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第48話 温かい家庭を築いた件〜前編〜
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僕は一護くんと同居することになった。
放課後、近所のスーパーへ一護くんと一緒に買い物をする。
「これからは俺がアオイにいっぱい美味い飯を食わせてやっからなぁ~♡」
と、楽しそうに微笑む一護くんは野菜や魚、お肉や調味料などを買い物かごに入れる。
僕はカートを押しながら、本当に一護くんと一緒に暮らすんだと、しみじみ実感していた。
一護くんに好きなものを何でも買っていいと言われた僕はお菓子売り場に売っている食玩を箱買いした。
そのせいで大荷物となってしまったが、力持ちの一護くんは軽々と家まで運んでくれた。
一護くんの家は必要以上にモノがなかったため、僕の部屋はすぐにできた。
僕の片付けを手伝ってくれた後、一護くんは調味料や鍋などのキッチン回りを整理すると夕食を作ってくれた。
夕食のメニューは炊きたてのご飯と味噌汁、更にひじきの煮付けや漬け物などバリエーション豊かで実にヘルシーだった。
「アオイのために健康重視な食事にしてみたぜ♡ 夕食に高カロリーな物を出したら、アオイが嫌がると思ってなぁ」
「さすが、一護くん! ちゃんと僕の気持ちが分かってるね♡」
美味しそうな食事を目の前にして思わずお腹が鳴ってしまう。
「アオイの口に合えばいいんだが、どうだ?」
「――まあ、一護にしてはなかなかじゃん」
「おぉ、そうか……って、尾芽牙⁉︎」
すると、いつの間にか尾芽牙くんが僕たちの愛の巣に闖入していた。
「アオイくん、ボクならもっと美味しい料理が作れるんだけどなぁ~」
そう言われた僕はキョトンとし、一護くんは「あぁ、また始まった」的なヤレヤレフェイスを浮かべた。尾芽牙くんのこういう突飛さに、僕と一護くんは慣れつつあった。
「で、尾芽牙は何を作るんだ?」
「へっへーん、それは出来てからのお楽しみだよ♡」
そして未調理の尾芽牙くんが料理を始める。いつの間にか、尾芽牙くんは腰に薄いグリーンのミニエプロンを巻いていた。
冷蔵庫からマグロの切り身を取り出した尾芽牙くんはマナ板に乗せると、綺麗に切り下ろしていく。
全ての切り身は丁度いいサイズで、断面も瑞々しくて美しい。まさしく、目にも留まらぬ早業だった。
「おぉ~、すごい!」
「ほぉ~、尾芽牙にしてはなかなかやるじゃねえか」
僕と一護くんの感想が漏れると、尾芽牙くんは清々しいほどのドヤ顔を浮かべる。
しばらくして料理が完成すると、僕たちは食卓を囲んだ。
僕は箸を手に取り、まずは一護くんが炊いてくれたホカホカご飯を一口。真珠のように白くてツヤツヤとして湯気を立てていた。
暖かいご飯はふっくらモチモチとしていて、一粒一粒が程良く柔らか。嚙むとムッチリと歯ごたえがあり、甘みが更に増えて、広がってゆく。
「こんな美味しいご飯、初めて食べたよ~♡」
そんな感想が自然に漏れると、僕の反応をじっと見つめていた一護くんはホっと安堵して微笑んだ。
「そうだろ、そうだろ♡ 俺にかかれば、こんなもんよ」
ご飯だけではなく、一護くんの作ったオカズも絶品だった。卵焼きはホンノリ甘くて、しかも中心部分は絶妙な半熟。誰もが愛する理想の卵焼きだ。
ひじきの煮付けも、ひじきと細切りの人参の甘さがお互いを引き立て合っていて、しかもコリコリの歯ごたえが堪らない。
焼き海苔だって、嚙んだ時のパリパリが良い触感で、しかも焼きたて独特の磯の香りが香ばしい。
味噌汁は豆腐とワカメで僕の大好物だ。風味を引き立てる塩加減はバッチリで、しかも味噌も、2種類以上合わせなければ出せない、深みのある美味しさ。
一護くんの料理が美味しい事は、尾芽牙くんの感想でもハッキリと解る。
「まさか、ここまでやるとは……。料理でも一護に勝てないなんて……」
「えっと……尾芽牙くんの料理も、すっごく美味しいよ!」
僕が慌てて尾芽牙くんの料理も褒めると、しょんぼりしていた尾芽牙くんの顔が真っ赤になって緩んだ。
あっという間に食事を平らげた僕は思わずご飯のおかわりを要求してしまい、ふと我に返って空の茶碗を戻した。
「まだアオイは成長期だから、少しくらい多めに食べたって平気さ♡」
そう言うと、一護くんは心底嬉しそうな輝く笑顔を浮かべて、2杯目を装ってくれた。一護くんは僕に美味しく食べてもらったのが余っ程嬉しかったようだ。
まだ初日だけど、ふんわりとした家族の温かさのようなモノを感じる。僕には一生縁がないと思っていた幸せな家庭が今ここにある。
放課後、近所のスーパーへ一護くんと一緒に買い物をする。
「これからは俺がアオイにいっぱい美味い飯を食わせてやっからなぁ~♡」
と、楽しそうに微笑む一護くんは野菜や魚、お肉や調味料などを買い物かごに入れる。
僕はカートを押しながら、本当に一護くんと一緒に暮らすんだと、しみじみ実感していた。
一護くんに好きなものを何でも買っていいと言われた僕はお菓子売り場に売っている食玩を箱買いした。
そのせいで大荷物となってしまったが、力持ちの一護くんは軽々と家まで運んでくれた。
一護くんの家は必要以上にモノがなかったため、僕の部屋はすぐにできた。
僕の片付けを手伝ってくれた後、一護くんは調味料や鍋などのキッチン回りを整理すると夕食を作ってくれた。
夕食のメニューは炊きたてのご飯と味噌汁、更にひじきの煮付けや漬け物などバリエーション豊かで実にヘルシーだった。
「アオイのために健康重視な食事にしてみたぜ♡ 夕食に高カロリーな物を出したら、アオイが嫌がると思ってなぁ」
「さすが、一護くん! ちゃんと僕の気持ちが分かってるね♡」
美味しそうな食事を目の前にして思わずお腹が鳴ってしまう。
「アオイの口に合えばいいんだが、どうだ?」
「――まあ、一護にしてはなかなかじゃん」
「おぉ、そうか……って、尾芽牙⁉︎」
すると、いつの間にか尾芽牙くんが僕たちの愛の巣に闖入していた。
「アオイくん、ボクならもっと美味しい料理が作れるんだけどなぁ~」
そう言われた僕はキョトンとし、一護くんは「あぁ、また始まった」的なヤレヤレフェイスを浮かべた。尾芽牙くんのこういう突飛さに、僕と一護くんは慣れつつあった。
「で、尾芽牙は何を作るんだ?」
「へっへーん、それは出来てからのお楽しみだよ♡」
そして未調理の尾芽牙くんが料理を始める。いつの間にか、尾芽牙くんは腰に薄いグリーンのミニエプロンを巻いていた。
冷蔵庫からマグロの切り身を取り出した尾芽牙くんはマナ板に乗せると、綺麗に切り下ろしていく。
全ての切り身は丁度いいサイズで、断面も瑞々しくて美しい。まさしく、目にも留まらぬ早業だった。
「おぉ~、すごい!」
「ほぉ~、尾芽牙にしてはなかなかやるじゃねえか」
僕と一護くんの感想が漏れると、尾芽牙くんは清々しいほどのドヤ顔を浮かべる。
しばらくして料理が完成すると、僕たちは食卓を囲んだ。
僕は箸を手に取り、まずは一護くんが炊いてくれたホカホカご飯を一口。真珠のように白くてツヤツヤとして湯気を立てていた。
暖かいご飯はふっくらモチモチとしていて、一粒一粒が程良く柔らか。嚙むとムッチリと歯ごたえがあり、甘みが更に増えて、広がってゆく。
「こんな美味しいご飯、初めて食べたよ~♡」
そんな感想が自然に漏れると、僕の反応をじっと見つめていた一護くんはホっと安堵して微笑んだ。
「そうだろ、そうだろ♡ 俺にかかれば、こんなもんよ」
ご飯だけではなく、一護くんの作ったオカズも絶品だった。卵焼きはホンノリ甘くて、しかも中心部分は絶妙な半熟。誰もが愛する理想の卵焼きだ。
ひじきの煮付けも、ひじきと細切りの人参の甘さがお互いを引き立て合っていて、しかもコリコリの歯ごたえが堪らない。
焼き海苔だって、嚙んだ時のパリパリが良い触感で、しかも焼きたて独特の磯の香りが香ばしい。
味噌汁は豆腐とワカメで僕の大好物だ。風味を引き立てる塩加減はバッチリで、しかも味噌も、2種類以上合わせなければ出せない、深みのある美味しさ。
一護くんの料理が美味しい事は、尾芽牙くんの感想でもハッキリと解る。
「まさか、ここまでやるとは……。料理でも一護に勝てないなんて……」
「えっと……尾芽牙くんの料理も、すっごく美味しいよ!」
僕が慌てて尾芽牙くんの料理も褒めると、しょんぼりしていた尾芽牙くんの顔が真っ赤になって緩んだ。
あっという間に食事を平らげた僕は思わずご飯のおかわりを要求してしまい、ふと我に返って空の茶碗を戻した。
「まだアオイは成長期だから、少しくらい多めに食べたって平気さ♡」
そう言うと、一護くんは心底嬉しそうな輝く笑顔を浮かべて、2杯目を装ってくれた。一護くんは僕に美味しく食べてもらったのが余っ程嬉しかったようだ。
まだ初日だけど、ふんわりとした家族の温かさのようなモノを感じる。僕には一生縁がないと思っていた幸せな家庭が今ここにある。
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