秘密結社盗賊団のお仕事

無一物

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6 燃える身体と凍える心(その1)※

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「さあ、これを飲ませて」

「いかにもって色をしてますね」

 手にとって瓶の中の怪しい紫色の液体を眺めながら、レーリオは唇をいやらしく歪ませると、中味を口に含んだ。
 てっきり自分が飲まされるのかと思っていたシリルは茫然ぼうぜんとするが、レーリオから顎を捕らえられると、次になにをされるのか察した。

「やめろっ……んんっ……うっ……」

 抵抗はしたものの、結局レーリオに口移しで液体を強制的に飲まされる。
 苦みの強い薬草に無理矢理甘味をつけごまかしたような味に、シリルはこれがなにかの薬であることに気付く。

「——全部飲んだかい? これを飲んだら間違いなく天国にいけるよ」

 さも愉快だとばかりに、老人はベッドの横にある自分専用の椅子に腰を据えて、これから起こる見世物を目に焼き付けようと目を輝かせていた。

「くっ、少し飲んじまった……」

 口を拭いながら、レーリオが顔をしかめる。

「いいじゃないか、二人で天国に行ってしまえば」

 ピクニックにでも行くかのような老人の言い草に、レーリオが鼻で軽く笑う。

「覚悟しろよ……今夜は抱き潰してやるからな」

 レーリオから耳たぶを齧られ、そのまま耳の穴に舌を入れられる。

「……ひゃっ……っ……」

 得体のしれない液体を飲まされてから、なんだか肌がゾワゾワとして落ち着かない。

「早いな、もう反応が変わってきたぞ」

 老人がすぐそこでシリルの様子をじっくりと観察しながら、誰に聞かせるでもなく状況を説明するものだから、シリルは余計にいたたまれなくなる。

「エリオット、お前はここをいじられるのが大好きだよな」

「……んっ……」

 レーリオにサーモンピンクの胸の飾りを左右同時に摘み上げられ指の腹で転がされる。
 まるでそこが粘膜になったかのように敏感になっている。

「……ぁっ……んっ……ッ……」

「声を殺しても駄目だよ。そんないやらしい色をして、いじってほしくて誘ってるんだろ?」

 老人は反応を見せはじめたシリルの様子にますます上機嫌だ。

「お前はここだけで勃つような浅ましい身体だろ?」

 レーリオがまるで小さな石ころでも弾くように、ぴんぴんと乳首を爪で弾く。

「あっ……あっ……やぁ……」

 弾かれるたびに声があがり、羞恥のあまり顔を後ろに背けるが、待ち構えていたとばかりに唇を奪われる。

「……ふっ…んんんッ……」

 レーリオの舌が口の中で逃げ惑うシリルの舌を絡め取り、まるで蛇のまぐわいのように纏わり付いてくる。

「……んっ……ふっ……ん……」

 やっと唇を開放されるが、粘膜同士の接触にシリルの理性は侵食されていく。

「そんなによかったか? 伯爵に見えやすいようにこうしよう」

「……やめろッ……なにをするんだっ……」

 レーリオは柔らかい布を取り出し、危険を察知し逃げようとするシリルの手首をそれで縛る。

「こっちのほうが俺も集中できるんだよ」

 ベッドの天蓋に何本もぶら下がっている鎖の一本を掴むと、先端に付いているフックをひっぱり、縛った手首をそれに引っかけ、上についた滑車で高さを調節する。
 頭上に手首がきたところで滑車を固定し、後ろからシリルを抱えていたレーリオが身体をはなした。
 ベッドのふちに腰をかけている状態なので、手首だけで体重を支えることにはならないが、両手を拘束され身体の自由を奪われたら、一気に不安が増す。

「はなせっ……」

 抵抗したわけじゃないのに、なぜこんな扱いをされるのだろうか。

「やっぱりこっちのほうが興奮するな」

 レーリオも隣に座ると、腰を抱いて横から乳首に舌を這わせはじめる。

「……っぁ……いやっ……ッ……」

 足の間にはオットマンを置かれて閉じられないようにされてしまった。これでは熱を持った場所がよけいに丸見えだ。

「気持ちいいんだろ? ここも頭をもたげてきてるぞ」

「胸だけで完全に勃たせられるかい?」

 二人の視線がシリルの浅ましい反応を見せはじめた分身に集まる。
 その視線を受けるだけでも、身体が熱くなってくる。

「おや? 見ただけでもぴくりと動いた……」

「……ちがっ……あっ……うあああぁっ……」

 否定しようとすると、レーリオが乳暈ごと左乳首に歯をたてる。前歯にサーモンピンクの部分を挟まれ、緩く扱かれるだけでも、叫び声を上げてしまう。
 そちらに気をとられていると、腰を抱いていた手が不意に右の乳首をギュッと摘んでひっぱった。

「ひっ……あっ…あっ…はなしてっ……」

 口を引き結んでも、強くひっぱられるたびに短い喘ぎ声が漏れてしまう。

「凄いね、胸だけで完全に勃起した……赤みを帯びて綺麗なバラ色になった」

「……見るなっ…あっ……ああ……」

 老人から視姦され、足を閉じようとしても、オットマンに阻まれる。
 自分の身体なのに完全に制御不能に陥り、シリルは快楽の渦に飲み込まれていった。

「伯爵、エリオットはこのままでは粗相をしてしまいます。これで縛って頂けませんか?」

 レーリオが、シリルの黒髪を結んでいた紺色の細いリボンをするりと解くと、伯爵へと差し出した。

「私は傍観者なんだがね。君からお願いされたのなら仕方ない……」

 老人は口ではそう言いながらも、満更でもなさそうだ。

「なにをっ_!?_」

 痩せた指にシルクのリボンをとると、シリルの薔薇色の性器に根本からまるでラッピングでもするかのように、シュルシュルと音をたてながら縛っていく。
 僅かであっても直接的な生殖器官への刺激に、シリルは声を上げずにはいられなかった。

「……あっ…うぁ……」

 リボンが性器をこするたびに、ぴくぴくとまるで別の意思を持った生き物のように反応した。
 括れの下で幾重にも巻いて綺麗にリボン結びを作ると、老人は満足そうに微笑んだ。

「これでよし」

「ありがとうございます。これでこいつも勝手に粗相をするような真似はしないでしょう」

 そう言いながら、レーリオはシリルの敏感な先端を指先で撫でた。

「うあああっっ………」

 たったそれだけのことなのに充血したそこはドクドクと脈打ち疼きはじめる。根元で堰き止められているせいで、苦しさに欲望が暴れまわった。
 レーリオは床に下ろしていたシリルの足もベッドに上げ、股をひらかせる。

「ほら、お前のいやらしい穴も伯爵に見てもらうんだ」

 シリルはM字状に開脚された足の間を、舐めるように視線が這っていくのを感じた。

「ああ、君は何もかもが期待以上の美しさだ……ひくひくとバラの窄まりが蠢いている」

 股の間に顔を入れるように近付いた老人が、まるで宝石でも見ているかのように目を細めている。

「やめろっ…そんなところ見るなッ…」

 自分の排泄器官をそんな目で凝視されることに耐えきれない。足を閉じようとするが、レーリオが太ももをぴしゃんと叩いてそれを許さない。「わかってるだろ?」と言わんばかりの冷酷な目で睨まれる。


(ロメオを守るためだ……)

 シリルは唇を噛みしめ、自分だけのためならばがまんできないような屈辱にも耐えた
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