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属国の姫は皇帝に虐められたい

ジークハルト様の献身

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 白いレースの下着の上から、ジークハルト様は私の肉付きのあまり良くない尻を掴み、こねるように撫でる。
 片方の手で寝衣のスカートをたくし上げられて、私の腰から下の丸みを帯びた臀部や白い足はむき出しになっていた。
 ジークハルト様らしからぬ不躾な行動に、私の胸は打ち震える。

「ティア、脱げ。服が邪魔だ」

「……っ、ジーク様」

「あまり待たされると、興が失せる。せっかく私がお前のような淫婦に情けをかけてやろうという気になったのだから、早くしろ」

「っ、は、はい……」

 どうしちゃったのかしら、どうしちゃったのかしら……!
 急に人が変わったようになったジークハルト様に戸惑いながら、私はジークハルト様の膝の上で自分の服を抜いだ。
 脱ぐことに関しては躊躇いなどないし、ジークハルト様の豹変ぶりはとても嬉しいし、うきうきウェルカムでしかないのだけれど、――正直、吃驚だわ。
 もしかしたらジークハルト様もこのような趣味があって、それを私のために隠していたのかもしれないわ。
 なんということでしょう。これは運命に違いないわね。私とジークハルト様はまさに出会うべくして出会い、夫婦になったのだわ。
 私は確信しながら、期待に頬を上気させた。
 ぱさりと、薄手の寝衣が床に落ち、私は下着だけになる。
 紐で左右をとめる白いレースの下着に、コルセットはつけていない。さらけ出された丁度良い大きさの形の良い胸を、恥ずかしかったので両手で隠した。

「隠すな、ティア。お前は私のもの。その髪や、指先や、爪の一枚一枚に至るまで、私の玩具だ。私に従え」

 冷たい声が、肌を突き刺すようだった。
 愛情のたっぷり籠った優しい声とは、まるで違う。
 赤い瞳が私を射抜くように見据えている。その瞳にも、愛し気に私を見てくれるとろけるような甘さはない。
 寂しさがじわりと胸に広がる。それ以上に、全身の血液が逆流でもするような激しい興奮を感じた。

「ジーク様……、ごめんなさい、わたくし……」

 私はおずおずと、両手を胸からどけた。
 下半身を覆う下着一枚だけになった私の肢体を、ジークハルト様がじっと見つめる。
 視線で犯されているようだった。
 見られていると思うだけで肌がぞわりと粟立ち、薄桃色の胸の飾りがつんと上向きに尖る。

「……ん……」

 思わず漏れた吐息に、ジークハルト様は酷薄な笑みを浮かべた。

「自ら脱いで、裸体を晒しているだけなのに感じているのか? 処女を失ったばかりなのに、淫乱な女だ」

 下着の上から、陰核を摘ままれる。
 痛いぐらいの刺激なのに気持ちが良くて、とろりと雫が滴り落ちる。
 それは瞬く間に溢れて下着を濡らし、太腿を伝って落ちた。

「や、あ……っ、あ、あ……」

「ろくに触れていないのに、お前の淫らな蕾はもう男を欲しがっているようだな。ティア、立ち上がり、窓に手を付けろ」

「窓、に……?」

「二度は言わせるな」

 ぐり、と陰核を抓られて、私はびくびく体を震わせた。

「じーくさま、じーくさま……っ」

「私の許可が与えられるまでは、達するな。分かったら、返事をしろ。ティア」

「っ、あ、……は、はぃ……っ」

 私は必死にこくこく頷いた。
 何度も想像した状況が、今ここに。
 どうしよう、ジークハルト様が素敵すぎて、私は卒倒してしまうかもしれない。
 こういった状況を私は今まで妄想の中だけで楽しんできたのだけれど、実際と妄想とは雲泥の差だ。
 妄想では――好きなように、ジークハルト様を動かせたのだけれど、実際は当たり前だけれどジークハルト様には意思と人格があって、何を言われて、何をされるかなんてまるで分からない。
 期待値の更に先をいくジークハルト様の様子に、私の胸は否が応でもときめいた。
 それに私は本来のジークハルト様がこのような方ではないことを知っている。
 私のために頑張ってくれる優しさに、感動すら覚える。
 なんて――素敵な方なのかしら。私も精一杯、ジークハルト様の命令にこたえなくては。
 窓に、手を付けと言われたわね。
 ジークハルト様の膝の上から立ち上がろうとした私の腰を、徐に大きな手のひらが掴んだ。
 抓っていた陰核を、ぐりぐりと指先で押しつぶすように圧迫される。
 まだ触れられていない胸を口に含まれて、胸の飾りを甘噛みされた。

「あ、あ……っ、ひゃう……っ、あ、あぁ……」

 ぐちぐちと、下着の上から秘所を撫でられ、陰核を下着と一緒に指でつまんで擦られる。
 噛まれて痛む胸の突起を甘く舐られて、体をびりびりと快楽が走り回った。

「ゃ、あ……っ、あぁ、じーく、さまぁ……っ、だめ……っ」

「はしたないな、ティア。リュシーヌ王国の姫君は男を欲しがり、下の口から簡単に涎を垂らすのだな」

「ひ、ぅう……、違う、違うの……、わたくし……っ」

 がくがくと、腰が震える。
 膝立ちでいることが辛い。一方的に暴虐に与えられる快楽のせいで、足が萎えて、倒れこみそうだ。

「何が違う? ティア、達するなと言ったはずだ。私に凭れることも許していない」

「ごめんなさい、ジークさま、わたくし……もう、もう……っ」

 胸の突起や鎖骨や首筋に唇で触れながら、ジークハルト様の赤い瞳が私を見据える。
 その瞳に見つめられただけで、頭がくらくらする。
 ちゅぷちゅぷと陰核を嬲られ、快楽が背中をせりあがってくる。目の前が白くなり、何度も達しそうになるのを唇を噛んでなんとか耐えた。我慢しなければと思えば思うほどに、快楽が胎の底へと溜まっていく。
 眼に涙の膜が張り、視界を潤ませた。
 最早下着として意味をなさない濡れた布がはらりと脱がされる。
 零れ落ちる愛液をジークハルト様の指先がすくう。
 見せつけるようにぺろりと舐められて、羞恥心から涙が零れた。

「何をしている? 私の言ったことを忘れたのか」

「で、でも……、わたくし……」

 窓の外には暗闇が広がっている。
 もう夜なのだし、後宮に入れる男性はジークハルト様だけなので、起きているのは侍女だけだろう。
 それでも、見られたらと思うと、どうしようもなく恥ずかしくて、私は俯いた。

「ティア。口答えは許可していない」

「はい……」

 私はよたよたとジークハルト様の膝の上から立ち上がった。
 ジークハルト様は黒いさらりとした腰ひもで結ぶ作りの夜着を着ている。
 私だけ裸体を曝け出していて、それが尚更羞恥心をあおった。
 達する直前で我慢し続けていた熱のこもる体を持て余しながら、私はリビングにある大きな窓の前で立ち止まる。外は真っ暗で何も見えないけれど、カーテンの閉まっていない窓は、室内が明るいせいで外からは丸見えだろう。

「手をついて、腰を突き出せ。お前の欲しいものを与えてやろう」

「わたくし、……そんな、できませんわ……」

「ティア」

 有無を言わせない他者に命令し慣れた声が、私の名前を呼んだ。
 私は恐る恐る両手を窓につく。窓は、ひやりと冷たい。
 言われるように腰を突き出すようにすると、姿勢を低くしたせいで胸がふるりと下に垂れた。

「そうだ。良い子だな、ティア」

「……っ、じーくさまぁ……っ」

 飴と鞭を使い分けてくださっているわ……!
 もう、興奮やら感動やらで訳が分からない。
 私は甘ったるい声でジークハルト様の名前を呼ぶ。ふ、と軽く溜息のような音が背後から聞こえた。
 足を開いているせいでむき出しになっているだろう私の秘所へと、ジークハルト様の指が入り込む。
 濡れそぼっているその場所は簡単に二本の指を飲み込み、きゅう、と締め付けた。
 背後から抱き込むようにして、ジークハルト様の腕が私の体に回る。
 膣壁をじゅぷじゅぷと指で広げられながら、胸の飾りをかりかりと指でひっかくようにされて、はじかれる。背中に口づけが落ちた。

「あ、あ……っ、ゃあぁ、や、やあ、だめ……っ」

「ティア。正直に言え。お前は今、私に何をされて、泣きながら善がっている?」

「ゃだあ……、いえな……、わたくし、そんな……」

 嘲るような声音が耳に響くたびに、全身をぞくぞくとした快楽が襲う。
 体の熱が上がり、どこを触られても気持ち良いぐらいに敏感になっているのが分かる。
 私の中でばらばらと動きながら膣壁の襞の感触を確かめるように触れていた指先が、浅い場所を押し上げ始める。 

「あっ、あ、っん……ゃ、あ……! あ、……ぃく、じーくさま、いきたい、です……っ」

「まだ、駄目だ。……答えろ、ティア。きちんと言えたら、許可を与えてやる」

「ゃあ……っ、……あー……、あ、あぁっ」

 胸の突起をいじめていた指先が腹を辿り、薄皮を剥いた花芽をぐりぐりと押しつぶした。
 強すぎる刺激に、私の目の前にちかちかと星が散る。
 足ががくがくと震えて、耐えようもない排泄感を感じる。
 けれど達することができる直前で、指は動きを止めてしまう。
 窓に置いている手で体を支えている私は、頭をがくりと下げながら、はあはあと息をついた。

「じーくさま、ぃや、やだ……っ、いきたいです……」

「どうしたら良いか、わかるだろう?」

「わたくし、そんな……、言えな……」

「このままずっと、こうしていても私は別に構わない」

 あぁ、もう、素敵だわ……!
 ジークハルト様が素敵という気持ちと、いじめてくださって嬉しいという気持ちと、どうしようもないぐらいの羞恥心がせめぎあっている。
 求めていたのは私なのに、実際にこのようにされると恥ずかしいものなのね。
 新しい発見だわ。私、こういったことをして頂くのが好きな質だと思っていたのだけれど、全く羞恥心がないというわけではなかったのだわ。

「ゃあああ……!」

 再びジークハルト様の指先が、私の中で動き始める。
 浅い部分にある膨らんだ場所を押し上げられて、すぐに体が高みに上っていく。
 けれど再び熱が弾ける前に、指が引き抜かれてしまう。物足りなくて、じれったくて、私は行き場のない熱を抱えながら、ぽろぽろと涙をこぼした。

「じーくさまぁ、いきたい、やだぁ……っ」

 頭がおかしくなるぐらいに気持ち良くてつらい。
 窓辺にいることや、はしたない恰好を晒していること、そんなことはどうでも良くなるぐらいに、もっと気持ち良くなりたいと体が訴えている。

「ティア。……答えろ」

「はい、……ティア、は、ジーク様の指で……、はずかしいところを、ぐちゃぐちゃにしていただいて、嬉しい、です……」

「指だけで満足なのか?」

「……っ、ジーク様の、逞しいものが、欲しいの……、ください、お願い……」

 このように言っている女性が出てくる本をたくさん読んできた私。
 けれど、実際に自分が言う日が本当にくるだなんて。
 それもこれも、ジークハルト様の私への優しさの賜物だわ。私は、ジークハルト様を大切にしないといけないわね。
 うん、うん、と心の中で頷きながら、私は感動的な台詞を口にした。
 猛ったものが背後から強引に押し込まれる感覚に、私はか細い悲鳴を上げた。

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