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5 秘密の地下室 ※
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顔が見えないように、頭からすっぽりとケープのフードを被って、シリルは貴族の邸宅が並ぶ一画へとやって来た。レーリオに手を引かれ、ある屋敷へと足を進める。
一度心が離れてしまうと、肉体関係を持ったことのある相手とはいえ、手を繋いでいるだけでも抵抗がある。全くそういった対象として見ていないが、以前ロメオと手を繋いだときはなにも感じなかったのに……。
灰色の石でできた重々しいその建物は、まるでシリルの心情をそのままあらわしているかのようだった。
屋敷の中へ入ると、数年前に会ったあの老人が待ち構えていた。痩せた貧相な男で、見事なのは綺麗に禿げあがった頭頂部だけだ。当時の嫌な記憶が呼び起こされ、シリルの気持ちはよりいっそう沈みこむ。
「よく来てくれたね。まるで夢みたいだ……」
老人はほんのり頬を染め、フードを被ったままのシリルを見た。その様子はまるで恋する乙女のようだが、シリルに要求している行為はとても正気とは思えない。齢は七十を越えているだろうに、まだ性欲があるのかと思うだけでもびっくりする。その無駄な元気を老いた身体の別の場所へまわせないのだろうかと、シリルは不躾にも光り輝く頭頂部を見つめるのだった。
まずは応接間にでも通されるのかと思ったら、老人はいきなり地下の階段を下りはじめた。
シリルは思わず唖然としたが、改めて自分の立場を思い知らされる。主人自ら出迎えはされたものの、自分は客ではなくただの欲望の捌け口でしかないのだ。
人払いしてあるようで、使用人たちを一人も見かけない。もしかしたら、老人は自分の趣味を使用人にも知られたくないのかもしれない。
ひんやりとした地下の廊下を老人の後をついて進んでいく。壁の石灯籠の中には、赤みを帯びた夜光石が不気味に光っていた。
(なぜ、わざわざこんな色を選んだ……)
レーリオから手を引かれ、シリルはまるで今から拷問室へ連れていかれる囚人になった気分だ。
行き止まりには、どっしりとした重厚な鉄の扉が待ち構えていた。
老人は扉にある穴へ、不思議な模様の入った鉄の板を差しこむ。
初めて見る形状の鍵に、わざわざ自分たちが囮となって部屋に入らなければならない理由に納得する。
(ああ、これはピッキングでは無理だ……)
だから老人に扉を開けさせないといけなかったのだ。
計画ではこの後にもう一人仲間が忍び込んできて、老人が夢中になっている隙に燭台を盗み出し、偽物と入れ替える手はずになっている。他人に行為を見られるのは不本意だが、ロメオが処分されるのに比べたらまだましだ。
打ち合わせの時に『わざわざ盗まなくても金を受け取る代わりに燭台をもらえばいいじゃないか』とレーリオに意見したのだが、『燭台と【復活の灯火】が紐付けられると困るんだ』と却下された。
重そうな鉄の扉は意外にも軽やかに音もなく開いた。
(これだったら途中で開けても気付かないかもしれない……)
シリルは、これから自分の身に起こることを考えると憂鬱になるばかりなので、盗賊目線で部屋を観察して気を紛らわせていた。
部屋は廊下からは想像がつかないくらい明るかった。どこかに通気口があるのか、地下室なのにカビ臭さは感じない。
足を踏み入れると中には天蓋付きの大きなベッドがあり、まるで豪華な客室のようだ。
だが決定的に違うのは、ベッドの上から垂れ下がる何本もの鎖と、壁に飾られた淫具の数々だ。
奥には変わった形の椅子や、なんの用途に使うのかもわからない器具がある。そして、寝台の反対側にあるチェストの上に、五つに枝別れした燭台が置かれていた。
(あれか……)
シリルは目の端で目的の神器を確認する。
実物を初めて見たが、組織のアジトである古代王朝時代の山城には、スタロヴェーキ王朝最期の王の姿と共に、復活の儀式に使用する三種類の神器が描かれている。聖杯、王冠、そしてここにあるものと全く同じ形をした五枝の燭台。
再び神との契約が復活すると、この五枝の燭台に蒼い炎が灯る。【復活の灯火】という組織の名は、燭台にもう一度炎を灯すことを祈願して名付けられた。
今から盗む燭台は組織にとって、重要な役割を果たすものだった。
これから行われる狂気じみた行為の代償として、あの燭台を手に入れるのだ。そうすれば、ロメオは除名を免れる。頭の中で何度も念じ、シリルは覚悟を決めた。
「——ようこそ我が部屋へ。さあ、それを脱いで美しい姿を見せてくれないか」
シリルは観念して、フードを下ろしてケープの紐を解いた。
「ああ……エリオット……やはり君は素晴らしい」
(律儀にも、二年以上前に使った偽名をまだ覚えているのか……)
想像していた以上に、老人は自分に未練があったようだ。すっかり騙されている老人が哀れに思えてきて、シリルはその姿を直視できずにうつむいたままでいた。
「さて伯爵、どうします?」
レーリオが後ろからシリルの肩に手を回し、顎を捕らえる。高圧的な態度にシリルは身を固くした。
老人に聞きながらも、主導権は完全に自分が握っていると言わんばかりの行為に、シリルはレーリオの支配欲の深さを感じる。
「そうだな……まずは裸を見せてくれ」
「ではさっそく脱がせましょう」
部屋の奥へと連れていかれベッドの前に立たされる。そして否応なしに、レーリオの手によって次々と衣服が剥ぎとられていくのを、シリルは固く口を引き結んで耐えた。
「エリオット足をひらいてごらん」
「……っ」
あっという間に一糸纏わぬ姿にされ、シリルは恥ずかしさのあまり足を閉じ屈みこむ。大人になってから、全裸をレーリオ以外の人間に見られるのは初めてだ。シリルの中では、愛する相手にしか見せないものだと思っていた。
「ほら、観念しろ。伯爵によく見てもらえよ」
残酷な言葉と共に、レーリオはベッドに腰をかけその膝の上にシリルを乗せると、膝の裏に手を回し、老人に見えやすいよう思いっきり足を開かせた。
「……ちょっと、まって」
老人の前で抱かれるだけでいいと思っていたので、まさかここまでしなければいけないのかとシリルは焦る。
「こんな所まで美しいとは……」
股間に息がかかりそうなほど近くまで顔を寄せられ覗き込まれると、そのまま食べられてしまうのではないかという恐怖を感じる。
「……いやだっ……」
容赦のない視線にシリルは耐えきれず、声を上げてレーリオの腕の中で懸命にもがく。無駄な抵抗だとわかっていたが、醜い老人の接近に本能が拒絶した。
「エリオット……約束しただろ? 大人しくするんだ」
レーリオがシリルの耳元で優しく囁くが、その言葉はシリルにとって残酷なものだった。
今までレーリオ以外の人物にこんな場所を晒したことなどなかった。それが……レーリオの手によって赤の他人にこの身体を晒されているのだ。
『——お前は俺だけのものだ、他の誰にも触らせない……』
昔囁かれた甘い言葉が頭の隅に浮かぶ。
(あれはいったいなんだったのか……)
シリルの心は暗く閉ざされていく。
「そんなに震えなくていいんだよ。ここも縮こまってる……」
そう言うと、老人はシリルの分身にフッと息を吹きかけた。
「ひっ……」
おぞましさにシリルは悲鳴を漏らし、ますますその身を震え上がらせる。
「よけいに怖がらせてしまったね。……本当はこんなことに慣れてないんじゃないのか?」
これ以上萎縮させてはいけないと老人は身を引いてレーリオに問いかける。
老人は自分が他者に与える影響をよくわかっていて、邪魔だと判断すれば傍観者に徹する潔さも持っていた。
「こいつは、そんなタマじゃありませんよ。俺を捨てて若い男と楽しんでるんですからね」
(——いったいなんの話だ?)
身に覚えのないことを言われ、シリルは戸惑う。
「あの小僧はどうだ? 可愛がってもらってるんだろ?」
(まさか……ロメオのことを言ってるのか……?)
シリルはサーッと顔から血の気が引いていくのを感じた。
ロメオとの関係をそんな風に受け取られていたなんて心外だ。まるで若い愛人のように言われ、大切な相方を穢された気持ちになる。
「……違う」
シリルは白くなるまで下唇を噛みしめて否定した。
「意外だね……こんな清楚な顔をして、君以外の男とも寝ているのか。それも相手が小僧だとはびっくりだ。だったら……この身体に君が言い聞かせてやればいいんじゃないか?」
老人はいやらしい笑みを浮かべ、レーリオに提案する。
「そうですね。そうしないとわからないのでしょうね」
(違う、違うのに……)
レーリオのとんだ勘違いのせいで、シリルは老人の目に年上の相手から若い男に乗り換えたけしからん奴として映っているのだろう。
「——おい、どうした?」
すっかり心を閉ざして萎縮したシリルの身体は、レーリオが優しく愛撫を加えても反応を示さない。
後ろから抱きかかえられた状態で首筋を舐められるが、シリルは身を捩らせ逃れようとする。
レーリオによって快感を教えこまれたこの身体。恋人同士のころは素直に反応を見せていたのに、今はどうだ……まるで石のように身体を固くして。レーリオも異常に気付き怪訝な顔をしている。
しかしシリルにとっては当然の反応だった。
関係を終わらせた相手から身体をまさぐられ、赤の他人にその様子を観察されているというのに、快感を得られるなどただの変態だ。
そんなことよりも、レーリオにロメオとの関係を誤解されたショックで頭がいっぱいだ。
(ロメオとは……そんな関係じゃない……)
「そうだ……あれを使ってみようか」
様子を見かねた老人が、例の燭台が乗ったチェストから小瓶を取り出しレーリオにわたす。
顔が見えないように、頭からすっぽりとケープのフードを被って、シリルは貴族の邸宅が並ぶ一画へとやって来た。レーリオに手を引かれ、ある屋敷へと足を進める。
一度心が離れてしまうと、肉体関係を持ったことのある相手とはいえ、手を繋いでいるだけでも抵抗がある。全くそういった対象として見ていないが、以前ロメオと手を繋いだときはなにも感じなかったのに……。
灰色の石でできた重々しいその建物は、まるでシリルの心情をそのままあらわしているかのようだった。
屋敷の中へ入ると、数年前に会ったあの老人が待ち構えていた。痩せた貧相な男で、見事なのは綺麗に禿げあがった頭頂部だけだ。当時の嫌な記憶が呼び起こされ、シリルの気持ちはよりいっそう沈みこむ。
「よく来てくれたね。まるで夢みたいだ……」
老人はほんのり頬を染め、フードを被ったままのシリルを見た。その様子はまるで恋する乙女のようだが、シリルに要求している行為はとても正気とは思えない。齢は七十を越えているだろうに、まだ性欲があるのかと思うだけでもびっくりする。その無駄な元気を老いた身体の別の場所へまわせないのだろうかと、シリルは不躾にも光り輝く頭頂部を見つめるのだった。
まずは応接間にでも通されるのかと思ったら、老人はいきなり地下の階段を下りはじめた。
シリルは思わず唖然としたが、改めて自分の立場を思い知らされる。主人自ら出迎えはされたものの、自分は客ではなくただの欲望の捌け口でしかないのだ。
人払いしてあるようで、使用人たちを一人も見かけない。もしかしたら、老人は自分の趣味を使用人にも知られたくないのかもしれない。
ひんやりとした地下の廊下を老人の後をついて進んでいく。壁の石灯籠の中には、赤みを帯びた夜光石が不気味に光っていた。
(なぜ、わざわざこんな色を選んだ……)
レーリオから手を引かれ、シリルはまるで今から拷問室へ連れていかれる囚人になった気分だ。
行き止まりには、どっしりとした重厚な鉄の扉が待ち構えていた。
老人は扉にある穴へ、不思議な模様の入った鉄の板を差しこむ。
初めて見る形状の鍵に、わざわざ自分たちが囮となって部屋に入らなければならない理由に納得する。
(ああ、これはピッキングでは無理だ……)
だから老人に扉を開けさせないといけなかったのだ。
計画ではこの後にもう一人仲間が忍び込んできて、老人が夢中になっている隙に燭台を盗み出し、偽物と入れ替える手はずになっている。他人に行為を見られるのは不本意だが、ロメオが処分されるのに比べたらまだましだ。
打ち合わせの時に『わざわざ盗まなくても金を受け取る代わりに燭台をもらえばいいじゃないか』とレーリオに意見したのだが、『燭台と【復活の灯火】が紐付けられると困るんだ』と却下された。
重そうな鉄の扉は意外にも軽やかに音もなく開いた。
(これだったら途中で開けても気付かないかもしれない……)
シリルは、これから自分の身に起こることを考えると憂鬱になるばかりなので、盗賊目線で部屋を観察して気を紛らわせていた。
部屋は廊下からは想像がつかないくらい明るかった。どこかに通気口があるのか、地下室なのにカビ臭さは感じない。
足を踏み入れると中には天蓋付きの大きなベッドがあり、まるで豪華な客室のようだ。
だが決定的に違うのは、ベッドの上から垂れ下がる何本もの鎖と、壁に飾られた淫具の数々だ。
奥には変わった形の椅子や、なんの用途に使うのかもわからない器具がある。そして、寝台の反対側にあるチェストの上に、五つに枝別れした燭台が置かれていた。
(あれか……)
シリルは目の端で目的の神器を確認する。
実物を初めて見たが、組織のアジトである古代王朝時代の山城には、スタロヴェーキ王朝最期の王の姿と共に、復活の儀式に使用する三種類の神器が描かれている。聖杯、王冠、そしてここにあるものと全く同じ形をした五枝の燭台。
再び神との契約が復活すると、この五枝の燭台に蒼い炎が灯る。【復活の灯火】という組織の名は、燭台にもう一度炎を灯すことを祈願して名付けられた。
今から盗む燭台は組織にとって、重要な役割を果たすものだった。
これから行われる狂気じみた行為の代償として、あの燭台を手に入れるのだ。そうすれば、ロメオは除名を免れる。頭の中で何度も念じ、シリルは覚悟を決めた。
「——ようこそ我が部屋へ。さあ、それを脱いで美しい姿を見せてくれないか」
シリルは観念して、フードを下ろしてケープの紐を解いた。
「ああ……エリオット……やはり君は素晴らしい」
(律儀にも、二年以上前に使った偽名をまだ覚えているのか……)
想像していた以上に、老人は自分に未練があったようだ。すっかり騙されている老人が哀れに思えてきて、シリルはその姿を直視できずにうつむいたままでいた。
「さて伯爵、どうします?」
レーリオが後ろからシリルの肩に手を回し、顎を捕らえる。高圧的な態度にシリルは身を固くした。
老人に聞きながらも、主導権は完全に自分が握っていると言わんばかりの行為に、シリルはレーリオの支配欲の深さを感じる。
「そうだな……まずは裸を見せてくれ」
「ではさっそく脱がせましょう」
部屋の奥へと連れていかれベッドの前に立たされる。そして否応なしに、レーリオの手によって次々と衣服が剥ぎとられていくのを、シリルは固く口を引き結んで耐えた。
「エリオット足をひらいてごらん」
「……っ」
あっという間に一糸纏わぬ姿にされ、シリルは恥ずかしさのあまり足を閉じ屈みこむ。大人になってから、全裸をレーリオ以外の人間に見られるのは初めてだ。シリルの中では、愛する相手にしか見せないものだと思っていた。
「ほら、観念しろ。伯爵によく見てもらえよ」
残酷な言葉と共に、レーリオはベッドに腰をかけその膝の上にシリルを乗せると、膝の裏に手を回し、老人に見えやすいよう思いっきり足を開かせた。
「……ちょっと、まって」
老人の前で抱かれるだけでいいと思っていたので、まさかここまでしなければいけないのかとシリルは焦る。
「こんな所まで美しいとは……」
股間に息がかかりそうなほど近くまで顔を寄せられ覗き込まれると、そのまま食べられてしまうのではないかという恐怖を感じる。
「……いやだっ……」
容赦のない視線にシリルは耐えきれず、声を上げてレーリオの腕の中で懸命にもがく。無駄な抵抗だとわかっていたが、醜い老人の接近に本能が拒絶した。
「エリオット……約束しただろ? 大人しくするんだ」
レーリオがシリルの耳元で優しく囁くが、その言葉はシリルにとって残酷なものだった。
今までレーリオ以外の人物にこんな場所を晒したことなどなかった。それが……レーリオの手によって赤の他人にこの身体を晒されているのだ。
『——お前は俺だけのものだ、他の誰にも触らせない……』
昔囁かれた甘い言葉が頭の隅に浮かぶ。
(あれはいったいなんだったのか……)
シリルの心は暗く閉ざされていく。
「そんなに震えなくていいんだよ。ここも縮こまってる……」
そう言うと、老人はシリルの分身にフッと息を吹きかけた。
「ひっ……」
おぞましさにシリルは悲鳴を漏らし、ますますその身を震え上がらせる。
「よけいに怖がらせてしまったね。……本当はこんなことに慣れてないんじゃないのか?」
これ以上萎縮させてはいけないと老人は身を引いてレーリオに問いかける。
老人は自分が他者に与える影響をよくわかっていて、邪魔だと判断すれば傍観者に徹する潔さも持っていた。
「こいつは、そんなタマじゃありませんよ。俺を捨てて若い男と楽しんでるんですからね」
(——いったいなんの話だ?)
身に覚えのないことを言われ、シリルは戸惑う。
「あの小僧はどうだ? 可愛がってもらってるんだろ?」
(まさか……ロメオのことを言ってるのか……?)
シリルはサーッと顔から血の気が引いていくのを感じた。
ロメオとの関係をそんな風に受け取られていたなんて心外だ。まるで若い愛人のように言われ、大切な相方を穢された気持ちになる。
「……違う」
シリルは白くなるまで下唇を噛みしめて否定した。
「意外だね……こんな清楚な顔をして、君以外の男とも寝ているのか。それも相手が小僧だとはびっくりだ。だったら……この身体に君が言い聞かせてやればいいんじゃないか?」
老人はいやらしい笑みを浮かべ、レーリオに提案する。
「そうですね。そうしないとわからないのでしょうね」
(違う、違うのに……)
レーリオのとんだ勘違いのせいで、シリルは老人の目に年上の相手から若い男に乗り換えたけしからん奴として映っているのだろう。
「——おい、どうした?」
すっかり心を閉ざして萎縮したシリルの身体は、レーリオが優しく愛撫を加えても反応を示さない。
後ろから抱きかかえられた状態で首筋を舐められるが、シリルは身を捩らせ逃れようとする。
レーリオによって快感を教えこまれたこの身体。恋人同士のころは素直に反応を見せていたのに、今はどうだ……まるで石のように身体を固くして。レーリオも異常に気付き怪訝な顔をしている。
しかしシリルにとっては当然の反応だった。
関係を終わらせた相手から身体をまさぐられ、赤の他人にその様子を観察されているというのに、快感を得られるなどただの変態だ。
そんなことよりも、レーリオにロメオとの関係を誤解されたショックで頭がいっぱいだ。
(ロメオとは……そんな関係じゃない……)
「そうだ……あれを使ってみようか」
様子を見かねた老人が、例の燭台が乗ったチェストから小瓶を取り出しレーリオにわたす。
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