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第49話 バターと鳴子作り

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 街でいろいろと聞き込みをして、ジーナとフー太と相談をした結果、次の目的地はフェビリーの滝に決定した。

 フェビリーの滝はここから歩いて2日くらい歩いた先にあるフェビリー村の近くにある森の中にある巨大な滝らしい。この国でも有数の観光名所となっているようで、その巨大な滝の落差は相当なものとなっているらしい。

 滝と言えば、元の世界だと小学校の時に修学旅行で行った日光の華厳の滝くらいしか見たことない気がするな。どんな場所か今から楽しみだ。徒歩で2日くらいなら、キャンピングカーの速度なら数時間もあれば到着するだろう。

「それじゃあいつも通りカーナビに位置情報を手動で入力してっと……」

 カーナビの地図を操作して、手動にて街で聞いたフェビリーの森近くにある村へピンを差す。

「今日はそれほど距離がないからゆっくりと走るけれど、また障害物や人がいないかの確認を頼むな」

「はい、もちろんです!」

「ホー!」

 これまでの道のりで分かったが、ジーナとフー太の視力や動体視力は俺よりもだいぶ優れているようだ。特にこの世界では大きな岩や倒れた木、魔物なんかも生息しているからとても助かる。

 さあ、次の目的地へと移動だ!





「よし、今日はこの辺りで泊まって、フェビリーの村には明日の朝から行くとしよう」

 ロッテルガの街を出て、しばらく離れた場所まで歩いたところでキャンピングカーを出して、そこから2時間ほど走ったところで目的地であるフェビリーの村から少し離れた場所までやってきた。

 道から少し離れたこの場所に川はないが、大きな岩があったので、それとキャンピングカーが重なって多少は目立たないようにしておく。

 少なくとも道からは少し離れた場所だから、人は来ないだろう。

「今日はちょっと早いから、いろいろとやってみたいことがあるんだよね。ジーナもちょっと協力してくれる?」

「ええ、もちろんですよ」

「ホー?」

「フー太にはちょっと難しいかな……俺の方を手伝えたらちょっと手伝ってくれ」

「ホー♪」

 昼に街を出てからここまで来るのに数時間掛かったが、まだ午後3時半くらいで日が暮れるまで結構な時間がある。今後のためにいろいろとやりたいことがあるから、今日はそれをやってみよう。



「これを振ればいいだけなのですか?」

「ああ。恐らくそれだけでできるはずだ。それと合わせてこの辺りの見張りも頼むぞ」

「ええ、任されました!」

 ジーナに渡したのはロッテルガの街で購入してきたホワイトブルというウシ型の魔物の乳を冷蔵庫で冷やして、塩を加えたものを水筒に入れたものだ。このホワイトブルの乳だが、どうやらこの乳からはバターができるらしい。

 元の世界では牛乳を遠心分離器によって加工して脂肪分が多いクリーム層を取り出した生クリームなどからバターを作ることが可能だ。街の市場で聞いた話によると、このホワイトブルの乳からバターが作れるということなので、元々の脂肪分が多い乳なのかもしれない。

 生クリームからバターを作る方法は実に簡単で、密閉した容器に入れてひたすらに振るだけだ。俺も詳しい仕組みは憶えていないが、確か乳の中に存在する薄い膜に包まれた脂肪を振ったりかき混ぜたりすることによって、その膜が壊れて脂肪がくっつきバターになるんだったかな。

 バターについてはキャンピングカーに積んでいなかったので、このホワイトブルの乳からバターができるととても助かる。ホワイトブルの乳もバターもキャンピングカーのアイテムボックスの中に保存できるし、普通に飲み物としても牛乳のようにおいしいから多めに買っておいた。

 悲しいことに、俺よりもジーナの方が力は強いので適任なのである。

「それじゃあ俺たちはこっちで別の作業をしようか」

「ホー!」

 バター作りはジーナに任せて、俺とフー太は別の作業を行う。

「さて、この釣り糸で鳴子を作るぞ」

「ホー!」

 これから作るのは夜の警備用の鳴子だ。キャンピングカーは車体強化機能によりディアクのような魔物の突進でも防げるが、念には念を入れようと思う。

 キャンピングカーには釣り用の釣り竿なんかを積んでいたので、丈夫で夜に細くて見えにくい釣り糸と市場で購入した大きな音が出る楽器のようなものを組み合わせて、糸を揺らせば大きな音が鳴る鳴子を3重くらいにして夜にキャンピングカーの周囲に張り巡らしておく。

 逆に音が鳴って戦意のなかった魔物との余計な戦闘が増えてしまう可能性も十分にあるが、鳴子のある方が夜はよりぐっすりと眠れそうだし、昼間に張り巡らせても多少の警戒にはなるだろう。

「よし、こんな感じでいいだろ。あとはこれをいくつも作って、キャンピングカーの周りへ張り巡らせられるようにしておこう」

 市場で購入してきた棒に穴をあけてそこに糸を通し、間に大きな音のなる楽器を結び付けつつ、次の棒へと糸を通す。あとはこの棒をキャンピングカーの周囲の地面に突き差してぐるっと一周できるくらいの長さで3つくらい作るとしよう。
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