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7 燃える身体と凍える心(その2)※
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「……ひっ……」
後ろに冷たい潤滑油を垂らされ、ビクリと身体がすくんだ。
「力を抜いて」
いよいよ、そこを暴露される。
「……っぁ……嫌だっ……」
レーリオが油にまみれた手で会陰をマッサージすると、窄まりのシワを一つ一つなぞるように円を描き指先でなぞる。
それだけでも、薬で熱くたぎった肉体は期待に打ち震え、欲望に巻きついた紺色のリボンがひくひくと揺れた。
「凄いね……連動している」
老人はがまんしきれなくなり、自分の椅子から立ち上がると、先程までシリルの足の間にあったオットマンに腰掛けた。
「お前はなにも知らないようなツンとした顔をしているけど、若い雄を飲み込んで悦んでいるんだろ?」
「違う……」
「お前に訊いてるんじゃない。いやらしいこの下の口に訊いてるんだっ!」
そう言い放つとレーリオは左手の人差し指と中指で窄まりを横一文字に伸ばす。
歪に引き伸ばされても、シリルは浅ましい蠢きを自分で止めることができない。
横に伸びた穴のちょうど真ん中に右手の中指をあてると、小刻みに動かしながらゆっくりと中へと侵入していく。
「……うううっ……はぁっ……あっ……ああっ……」
息を止めて声をがまんしようとするが、体内への侵入にシリルは屈服してしまう。
数年ぶりのその行為は、薬で身体が熱くなっていても異物感が強い。
「ほら、もっと力を抜け」
レーリオは指半ばほどまで埋めたまま、力を緩めさせるために、シリルのリボンの付いた分身を刺激しはじめた。
「あっ……うううぁっ……」
先端を撫でられるだけで股間に一気に熱が集まるが、根本を堰き止められているせいで、じんじんと腫れたように欲望が溜まっていく。
「いやらしい液が滲んできたぞ」
律儀にその様子を実況しながら、老人は鼻息を荒くする。
「あっ……いやっ……ぁっ…あっ……」
薬に支配され肉体を制御することなどできない。シリルはもっと快感を求めてはしたなく腰を揺らした。
「さあ、お前のイイトコはどこだったかな?」
股間に集中し力が抜けた所で、レーリオは手のひらを上に向け、中指でシリルの腹側を慎重に探っていく。
「ひゃぁっっ……ダメッ…」
レーリオの指がある一点を探り当てると、シリルの足がビクッと大きく戦いた。
そこは快感のツボで、この男だけが知っている場所だった。
「ここか? どれ……」
「いやぁっ……あっ…あっ……」
触れられるたびにまるで雷でも落ちたかのような衝撃を受け、あられもない声を上げてしまう。
「そんなにそこがイイのかい? 口から涎がたれている」
老人から指摘されても、シリルはあまりにも強い快感に口を閉じることができないでいた。
レーリオは指を二本に増やすと、再びそこを攻めにかかる。
「嫌だっ…イヤッ……あああっ……」
同時に竿にも刺激を加える。
根本を堰き止められ、鈴口からトロトロと先走りの液を流すのだが、それだけではぜんぜん足りない。
もっと勢いよく欲望を吐き出したかった。
「あああっっ……イカせて……いやっ…もう無理ッ…むりだからっ……ひぃッ……」
胸を喘がせて呼吸をするが、息が続かない。目の前が真っ白になり、身体の中に大きなうねりがやってくる。
だがレーリオは止めるどころか、残酷にももう一本指を増やして、シリルの泣き所を摩擦しはじめた。
こんな暴力のような快楽に曝されることなど初めてで、ただ怖かった。
最後の足掻きのようにがむしゃらに暴れだしたシリルを押さえながらも、レーリオは中に入れた手を止めない。
切羽詰まった悲鳴と、ジャラジャラと鎖がなる音が響きわたる。
「……来るっ……あああっ…ダメっ…くるからっ……うああぁぁぁぁぁっっ!」
まるで自分の身体ではないようだ。大きな波に飲まれて身体中がバラバラと音をたてて崩れ落ちた。
「……なかでイったな。きゅうきゅうに指にしゃぶりついてくる」
ぐちゅんっ……と音をたてて三本の指を後ろの穴から出すと、まるで名残惜しそうに珊瑚色の中の粘膜が少しだけ顔を出して吸い付いてくる。
「——すごい……」
老人が感嘆の声を上げても、ビクビクと痙攣を止めることのできないシリルは、自分の肉体になにが起こったのか理解できずに、淡藤色の瞳を虚空に向けたまま浅い呼吸を繰り返す。
シリルは生まれて初めて、射精を伴わない絶頂を体験した。
だが残虐な支配者は、休む暇などあたえなかった。
「ほら、エリオット……指じゃ足りないだろ? 俺のを入れてほしいなら自分でお願いしてごらん。できたらこのリボンも外してあげるよ」
リボン結びの輪に指を入れ引くと、真っ赤に充血した可哀そうなシリルの分身も一緒にひっぱられる。
「ひっ……ダメッ…そこは……はっ…あっ…っ……」
へそに付く勢いで起ちあがる花芯を、レーリオはリボンに指を絡めたまま下方へとひっぱり手をはなす。反動でそれはペチンと肉を打つ音をたてながら腹にあたる。
レーリオは悪い遊びを覚えた子供のようにそれを何度も繰り返した。
リボンを食い込ませた分身が、へそまで先走りの液をまきちらし腹に打ちつけられるが、そんなもどかしい動きだけではぜんぜん足りない。
「おいおい……はしたないな。犬みたいに腰を振って……言っただろ? イキたいならお願いするんだ」
そう言うと、レーリオはまるで凶器のような自分の雄を取り出して、シリルのひくつく入り口へあてがう。
「相変わらず立派だね。それにしても……自分で飲み込もうと必死じゃないか」
くちくちといやらしい音をたてるそこを、老人は夜光石の明かりを手に持ち、食いつくように見つめている。
自分では気づいていないかもしれないが、光に照らされたその顔は、欲望に醜く歪みまるで化け物みたいだ。
「んぁっ……もう…前を解いてっ……苦しいっ……」
「うわっ……イソギンチャクみたいに吸い付いてきてる」
醜い下等生物に例えられ、シリルはショックを受ける。それなのにもう……熱に浮かされて理性を手放しかけていた。
「ああっ……あっ……お願いっ……とって…もう……ダメ……」
小さな子がイヤイヤをするように、シリルは左右に首を振った。
限界がすぐそこまで来ている。
「エリオット、イキたいなら『中に入れて下さい』ってお願いしないと駄目だろ、ほらっ」
レーリオは腰を円を描くように動かしシリルの入り口を翻弄するが、決して中には入れようとしない。
(——もう、がまんできないっ!)
「あっ……ダメッ……中にっ……いれ…てくだ…さ…い……」
シリルはとうとう、欲望の前に屈服してしまう。
見上げると……レーリオが満足そうに微笑んでいた。
まるで、昔に返ったかのように優しい表情だ。
そして、その後ろには——信じられないことに……呆然とこちらを見つめるロメオの姿があった。
(——どうしてっ……ここにっ_!?_)
今日のことはロメオに黙っておいてくれと言ったはずだ。
「淫乱め。ほら、お前の欲しいモノをくれてやるよっ」
再び残忍な顔に戻ったレーリオが、前のリボンを解き、自分の凶器をシリルの中に埋め込んでいく。
そして——レーリオ越しに見える琥珀色の二つの瞳が、罪人を裁く正義の剣のように、シリルの心を突き刺した。
(違うっ……違うっ…これは違うんだっ)
「いやぁぁぁぁぁぁっっ!」
後ろに冷たい潤滑油を垂らされ、ビクリと身体がすくんだ。
「力を抜いて」
いよいよ、そこを暴露される。
「……っぁ……嫌だっ……」
レーリオが油にまみれた手で会陰をマッサージすると、窄まりのシワを一つ一つなぞるように円を描き指先でなぞる。
それだけでも、薬で熱くたぎった肉体は期待に打ち震え、欲望に巻きついた紺色のリボンがひくひくと揺れた。
「凄いね……連動している」
老人はがまんしきれなくなり、自分の椅子から立ち上がると、先程までシリルの足の間にあったオットマンに腰掛けた。
「お前はなにも知らないようなツンとした顔をしているけど、若い雄を飲み込んで悦んでいるんだろ?」
「違う……」
「お前に訊いてるんじゃない。いやらしいこの下の口に訊いてるんだっ!」
そう言い放つとレーリオは左手の人差し指と中指で窄まりを横一文字に伸ばす。
歪に引き伸ばされても、シリルは浅ましい蠢きを自分で止めることができない。
横に伸びた穴のちょうど真ん中に右手の中指をあてると、小刻みに動かしながらゆっくりと中へと侵入していく。
「……うううっ……はぁっ……あっ……ああっ……」
息を止めて声をがまんしようとするが、体内への侵入にシリルは屈服してしまう。
数年ぶりのその行為は、薬で身体が熱くなっていても異物感が強い。
「ほら、もっと力を抜け」
レーリオは指半ばほどまで埋めたまま、力を緩めさせるために、シリルのリボンの付いた分身を刺激しはじめた。
「あっ……うううぁっ……」
先端を撫でられるだけで股間に一気に熱が集まるが、根本を堰き止められているせいで、じんじんと腫れたように欲望が溜まっていく。
「いやらしい液が滲んできたぞ」
律儀にその様子を実況しながら、老人は鼻息を荒くする。
「あっ……いやっ……ぁっ…あっ……」
薬に支配され肉体を制御することなどできない。シリルはもっと快感を求めてはしたなく腰を揺らした。
「さあ、お前のイイトコはどこだったかな?」
股間に集中し力が抜けた所で、レーリオは手のひらを上に向け、中指でシリルの腹側を慎重に探っていく。
「ひゃぁっっ……ダメッ…」
レーリオの指がある一点を探り当てると、シリルの足がビクッと大きく戦いた。
そこは快感のツボで、この男だけが知っている場所だった。
「ここか? どれ……」
「いやぁっ……あっ…あっ……」
触れられるたびにまるで雷でも落ちたかのような衝撃を受け、あられもない声を上げてしまう。
「そんなにそこがイイのかい? 口から涎がたれている」
老人から指摘されても、シリルはあまりにも強い快感に口を閉じることができないでいた。
レーリオは指を二本に増やすと、再びそこを攻めにかかる。
「嫌だっ…イヤッ……あああっ……」
同時に竿にも刺激を加える。
根本を堰き止められ、鈴口からトロトロと先走りの液を流すのだが、それだけではぜんぜん足りない。
もっと勢いよく欲望を吐き出したかった。
「あああっっ……イカせて……いやっ…もう無理ッ…むりだからっ……ひぃッ……」
胸を喘がせて呼吸をするが、息が続かない。目の前が真っ白になり、身体の中に大きなうねりがやってくる。
だがレーリオは止めるどころか、残酷にももう一本指を増やして、シリルの泣き所を摩擦しはじめた。
こんな暴力のような快楽に曝されることなど初めてで、ただ怖かった。
最後の足掻きのようにがむしゃらに暴れだしたシリルを押さえながらも、レーリオは中に入れた手を止めない。
切羽詰まった悲鳴と、ジャラジャラと鎖がなる音が響きわたる。
「……来るっ……あああっ…ダメっ…くるからっ……うああぁぁぁぁぁっっ!」
まるで自分の身体ではないようだ。大きな波に飲まれて身体中がバラバラと音をたてて崩れ落ちた。
「……なかでイったな。きゅうきゅうに指にしゃぶりついてくる」
ぐちゅんっ……と音をたてて三本の指を後ろの穴から出すと、まるで名残惜しそうに珊瑚色の中の粘膜が少しだけ顔を出して吸い付いてくる。
「——すごい……」
老人が感嘆の声を上げても、ビクビクと痙攣を止めることのできないシリルは、自分の肉体になにが起こったのか理解できずに、淡藤色の瞳を虚空に向けたまま浅い呼吸を繰り返す。
シリルは生まれて初めて、射精を伴わない絶頂を体験した。
だが残虐な支配者は、休む暇などあたえなかった。
「ほら、エリオット……指じゃ足りないだろ? 俺のを入れてほしいなら自分でお願いしてごらん。できたらこのリボンも外してあげるよ」
リボン結びの輪に指を入れ引くと、真っ赤に充血した可哀そうなシリルの分身も一緒にひっぱられる。
「ひっ……ダメッ…そこは……はっ…あっ…っ……」
へそに付く勢いで起ちあがる花芯を、レーリオはリボンに指を絡めたまま下方へとひっぱり手をはなす。反動でそれはペチンと肉を打つ音をたてながら腹にあたる。
レーリオは悪い遊びを覚えた子供のようにそれを何度も繰り返した。
リボンを食い込ませた分身が、へそまで先走りの液をまきちらし腹に打ちつけられるが、そんなもどかしい動きだけではぜんぜん足りない。
「おいおい……はしたないな。犬みたいに腰を振って……言っただろ? イキたいならお願いするんだ」
そう言うと、レーリオはまるで凶器のような自分の雄を取り出して、シリルのひくつく入り口へあてがう。
「相変わらず立派だね。それにしても……自分で飲み込もうと必死じゃないか」
くちくちといやらしい音をたてるそこを、老人は夜光石の明かりを手に持ち、食いつくように見つめている。
自分では気づいていないかもしれないが、光に照らされたその顔は、欲望に醜く歪みまるで化け物みたいだ。
「んぁっ……もう…前を解いてっ……苦しいっ……」
「うわっ……イソギンチャクみたいに吸い付いてきてる」
醜い下等生物に例えられ、シリルはショックを受ける。それなのにもう……熱に浮かされて理性を手放しかけていた。
「ああっ……あっ……お願いっ……とって…もう……ダメ……」
小さな子がイヤイヤをするように、シリルは左右に首を振った。
限界がすぐそこまで来ている。
「エリオット、イキたいなら『中に入れて下さい』ってお願いしないと駄目だろ、ほらっ」
レーリオは腰を円を描くように動かしシリルの入り口を翻弄するが、決して中には入れようとしない。
(——もう、がまんできないっ!)
「あっ……ダメッ……中にっ……いれ…てくだ…さ…い……」
シリルはとうとう、欲望の前に屈服してしまう。
見上げると……レーリオが満足そうに微笑んでいた。
まるで、昔に返ったかのように優しい表情だ。
そして、その後ろには——信じられないことに……呆然とこちらを見つめるロメオの姿があった。
(——どうしてっ……ここにっ_!?_)
今日のことはロメオに黙っておいてくれと言ったはずだ。
「淫乱め。ほら、お前の欲しいモノをくれてやるよっ」
再び残忍な顔に戻ったレーリオが、前のリボンを解き、自分の凶器をシリルの中に埋め込んでいく。
そして——レーリオ越しに見える琥珀色の二つの瞳が、罪人を裁く正義の剣のように、シリルの心を突き刺した。
(違うっ……違うっ…これは違うんだっ)
「いやぁぁぁぁぁぁっっ!」
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