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可愛い彼女と俺の恋
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「そりゃ大おじちゃんからは『けしからん』とか『30代が10代に手を出すなんて』って言われたけど、お母さんがそれを跳ね返すくらい、『自分達にも夏実にも勿体ないくらい誠実で真面目な人だ』って湊人の事をいっぱいいっぱい褒めていたの」
「そう……なんだ」
「湊人が今日の夜家に来る直前まで、おじちゃんとおばちゃんとも話したんだけど『湊人が結婚決まりそう』とは話しても私の事までは言わなかったんだって。お母さんが後々気にすると思ったからって。『晴ちゃんが話したなら私も話しとけば良かったー』っておばちゃん言ってたよ」
「お袋まで……そうだったのか……」
俺の親も夏実の親もほぼ同時期に、そんな話をしていたとは。
改めて俺には越えられない親心というものに感服する。
「その割に晴美さん、めちゃくちゃ機嫌良かったんだけど。集まりでそんな緊張感走る事したら俺になんか言ってきそうなのに」
夏実の背中を抱き締めて頭を撫でる俺を、夏実はまた「ふふふ」と笑う。
「帰る頃には、全員ニコニコしてたんだもん。大ばあちゃんなんか、『おとなしい嫁だと思ってたのに見直した! 初めて本性見た』って大笑いしたんだよ?
帰りの車の中でお母さん、大ばあちゃんに負けないくらい良い笑顔してたんだから」
「そうだったんだ……」
「豪快に笑うとかじゃなくて、晴れやかな表情っていうのかなぁ。そこからも湊人の事をほめ殺しだったよ? 本人居ないのにねー♪」
「じゃあなんで俺の豚角煮弁当であんな馬鹿にした笑いしたんだ晴美さんは」
「照れなんじゃない? お母さん、湊人の前じゃ素直じゃないもん。明日家でご飯食べる時、お母さんは絶対ステーキ弁当じゃなくて豚角煮選ぶと思うよ。私、断言してあげる!」
「えー……晴美さんそこまでするかなぁ」
「するする!! 絶対する!! きっと今だってお父さんと一緒に湊人の事で喋ってるよ」
夏実がなんでそこまで自信持つのか、その場に居なかった俺には分かり得ない事ではあるが……もしそうであるなら嬉しいと思う反面
「それも、俺が晴美さんから言われた事をちゃんと守って信頼勝ち取ってきたからなんだろうな」
と、昼前に滉と会話した「信頼を勝ち取る話」と照らし合わせる。
「信頼を勝ち取る?」
「そう、滉とちょっとそんな話をしたんだよ。『自分が真面目に誠実に接すれば信頼してもらえるし俺自身を信用してもらえるから、俺にとってそれらは大事』みたいな事言ったら滉から『そうやって今まで勝ち取ってきたんだな』って言われたんだ。滉の真意は知らないけど俺は良い意味では受け取らなかったよ」
少しの嘘を交えて話の内容をぼやかしながら、夏実にそう話す。
実際の滉はやはり良い意味に取らない発言の仕方をしていたし、『大事』と口にしながらもそれが狡い方法であると俺自身自覚はしている。
「ちゃんと結果出して勝ち取ってるんだから、湊人もそのまんま良い意味で受け取ればよかったのに」
夏実はバックハグする俺の腕を一つ一つと自分の身から剥がし、俺と向き合うように座り直すとその可愛い瞳で上目遣いしてきた。
それから人差し指をピッと立て俺の鼻をツンっとつついて
「やっぱり湊人は自己評価低いよねぇ。お父さんやお母さんの信頼勝ち取って、私の願いを湊人は叶えてくれるんだよ? 良い意味以外にとる人の気が知れないよう」
と、ジト目でそんな事をボヤく。
「自己評価低いのか?俺」
「うん、低い! 滉くんが良い意味で言わなかったとしたら、私はそんな男の子好きにならないなぁ。
だってそのくらい湊人がコツコツ努力してるの、私は側でずーっと見てるんだから! 湊人が私を好きになる前から、湊人は私達を大事にしてくれていたのをずーっと見てて私知ってるもん!」
夏実は鼻をつつくのを辞めてまたニッコリと俺に微笑みかける。
夏実を好きになる……前から…………。
その言葉に一瞬後ろめたさを感じてしまったが、すぐに「そうだ、その通りだった」と気付いて俺も微笑みを夏実に返した。
俺が恋に落ちる前から夏実に優しく接していたのは、間違いないのだから。
それから夏実の「滉が信頼の勝ち取りを良い意味で受け取らない男なら好きにならない」という内容の台詞に笑い、心の中で勝ち誇る。
「だから湊人は自分の大事にする事、もっと自信持って誇っていいんだからね!」
強い口調で俺に言い、優しくハグする夏実を俺は
「うん、ありがとう」
可愛い彼女に感謝して、その可愛いハグを優しく抱き留めた。
「そう……なんだ」
「湊人が今日の夜家に来る直前まで、おじちゃんとおばちゃんとも話したんだけど『湊人が結婚決まりそう』とは話しても私の事までは言わなかったんだって。お母さんが後々気にすると思ったからって。『晴ちゃんが話したなら私も話しとけば良かったー』っておばちゃん言ってたよ」
「お袋まで……そうだったのか……」
俺の親も夏実の親もほぼ同時期に、そんな話をしていたとは。
改めて俺には越えられない親心というものに感服する。
「その割に晴美さん、めちゃくちゃ機嫌良かったんだけど。集まりでそんな緊張感走る事したら俺になんか言ってきそうなのに」
夏実の背中を抱き締めて頭を撫でる俺を、夏実はまた「ふふふ」と笑う。
「帰る頃には、全員ニコニコしてたんだもん。大ばあちゃんなんか、『おとなしい嫁だと思ってたのに見直した! 初めて本性見た』って大笑いしたんだよ?
帰りの車の中でお母さん、大ばあちゃんに負けないくらい良い笑顔してたんだから」
「そうだったんだ……」
「豪快に笑うとかじゃなくて、晴れやかな表情っていうのかなぁ。そこからも湊人の事をほめ殺しだったよ? 本人居ないのにねー♪」
「じゃあなんで俺の豚角煮弁当であんな馬鹿にした笑いしたんだ晴美さんは」
「照れなんじゃない? お母さん、湊人の前じゃ素直じゃないもん。明日家でご飯食べる時、お母さんは絶対ステーキ弁当じゃなくて豚角煮選ぶと思うよ。私、断言してあげる!」
「えー……晴美さんそこまでするかなぁ」
「するする!! 絶対する!! きっと今だってお父さんと一緒に湊人の事で喋ってるよ」
夏実がなんでそこまで自信持つのか、その場に居なかった俺には分かり得ない事ではあるが……もしそうであるなら嬉しいと思う反面
「それも、俺が晴美さんから言われた事をちゃんと守って信頼勝ち取ってきたからなんだろうな」
と、昼前に滉と会話した「信頼を勝ち取る話」と照らし合わせる。
「信頼を勝ち取る?」
「そう、滉とちょっとそんな話をしたんだよ。『自分が真面目に誠実に接すれば信頼してもらえるし俺自身を信用してもらえるから、俺にとってそれらは大事』みたいな事言ったら滉から『そうやって今まで勝ち取ってきたんだな』って言われたんだ。滉の真意は知らないけど俺は良い意味では受け取らなかったよ」
少しの嘘を交えて話の内容をぼやかしながら、夏実にそう話す。
実際の滉はやはり良い意味に取らない発言の仕方をしていたし、『大事』と口にしながらもそれが狡い方法であると俺自身自覚はしている。
「ちゃんと結果出して勝ち取ってるんだから、湊人もそのまんま良い意味で受け取ればよかったのに」
夏実はバックハグする俺の腕を一つ一つと自分の身から剥がし、俺と向き合うように座り直すとその可愛い瞳で上目遣いしてきた。
それから人差し指をピッと立て俺の鼻をツンっとつついて
「やっぱり湊人は自己評価低いよねぇ。お父さんやお母さんの信頼勝ち取って、私の願いを湊人は叶えてくれるんだよ? 良い意味以外にとる人の気が知れないよう」
と、ジト目でそんな事をボヤく。
「自己評価低いのか?俺」
「うん、低い! 滉くんが良い意味で言わなかったとしたら、私はそんな男の子好きにならないなぁ。
だってそのくらい湊人がコツコツ努力してるの、私は側でずーっと見てるんだから! 湊人が私を好きになる前から、湊人は私達を大事にしてくれていたのをずーっと見てて私知ってるもん!」
夏実は鼻をつつくのを辞めてまたニッコリと俺に微笑みかける。
夏実を好きになる……前から…………。
その言葉に一瞬後ろめたさを感じてしまったが、すぐに「そうだ、その通りだった」と気付いて俺も微笑みを夏実に返した。
俺が恋に落ちる前から夏実に優しく接していたのは、間違いないのだから。
それから夏実の「滉が信頼の勝ち取りを良い意味で受け取らない男なら好きにならない」という内容の台詞に笑い、心の中で勝ち誇る。
「だから湊人は自分の大事にする事、もっと自信持って誇っていいんだからね!」
強い口調で俺に言い、優しくハグする夏実を俺は
「うん、ありがとう」
可愛い彼女に感謝して、その可愛いハグを優しく抱き留めた。
応援ありがとうございます!
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