 父上?
「紹介するよ、レイナ。僕の父上だ」
「こうして面と向かって話すのは初めてだな、レイナ・ミドルダムよ。儂がフィリエルの父親――つまりサザーランド国王だ」
「……!?」
えええええ。
と、声を上げなかっただけでも褒めてほしい。
フィリエル殿下が私に会わせたかった人って……国王陛下!?
レグルス・サザーランド国王陛下。
この方は政治手腕だけでなく、革新的な考え方で知られている。
ずっと戦争状態にあった隣国を、たった数年で仲のいい友好国に変えてしまった逸話は有名だ。
仇敵の国を滅ぼして自国の領土に変えるのではなく、よきパートナーとして認識し直す。
それは並の為政者にはできないことだろう。
そのためレグルス陛下は、歴代トップクラスの『賢王』として知られている。
「ご、ご尊顔を拝謁できましたこと、たいへん光栄に存じます。私はレイナ・ミドルダムと申します」
「はは、そう構える必要はない。今日は公務で来ているわけではないからな」
「そ、そういわれましても」
「本当に気にすることはないよ。単に息子の友人と会って話してみたいと思っただけだからね」
レグルス陛下の周囲には護衛が二人いるけれど、ご本人はいたってラフな服装だ。
表情も穏やかなもの。
どうやら本当に単なる休日という感じだ。
……まあ、ミドルダム家の令嬢相手に政務として会う必要も特にないと思うけど。
フィリエル殿下に連れられてきたのは、王都でも一、二を争う高級レストランだった。
当然私は入ったことなんてない。
「そこまで緊張する必要はないよ」
「そ、そう言われても」
「それじゃあ行こうか」
「はい」
フィリエル殿下とともにレストランの中に入っていく。
中もやっぱりきらびやかなデザインで、ウェイターの態度一つとっても洗練されていた。
「こちらです」
ウェイターに案内されてある個室へと向かう。
「フィリエル殿下の言っていた『私に会ってほしい方』というのは結局誰なんですか?」
「すぐにわかるよ」
個室の中に入る。
そこにいたのは――
「おお、やっときたか息子よ。待ちくたびれたぞ」
「はは、すみません父上。これでも時間通りですけどね」
……ん? 息子? 父上?
「紹介するよ、レイナ。僕の父上だ」
「こうして面と向かって話すのは初めてだな、レイナ・ミドルダムよ。儂がフィリエルの父親――つまりサザーランド国王だ」
「……!?」
えええええ。
と、声を上げなかっただけでも褒めてほしい。
フィリエル殿下が私に会わせたかった人って……国王陛下!?
レグルス・サザーランド国王陛下。
この方は政治手腕だけでなく、革新的な考え方で知られている。
ずっと戦争状態にあった隣国を、たった数年で仲のいい友好国に変えてしまった逸話は有名だ。
仇敵の国を滅ぼして自国の領土に変えるのではなく、よきパートナーとして認識し直す。
それは並の為政者にはできないことだろう。
そのためレグルス陛下は、歴代トップクラスの『賢王』として知られている。
「ご、ご尊顔を拝謁できましたこと、たいへん光栄に存じます。私はレイナ・ミドルダムと申します」
「はは、そう構える必要はない。今日は公務で来ているわけではないからな」
「そ、そういわれましても」
「本当に気にすることはないよ。単に息子の友人と会って話してみたいと思っただけだからね」
レグルス陛下の周囲には護衛が二人いるけれど、ご本人はいたってラフな服装だ。
表情も穏やかなもの。
どうやら本当に単なる休日という感じだ。
……まあ、ミドルダム家の令嬢相手に政務として会う必要も特にないと思うけど。
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