悪役令嬢と魔王

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王子とマイア

③王子狂乱

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 宰相は、レオン達と別れると、そのまま王子の部屋へ向かった。

(さて、まだ王子はアリス様の相手をしている可能性がありますね。ですが、公爵家も騒いでいますし、今後の準備もありますから、急いだ方がいいでしょう)

 部屋の前に行くと近衛兵が立っている。

「緊急の用だ。中に入るぞ」

「ですが、王子から中へ誰も入れるなとの命令です」

 近衛兵は、慌てて、そう告げた。

「構わん。それとも何か?宰相のわたしに指図するのかね?」

(やはりお楽しみ中でしたか)

「い、いえっ。滅相もないです」

 近衛兵は、ギラリと睨む宰相に固まったようになった。それには見向きもせず、ドアを開け、中へと入っていく。

「うっ、ひゃぁひゃぁひゃぁ。何がレオンだ。貞淑ぶっているが、いやらしく腰をふりやがって、うりゃうりゃ」

 ベッドの上で四つん這いになったアリスを後ろから激しく突いているところだった。首には、首輪を装着し、リードを引っ張ると、苦しそうにアリスは背中を反らした。

「あ゛ぁ゛~~~っ、もう許して、あっ、あっ、あっ、ぁあああっ」

 宰相は、何度か舞踏会でアリスを見たことがある。絶世の美女の名にふさわしい美しさと気品を兼ね備えていた。見る者を魅了し、安易に近づけない気高さがあった。

 それが、今は牝犬のように卑猥な体位で、快楽を貪っているところだった。美しい顔立ちはいささかも変わらないものの、汗によって髪が顔にへばりつき、口からは快感のせいか、それとも首の絞まった首輪のせいか、涎を垂らしている。

 宰相は思わずゴクッと唾を飲み込んだ。だが、すぐに意識を切り替えた。

「オースティン王子。こんな時に申し訳ありません」

「うん?何だ~?」

 王子は、アリスを嗜虐的に責めることに夢中になっていた。サディステイックな笑みを浮かべ、狂気に満ちた瞳を宰相に向ける。

 王子が腰を突き上げるたびに、陰茎が蜜壺を抉り、ぐちゅっ、ぬちゅっという卑猥な音が耳に届いた。音を聞いただけで、宰相は妖しい気分にさせられる。

「至急、内密な話があります。今回の問題と王子が熱望していましたアルバーン公爵家の件についてでございます」

「宰相、それよりもこの女を見てみろ。さっきまでオレに噛みつく勢いだったのに、王家に伝わる媚薬を使った途端、発情した牝犬になりやがって。うりゃ、うりゃ、王子であるオレに失礼な態度を取りやがって。しっかり躾けてやるからな。覚悟しろ」

 媚薬に犯された秘部を突きながら、パチーン、パチーンっと雪のように白く臀部を容赦なく手のひらで叩いていた。吸い付くようなキメの細かい肌が、手のひらによる痛みによって赤く染まっていく。

「ひぃ、ひぃいいいーーーお許しを……お許しください」

「いや、許せねぇーな。オレの心の痛みが分かるように、しっかりそのお尻に刻みつけてやる」

 宰相の目の前で、王子は狂ったように、アリスのお尻を叩いていった。驚くことに、アリスの身体が小刻みに痙攣し始める。

「ぁ゛ぁ゛あ゛~~ぁあああっ、だめ、だめ……ぁひぃいいっ、いぐっ、いぐっ、いっぢゃいます……」

「お尻を叩かれてイクッのかよ。全く何が絶世の美女だよ。お尻を叩かれて悦ぶ変態じゃないか、くくく」

 そう言うと、ズトーンっとギリギリまで引いた腰を叩きつけるように腰を突き出した。どうやら王子の肉棒が、アリスの深いとこまで突き刺したようだ。

「ぁあああああっ、いぐっ、いぐぅううううううーーーーー」

「あぁん?勝手にイッてんじゃねーよ。誰がイッていいって言った?」

「ハァ……ハァ……ご、ごめんなさい」

 ぐいっと首輪のリールを引くと、う゛ぅっと呻く。それに構うことなく引っ張り上げ、アリスの上半身を起き上がらせる。そして、耳元で囁いた。

「いや、許さねぇーな。オレの言うことは絶対だ。牝犬らしくオレに従わねぇーと、婚約者のレオンを殺しちゃうよ」

 アリスの目がぎょっとし、ほんのり艶づいていた顔色が青ざめる。この王子ならやりかねない、という表情をしている。

(レオン様が殺されてしまう)

 宰相もいつか婚約者のレオンを殺すのではないかと、直感が訴えていた。

「そ、それだけは。お願いです。何でも言うことを聞きますから、レオン様だけは許してください。わたしは、どうなっても構いませんから」

「どうしようかな~?アリス、おまえの態度次第だな」

 耳を甘噛みし、形の良い豊かな胸には、王子に似合わず、優しい愛撫を続ける。乳首をカリカリと指で弄ると、ピクッとアリスの身体が反応した。

「あぁぁぁ、何でもします。ですから、レオン様には手を出さないで」

 アリスは美しい顔を歪ませ、必死に哀願した。

「ならさ、オレを婚約者だと思って、心から愛してよ。そしたら、考えてもいいぜ」

「そ、そんな……」

(こんな男を愛するだなんて、できるわけないわ)

「できないのか?なら、殺そうかな~」

「ま、待って……愛します」

 俯いたまま、じっと悔しさを噛みしめる。

「うん?何て……?」

 聞こえているだろうにわざとらしく耳に手を置き、聞き耳を立てる振りをする。悔しさとレオンへの申し訳ない気持ちで、胸が張り裂けそうだった。それを、鼠を猫がいたぶるような目つきで、愉快そうに見つめている。

「愛します。王子様を愛しますから」

「そっか。ただし、形ばかりじゃダメだからな。心から愛すんだぜ」

 王子は、念を押すと、アリスとともに前に倒れ、ベッドに俯せになった。アリスの張りのあるお尻の上に王子の腰がのっかり、王子の巨悪な肉棒が後ろからアリスの蜜壺に突き刺さったままになっている。

 アリスの腹部の下に大きな枕を二つ敷いて、腰を浮かせると、寝バックのまま右手をアリスの秘部に忍ばせた。右手の指には、アリスの理性を奪った王家秘伝の媚薬がたっぷりと塗られていた。

 すでに何度も陰核は媚薬を塗られ、陰核の周りを媚薬で膜が張ってある。そこを、さらに嬲るように、指がヌルヌルと剥き出しの陰核を扱き始めた。

「そ、そこ……そこだめぇ……ぁああっ、感じてしまいます」

「アリスのクリトリスは敏感だもんな。こうやって扱かれるの好きだろう?」

 乱暴な言葉使いに反して、王子の愛撫は繊細だ。心憎いばかりの優しい愛撫を繰り返し、宝物を愛おしむように媚薬の上を滑っていく。

 指が、スゥーーっと根元から神経の塊を撫で上げると腰がピクンッと跳ね上げた。すると、膣に嵌まっていた肉棒が、ズリズリと膣壁を擦り、膣奥を突く。

「ぁ~~あああっ、お、奥まで……おかしくなっちゃいます」

「くくく。奧が気持ちいいんだろう?ほらっ、ここだろう?ここが感じるんだろう?」

 アリスの感じるところを亀頭が見つけると、喜々として執拗に突いていった。と同時に、指のはらを陰核の頭の上にのせると、小刻みに振動を与える。

「あ゛ぁ゛あああっ、か、感じる……感じちゃいます……ぁ、ああっ、あああああっ」

 媚薬の効果か、アリスの感度がさらに高まっているようだ。陰核が、ピクピクと痙攣し、愛液が大量に噴き出た。スタイルのいい身体が、ガクガクと震える。

 一度イッてさらに疼きが増していく。勃起しきっている陰核は、さらなる刺激を欲して、ズキンズキンと脈打っている。宝物に触れるような繊細なタッチは、次第に焦れったく感じるようになってしまう。

「クリトリスをこんなに膨らませやがって。オレが、もっと大きくさせて、いつでも感じるようにさせてやるからな」

「い、いやぁ……そんなのだめ、ぁ、ぁふっ、あぁんっ、はぁああっ」

「さっきから身体をもじもじさせてどうしたんだ?うん?」

(薬のせいかしら。が、我慢できない)

 小刻みに陰核を揺らしていた指が、触れるか触れないかの絶妙な指技に代わり、せつなさがアリスの官能を蕩けさせていく。ぐちゅっ、ぬちゅっと蜜壺を突かれ、気が遠くなるような心地よさに襲われながら、一方で身体の奥底で妖しい欲求が急速に膨らんでいった。

 王子の指を追うように、腰をカクカクと腰を振る。すると、陰核が、指で擦れ、痺れるような甘い快感がアリスの身体を悦ばせた。焦らしに焦らされただろうか、一瞬の快感が、蕩けるような甘美なものに、感じ、もっともっとと催促してしまう。

「おいおい。絶世の美女と呼ばれた女が、はしたなくおねだりか?」

 スドンと奧へ肉棒を突き上げる。すると、膣肉が肉棒に絡みつき、きゅっきゅっと締めつける。

「あ゛ぅ゛ぅ゛っ、ち、違うの……」

 腰を揺らし、陰核を指に押しつけてくるのを、指に感じながら口角を上げる。清楚な美女が官能に溺れていく姿を見るのが、楽しくてならない。

「何が違うってぇ~んだよ」

「ぁ、ひぃいっ、ぁああああっ、いくっ、いくっ……いくっ」

 腰を跳ね上げ、俯したまま痙攣するアリスを容赦なくさらに責め立てる。子宮口が下りて、肉棒を締めつけ、意思とは関係なくアリスの膣は王子の精液を欲しいとせがんでいるようだった。

 それとは別に、陰核は激しい刺激を欲してカァーっと熱を帯びていた。まるでそこだけ麻薬中毒に犯されているように、人間の意思など無力だと嘲笑うかのように性的快感を求めている。

「なぁ?どうして欲しいんだ?言えよ。言ったら可愛がってやるぜ」

(そんな恥ずかしいこと……)

 ガーゼで傷口をそっと包むように陰核を優しい手つきで触れると、微かな刺激を繰り返す。焦れて陰核を押しつけようとすると、指がそっと離れる。

{お、おかしくなっちゃう)

「い、弄って……もっと強く弄ってください」

 恥ずかしいお願いをしていることは自覚している。が、口に出させずにはいられないほど、おいこまれていた。クリトリスを強く扱いて欲しい、なんなら潰して欲しい。頭の中は、そんな欲求でいっぱいだった。

「どこを弄って欲しいんだ?はっきり口でいわねぇーとな。弄ってやるかどうかは、分からんがな」

 どこまでも意地の悪い言葉に、普段なら絶対口にできない言葉を出してしまう。

「ク、クリトリス……アリスのクリトリスをもっと強く弄ってください」

「ここを責められるのが好きなんだよな?」

「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁっ、ひぃ、ひぐぅうーー」

 細心の注意で触れるのを拒んでいた指が、アリスの陰核を無造作に摘まんだ。その途端、電流を浴びたようにピクピクと痙攣し、潮まで噴き出して、王子の手にかかる。

「どうなんだよ?うん?」

 赤く充血しきって、プクッっと膨らむ陰核を滑るように扱いていく。

「あぁ、ひぃいい、そ、そうです……ぉおおっ、すごい、すごい……好き、クリトリス扱かれるの好き」

 剥き出しの研ぎ澄ました神経を、力強く扱かれては、みんなの憧れる美貌も、はしたないほど快楽に溺れたものに成り果てていた。頬はだらしなく緩み、口端から涎を垂らす姿は、社交界で垂涎の的だった美しさは見る影もなかった。

「こうやって強く扱かれるのが好きなんだよな」

「あ゛ぁ~~~ぁぁぁっ……好き、強く扱かれるの好き……あ゛、ぁ゛、ぁああああっ、もっと、もっと弄って」

「すげぇーな。オレのチンポが食いちぎられそうだぜ。よっぽど気持ちいいんだろうーな。ほれっ、勃起クリチンポで何度でもイカせてやるからよ」

 寝バックで突かれるたびに、蜜壺からタラタラと愛液を溢れさせた。この世の天国ともいえる中で、陰核への扱きは、あまりにも強烈な快感を与え、脳内麻薬で抜け出せなくなるのではないかと思うほどだった。

 ズンズンズンと次第に激しく腰を打ちつける。指が、陰核をヌルリヌルリと扱く手を早めていった。

「お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛~~っ、お゛っ、お゛っ、お゛っ、あぅ゛ぅ゛~~ぅううっ、ひぐっ、ひぐっ、ひぃいいいいーーー」

「あぅっっっ、すげぇーー締め付けだ。オレも出すぜ」

 絶頂に浸る間もなく、王子は、さらに責め立てる。膣が、陰核が強烈な快感の波によって飲み込まれていく。

「う゛ぉ~~お゛お゛お゛ぉぉっ、イ゛ッッっだ、イ゛ッだから~~、ぁあ゛あ゛っ、もうだめぇぇーー」

 シュッシュッシュッっと、陰核を指が高速で動き、息の根が止まらんばかりに扱きまくる。脳内のあちこちで次々と快感の花火が爆ぜ、弾けていく。これほど暴力的で、甘美な刺激があっただろうか。

「ほらっ、ほらっ、ほらっ。クリトリスが気持ちいいだろう?」

「い゛ぃい゛~~っ、ぎも゛ぢい゛~ぃいいっ、じぬ゛、じぬ゛ぅううーーぁあああああっ」

「イクぜ~~~。ぉおおおおおおっ」

 快感に歓喜にむせぶ媚肉が、王子を蕩けさせた。
 
 陰茎が射精のためにぐっと膨らみ、ボルチオを圧迫する。尿道を通り、大量の精液が、アリスの膣奥に放たれた。膣奥に灼けるような熱さを感じ、溜まっていたマグマが一気に爆ぜる。

「ひぃいいいいいっ、いぐっ、いぐっ……まだ、いっじゃぅうううううーーー」

 アリスは、為す術なく絶頂へと誘われていった。白目を剥いて背中を仰け反らせると、ガクガクと何かに取り憑かれたように痙攣した。そして、そのままバタリと力尽きたようにベッドに伏してしまった。




 
 静かになったのを見計らって、再び声をかけた。

「王子。アリス様の件についてお話があります。それと、マイア様のことについても」

「あぁ?マイア?アルバーン公爵家か」

 王子もベッドで潰れた蛙のように裸体を晒し、ピクッピクッと痙攣しているアリスに視線を向けると、しばらく休憩を入れようと思ったのか、服を着始めた。

「はい。どちらも急いだ方がいい案件かと。二人きりでお話をしたいのですが」

 ちらっとアリスを見ると、王子も理解したように、頷いた。王子の「分かった」という声を聞き、宰相は、頭を下げると、部屋を出て行った。










「それで?話しって何だよ。アリスのことは、国王がなんとかしてくれたんだろう?」

 王子は、疲労回復薬をゴクゴクと一気に飲んだ。どうやらこのあと、またアリスの調教を再開するようだ。

「国王陛下の命令でアリス様は、正室として迎えることになりました。今は、王宮で花嫁修行中ということになっています」

 宰相の言葉を聞いて、王子は、吹き出すと、大笑いし始めた。

「あははは。花嫁修行中だって……うける~。確かに、花嫁修行中にちげぇーねーわ。」

「婚約者のレオン様と実父のハリス男爵が王宮に連れ戻しに来ましたので、アリス様を正室にすることを告げました。ですが、聞き入れられず、やむなく牢に閉じ込めています」

「牢屋に?うひゃひゃひゃ、もう最高。アリスは、これを聞いたらどんな顔をするかな?楽しみで仕方ないわ」

「すぐにでもウ゛ァレンタイン公爵が、レオン様の釈放とアリスの返還を要求すると思われます」

「ありえねぇーな。アリスは、もうオレのものだ。返還要求っていうのは、国王の命令を無視するってことだろう?反逆罪じゃないか。ウ゛ァレンタイン公爵も一緒に牢屋にぶちこんでやれよ」

「公爵にあちこちで騒がれてもらっても困りますし、しばらく牢で大人しくしてもらった方がいいかもしれませんね」

「その間の中央部は、おまえが面倒みればいいじゃないか」

 王子は、ニヤッと宰相に意味ありげな笑みを浮かべた。すぐさま、宰相は、その意図を察知した。いや、正確には、宰相は、最初からそれがねらいだったのである。

 エイジス国には、王家の下に三大公爵が、貴族達を束ねている。

 エイジス国の西部が、王家から独立していて、実質対等のアルバーン公爵家。

 西部は特に肥沃に恵まれ、領民達も豊かな暮らしを送っている。それは、アルバーン公爵家の治政がうまくいっている証でもあるのだが、王都以上に発展している西部を快く思わない貴族達も多い。

 中央部は、ウ゛ァレンタイン公爵。西部が、自由闊達で、商人を中心とした商業国家に近いとすれば、中央部は、古き伝統に固執した貴族国家といったところだ。政治の機微に聡く、政治権力闘争に明け暮れている。

 そして、東部は、宰相アルフレッド公爵家が治める。隣国に軍事国家ソート国があるため、軍事に力を入れ、軍部の主要なポストは、すべて東部出身者となっている。そのため、宰相の発言は、エイジス国においてかなり重く受け止められる。

 中央部まで宰相が支配するということになると、実質エイジス国で最も権力のある座に着くことになり、国王はお飾りに過ぎなくなってしまうことを意味していた。

 だが、野心は、それだけに止まらなかった。

「分かりました。それから、マイア様は、正室ではなく、側室として迎えます。その場合、アルバーン公爵家が、婚約を破棄する可能性があります。そこで、オースティン王子には、アルバーン公爵家に婚約者としての挨拶ということで出向き、マイア様を王子の力で籠絡して欲しいのです」

「ようするに、マイアをオレの言うことを何でも聞く性奴隷にすればいいってことだろう?気が強い女だっていうじゃないか。そんな女を屈服させて、牝犬することがオレの生きがいだからな。楽しみでならないぜ」

 王子はサディスティックに微笑んだ。嗜虐の血が沸き立つ。

「王子なら容易いことでしょう。婚姻とともにアルバーン公爵家にぜひ飲んでもらうものは、

 一つ目は、王家とアルバーン公爵家は対等ではなく、王家には絶対服従であること
 二つ目は、東部や中央部と同じように、税収を今後王家に支払うこと。その際、西部は、豊かさに応じた多額の税収を支払うこと
 三つ目は、ハイバン帝國との交易はすべて王家が行うこと

 の三つです。

 これで莫大なお金が、王家に入ることになります」

「どうせそのお金の管理は、おまえがすることになるんだろう?」

「それがわたしの仕事ですので」

 宰相のねらいは、これまで手の出せなかったアルバーン公爵派の西部まで力を及ぼし、エイジス国を完全に支配することだった。西部が税収を支払うことになれば、間接的に宰相も潤うことになる。ただ、税収ということであれば、金額も決まっており、自由にできるというわけではない。金銭的な面でいえば、長年アルバーン公爵家が独占してきたハイバン帝國との交易が最大の魅力だった。

 ハイバン帝國は、土地に恵まれておらず、災害も起きやすい。そのため、いつの時代も貧しい生活を強いられてきた。弱者であるハイバン帝國は強者に服従するしかなく、弱みに付け込んで、どんな要求でもすることができる。独占的な交易をアルフレッド家が行えるようになれば、ハイバン帝國を血の一滴まで吸い尽くせるのだ。これほど、うまい蜜はない。

「まっ、いいさ。政治にも金にも興味はねぇーしな。オレは、自分の好きなようにさせてくれるなら文句はねぇーよ。おまえも好きなようにすればいいが、オレの尻ぬぐいだけはしっかりしてくれよ」

「もちろんです。わたしは、王子の忠実な家来ですので」

 宰相は、慇懃に頭を下げた。

「もう話は終わりだよな。オレは、今から大事な花嫁修業に付き合わないといけねぇーからさ」

 アリスのことが頭に浮かんだのか、好色な顔つきに変わり、王子は、さっさと部屋を出て行った。抑制の効いた感情のない表情から、宰相は、夜盗のような悪辣な表情に変えた。

「さてと。わたしは、ウ゛ァレンタイン公爵家に出向きましょうかね。これで、中央部もわたしのものです」

 
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