上 下
7 / 7

7話

しおりを挟む
 あれから、しばらくの日数が流れた。

 現在、私は王宮の庭でアレンと2人でお茶を飲んでいた。いわゆる、お茶会というやつだ。
 お茶会って聞くと、女性の集まりみたいなイメージがあるけどね。

 それでしばらくの間、他愛のない話で盛り上がっていたが、ふとアレンがこんなことを聞いてきた。

「――しかし、よかったのか?」

「なにがですか?」

「エルスとイザベラのことだ」

「そのことですか……。私としては、あれぐらいが処罰としては妥当だと思ったのですが」

「いや、エリーがそれでいいならいいんだが……」

 どうやら、私が2人に下した処罰に、アレンは納得いってないらしい。

 しかし、私としてはあれぐらいが妥当だろうと判断した。

 まず、イザベラについて。
 あのバカな義妹は、暴力と自殺教唆の罪で間違いなく有罪判決を受けるだろうという話になっていた。

 でも、私は示談で解決することにした。

 あのイザベラだ。牢に閉じ込めたとしても、絶対に反省なんてしない。
 だから、その代わりに自分で稼いだお金で慰謝料を支払ってもらうことにした。

 イザベラはプライドが高いから、誰かの下で働くのはなによりも嫌だろうから。
 後、これは私が指示したわけではないが、イザベラは家から勘当されることになった。

 そして、エルスだけど、彼はまぁ……反省しているし、どちらかと言うと被害者側だ。
 でも、それでも1度は自分の意思でイザベラと関係を持ったため、慰謝料を支払ってもらうことにした。

 後は、イザベラの動向を毎日欠かさず確認し、逐一報告するのも義務づけた。
 またいろいろな男と肉体関係を持って、今回のようなことをされても困るから。

「……それで、その。今日はどのような用件で私をお茶会に誘ったのでしょう?」

 と、今日の本題に入ることにした。

 すると、アレンは1度俯いたかと思いきや、なにやら覚悟を決めたのか、私の目をまっすぐ見てくる。

「エリー。いや、エリザベス」

 私のことを愛称ではなく名前で呼ぶ。

 その瞬間、私はこれから大事なことを言われるのだと、雰囲気から察して息を呑む。

 そして、

「俺と結婚してほしい」

 と、プロポーズを受けた。

 しかし、その返答は昔から決まっていて、

「はい……。喜んで……」

 私はアレンの告白を受け入れた。

 エリザベスはアレンのことが好きだったから。
 昔から、ずっと、ずっと……。
 密かに、アレンだけを一途に想い続けていた。

 それは、ゲームで語られることはなかったものの、プレイヤーなら全員わかっていたことだ。
 だって、そうでしょ? 裏切られてもなお、アレンの幸せを願うぐらいなんだから。



 だから、よかったね。エリザベス。



 初恋が叶ったよ。

                 ~完~
 


 

しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

不撓不屈

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:2,137pt お気に入り:1

ほろ甘さに恋する気持ちをのせて――

恋愛 / 完結 24h.ポイント:553pt お気に入り:17

悪の組織の一番の嫌われ者のパートだ

青春 / 連載中 24h.ポイント:1,050pt お気に入り:17

憑代の柩

ミステリー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:33

立場変わって二度目の人生

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:30

飯がうまそうなミステリ

エッセイ・ノンフィクション / 完結 24h.ポイント:532pt お気に入り:0

1人の男と魔女3人

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:404pt お気に入り:1

処理中です...