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第69話 京都府② 生八ツ橋、伏見稲荷、天橋立

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「さて、ご飯は食べたけれど、京都はスイーツも有名だからね。少しこの辺りで食べ歩いていこう」

「うむ、楽しみなのじゃ!」

「やはり京都と言えば抹茶のスイーツですね。とても楽しみです!」

 お昼ご飯はほどほどで、また先ほどの通りへと戻ってきた。この通りはお土産だけでなく、スイーツなんかも売っている。

「まずはお土産とかでも一番多いこれ、生八つ橋だよ」

 京都のお土産と言えばまず思い浮かぶのがこの生八つ橋である。米粉に砂糖、ハチミツ、肉桂などを加えて十分に練って短冊形に切ったものだ。生八つ橋はこの生地を生のまま餡を包んで食べるもので、八つ橋はこの生地を焼いたものである。

 個人的には生八つ橋の方が好きだが、賞味期限が短いのはネックなんだよな。

「ふむ、いろいろな色があるのじゃな」

「定番なのはニッキや抹茶だけれど、最近だといろんな種類の生八つ橋が出ているね」

 最近では様々な生八つ橋のメーカーがあり、イチゴやラムネ、チョコバナナなどの変わり種の生八つ橋が販売されている。

「おお、モチモチと柔らかく、甘くてとても美味しいのじゃ!」

「やはり美味しいですね。こちらの四角いのも同じ生八つ橋なのですか?」

「うん、こっちのは俺が好きな店のものだね。このお店は注文してから、職人さんがひとつひとつ手作業で包むから少し時間もかかるんだよ」

 生八つ橋やおたべのメーカーはいくつもあるが、このお店は昔ながらの手法で手作りで作っている。その分消費期限も短く、注文してから時間はかかるが、俺はこのお店のが一番好きだな。甘さは他のものよりも控えめだが、この自然な味が好きなんだよね。

 購入できるお店も少ないが、ぜひ京都に行ったら食べてみてほしい生八つ橋である。



「それにしてもいろんなスイーツがありましたね」

「うむ! 妾はあの緑色のバームクーヘンとやらが好きじゃぞ!」

「ええ、あれもとても美味しかったですね! 私は抹茶のわらび餅が好きです」

「おお、あれも美味しかったのじゃ! あとは甘じょっぱい団子も美味しかったのじゃ」

「………………」

 喜屋武さんとミルネさんがこれまでに食べてきたスイーツの感想を言い合っている。いくらお昼ご飯を少なめに食べたとはいえ、よくあれだけのスイーツを食べられたものだよ。

 俺の方は少し食べ過ぎて気持ち悪くなっている。いや、どれも美味しかったんだけれど量がね……

「ふむ、ここにはたくさんの鳥居があるのじゃな」

「ここは伏見稲荷大社だよ。ここにある千本鳥居は最近特に有名だね」

 伏見稲荷大社、1300年にわたって人の信仰を集めているお稲荷さんと親しまれる稲荷神社の総本宮だ。

 鳥居がトンネル状に並んでおり、その鳥居の多さから千本鳥居と呼ばれている。実際に賛同に並んでいる大きな鳥居は800ほどらしいが、小さい鳥居などすべてを合わせると1万近くあるらしい。

「本殿へ行くまでは結構な登りになっているから、食後の運動にもちょうどいいかな」

 伏見稲荷大社の本殿は山の中腹にある。有名な鳥居が並んでいるところだけ見てから本殿へ転移してもいいのだが、お腹もいっぱいなことから歩いて登ることになった。

 魔法社会だと転移魔法に頼りきりになって良くないのかもな。さすがに本殿の奥にある奥社まで行くと往復で2時間近くかかるので、そこは省略だ。

 本殿まででも結構な高度にあるから、京都の街並みが良く見えた。



「おお~これは見事な絶景じゃな!」

「これが自然にできたとは、本当に不思議ですね……」

 伏見稲荷大社の本殿を巡ったあとは、一気に京都の日本海側にある天橋立あまのはしだてへとやってきた。実は京都は縦に長く、多くの観光地は京都市付近に固まっているが、北の方にはこの天橋立がある。

 京都市内には他にも銀閣寺、二条城、東寺、京都タワー、北野天満宮、下賀茂神社、平安神宮、嵐山などなど。とんでもなく多くの観光地が存在するのだが、さすがにそれすべてを回るのはなかなか難しい。

 本気で京都市内をすべて観光するなら4~5日くらいほしいところだ。その場合にはバスや電車などの便利な交通機関があるので、それを使うのもおすすめだ。

「天橋立は日本海を流れる対馬海流が外海と内海の土砂を何千年もの時間をかけて積もって、今の地形を作り出したと言われているね」

「ほう、長年かけて今のこの形になったのじゃな」

 天橋立は海のど真ん中に全長3.6km、幅が20~170mの広さの道ができ、そこに約8000本の松が生い茂っている。

 現在は山の上にある展望台よりこの光景を見下ろしている。ここから見ると、本当に海と海の間に一本の緑の道ができているようでとても美しい。

 ちなみに天橋立は松島や宮島と並ぶ日本三景のひとつとして数えられている。この景色が昔から存在しているのにはとても驚きだ。
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