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可愛い彼女と俺の恋
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「ねぇ夏実、エッチしようか」
彼女の耳に、優しいハグに似合うような口調で囁いてみる。
「ぁ」
夏実はその囁きに、とてもか細い声で反応した。
「もしかして、驚いてる? 夏実の心臓、凄くドキドキしてる」
「んっ……」
触れている彼女の部屋着を通して身体の熱や鼓動が高まっていくのを感じ、その様子が嬉しくてついハグの抱き締めを強くしてしまった。
「そりゃ驚きもするか……いつも夏実から言ってばかりだから」
特に昨日は久しぶりに離れて夜を過ごしたから、状況的にどちらから何を言わなくてもそういう雰囲気になっていたし流れ的にそのままそういう行動をとっていっただろう。
それでも俺は、今この場で、夏実が口にするよりも早くそれを言ってしまいたかった。
疑似恋愛の真っ最中、俺からは一度も「エッチしよう」などと直接的な表現を口にしてこなかった。それは「直接的表現を敢えて言わない美」というものを自ら掲げていたからだ。
でもその美的感覚の裏には「言わなくても状況的にそうだろう」という驕りのようなものを含んでいたようにも感じる。
しかし、特にこの1ヶ月夏実と過ごしてきた中でそれを口にしなかったのは別の理由からくるものだった。
16年前からずっと夏実に敗北し想いを秘めたまま平伏していた俺なんかが、夏実を求めて良いのだろうか?しかもその間、夏実一人を愛してこなかったような汚い人間にその資格はあるのだろうか? ……夏実と付き合うようになり彼女からキスやハグをせがまれるようになった2年前から、その考えが俺の脳内を駆け巡り汚い心を掻き乱していた。つまりは、言いたくても言えなかったわけだ。
可愛い夏実の前で、言いたくても言えない自分の愚かさをかつての美的感覚を無理矢理持ち出して言い訳に使う俺はやはり醜い……彼女を強く抱き締めながら、俺は今そんな思いを抱いている。
「あっ、まってっ……んっ♡ わたしっ……んふうぅ……みなとのへんじっ……してなっ」
滉と茉莉のような高校生同士というのは、片方が「エッチしよう」なんて宣言したら相手も「エッチしようね」と必ず答えなければならないのだろうか?
確かに俺も、夏実の「エッチしたい」「エッチしよう」に対して何度かは「うん、エッチしよう」くらいは答えた気もする。
「返事は言わなくてっ……いいっ」
夏実が好きだと言った俺の右手中指で、湿る陰部をくちくちと弄りながら、俺は彼女の耳に舌を差し入れて軟骨を舌先でなぞる。
「言わなくていい」の後も、夏実に喋らせる暇を与えないように蛞蝓徘徊の通常ルートをそのまま辿っていった。
「やあっ……」
この蛞蝓の動きも、そういえば何故耳裏を始点として首・鎖骨・胸の谷間を経由し、円い輪郭を通って乳頭を終点とするのだろう?
今もそれを実行しながらそんな事を考える。
「んふうぅっ……やあっ……ああぁん♡」
そのように動くと夏実が悦ぶからだろうか? ……いや、違う。これは俺自ら始めた愛の行為だった筈だ。
俺の行動で、夏実が甘い声を漏らしてくれるのが嬉しい。
それに伴って色白の肌に赤みがさしていくのもやはり嬉しい。
嬉しくて嬉しくて……たまんなくて……
夏実ともっともっと触れ合いたくなる。
「はあっ……夏実の声がっ……可愛い……すごく、凄く可愛いよ」
愛撫から雌雄の粘膜の接触に行動を移す際、夏実に向かってそう呼びかけた。
すると夏実は恍惚と笑みを混じえたような表情を俺に見せて
「今日の湊人、なんだか嬉しそう♡」
と俺に言い返してくれる。
「そう?」
微量の粘液を夏実の中に滲ませた事が理由でない事は俺も理解している。
「うん、湊人の『私がだいすきー』って気持ちが、今私の中に伝わってるのかなぁ」
そしてそれは夏実もそうであるのだと、今知れて尚の事嬉しかった。
接触面をゆっくりと圧する。
互いの口からはやわらかく長く……且つ同時に吐息を漏らし、それは密着していない箇所を埋めるようにフワフワと浮かんでいるような温みを感じさせたが、エアコンの轟音が温んだ空気を一瞬に冷気へと変えさせ、いつもなら心地良かった温度変化が今日は何故か寂しくなった。
「ねぇ、私のこと、褒めて?」
俺の「寂しい」表情を読み取った笑顔の夏実は、そう呼び掛ける。
「夏実を、褒めるの?」
呼び掛けの意図が掴めない俺を見つめながら夏実はやわらかく微笑み続ける。
「だって今日一日だけでもさぁ、みーんな湊人の事を褒めるんだもん。それでなんかぁ、うらやましくなったの」
「羨ましく、なったんだ?」
「うん。だからぁ、せめて湊人からだけでも……1人からだけでも褒められたいなぁって思って」
夏実のその言い方が可愛くて、単純に……純粋に「好きだ」と思ったから
「可愛い」
接触面を更に圧しながら、短い言葉で夏実を褒めた。
彼女の耳に、優しいハグに似合うような口調で囁いてみる。
「ぁ」
夏実はその囁きに、とてもか細い声で反応した。
「もしかして、驚いてる? 夏実の心臓、凄くドキドキしてる」
「んっ……」
触れている彼女の部屋着を通して身体の熱や鼓動が高まっていくのを感じ、その様子が嬉しくてついハグの抱き締めを強くしてしまった。
「そりゃ驚きもするか……いつも夏実から言ってばかりだから」
特に昨日は久しぶりに離れて夜を過ごしたから、状況的にどちらから何を言わなくてもそういう雰囲気になっていたし流れ的にそのままそういう行動をとっていっただろう。
それでも俺は、今この場で、夏実が口にするよりも早くそれを言ってしまいたかった。
疑似恋愛の真っ最中、俺からは一度も「エッチしよう」などと直接的な表現を口にしてこなかった。それは「直接的表現を敢えて言わない美」というものを自ら掲げていたからだ。
でもその美的感覚の裏には「言わなくても状況的にそうだろう」という驕りのようなものを含んでいたようにも感じる。
しかし、特にこの1ヶ月夏実と過ごしてきた中でそれを口にしなかったのは別の理由からくるものだった。
16年前からずっと夏実に敗北し想いを秘めたまま平伏していた俺なんかが、夏実を求めて良いのだろうか?しかもその間、夏実一人を愛してこなかったような汚い人間にその資格はあるのだろうか? ……夏実と付き合うようになり彼女からキスやハグをせがまれるようになった2年前から、その考えが俺の脳内を駆け巡り汚い心を掻き乱していた。つまりは、言いたくても言えなかったわけだ。
可愛い夏実の前で、言いたくても言えない自分の愚かさをかつての美的感覚を無理矢理持ち出して言い訳に使う俺はやはり醜い……彼女を強く抱き締めながら、俺は今そんな思いを抱いている。
「あっ、まってっ……んっ♡ わたしっ……んふうぅ……みなとのへんじっ……してなっ」
滉と茉莉のような高校生同士というのは、片方が「エッチしよう」なんて宣言したら相手も「エッチしようね」と必ず答えなければならないのだろうか?
確かに俺も、夏実の「エッチしたい」「エッチしよう」に対して何度かは「うん、エッチしよう」くらいは答えた気もする。
「返事は言わなくてっ……いいっ」
夏実が好きだと言った俺の右手中指で、湿る陰部をくちくちと弄りながら、俺は彼女の耳に舌を差し入れて軟骨を舌先でなぞる。
「言わなくていい」の後も、夏実に喋らせる暇を与えないように蛞蝓徘徊の通常ルートをそのまま辿っていった。
「やあっ……」
この蛞蝓の動きも、そういえば何故耳裏を始点として首・鎖骨・胸の谷間を経由し、円い輪郭を通って乳頭を終点とするのだろう?
今もそれを実行しながらそんな事を考える。
「んふうぅっ……やあっ……ああぁん♡」
そのように動くと夏実が悦ぶからだろうか? ……いや、違う。これは俺自ら始めた愛の行為だった筈だ。
俺の行動で、夏実が甘い声を漏らしてくれるのが嬉しい。
それに伴って色白の肌に赤みがさしていくのもやはり嬉しい。
嬉しくて嬉しくて……たまんなくて……
夏実ともっともっと触れ合いたくなる。
「はあっ……夏実の声がっ……可愛い……すごく、凄く可愛いよ」
愛撫から雌雄の粘膜の接触に行動を移す際、夏実に向かってそう呼びかけた。
すると夏実は恍惚と笑みを混じえたような表情を俺に見せて
「今日の湊人、なんだか嬉しそう♡」
と俺に言い返してくれる。
「そう?」
微量の粘液を夏実の中に滲ませた事が理由でない事は俺も理解している。
「うん、湊人の『私がだいすきー』って気持ちが、今私の中に伝わってるのかなぁ」
そしてそれは夏実もそうであるのだと、今知れて尚の事嬉しかった。
接触面をゆっくりと圧する。
互いの口からはやわらかく長く……且つ同時に吐息を漏らし、それは密着していない箇所を埋めるようにフワフワと浮かんでいるような温みを感じさせたが、エアコンの轟音が温んだ空気を一瞬に冷気へと変えさせ、いつもなら心地良かった温度変化が今日は何故か寂しくなった。
「ねぇ、私のこと、褒めて?」
俺の「寂しい」表情を読み取った笑顔の夏実は、そう呼び掛ける。
「夏実を、褒めるの?」
呼び掛けの意図が掴めない俺を見つめながら夏実はやわらかく微笑み続ける。
「だって今日一日だけでもさぁ、みーんな湊人の事を褒めるんだもん。それでなんかぁ、うらやましくなったの」
「羨ましく、なったんだ?」
「うん。だからぁ、せめて湊人からだけでも……1人からだけでも褒められたいなぁって思って」
夏実のその言い方が可愛くて、単純に……純粋に「好きだ」と思ったから
「可愛い」
接触面を更に圧しながら、短い言葉で夏実を褒めた。
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