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32話 陛下との話です

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私とお父様、メイリスとフォストの4人は昨日の話通り王宮に来ていた。

「シエラ嬢...すまなかった」

私達が到着すると陛下はそう言って頭を下げた。

「陛下...っ、やめてください...!それより、私が何も言わずに国を出たせいで沢山の被害があったと聞きました。申し訳ございません」

「いや...儂がシエラ嬢が聖女と知っていながら教えなかったのが一番悪かった」

そう言って目を伏せる陛下を見ると申し訳なさが増してくる。

「陛下!陛下が悪いのであれば私達だってシエラにずっと隠してきたのです!私達も同罪です!」

そう言う宰相の言葉にお父様は静かに頷いた。

「シエラ、言い訳に聞こえると思うが、いつか伝えたければと思ってはいたんだ。すまない」

皆に謝られてオロオロしていると、横から

「まぁまぁ...そんなに同時に謝られちゃ、シエラ嬢も大変ですよ」

と助けがはいった。そう言うのは勿論、フォストだ。

3人は、確かに...と渋々ながらも謝るのをやめて落ち着きを取り戻していた。

「出過ぎた真似を申し訳ございませんでした」

と言ってフォストが陛下に謝ると

「よいよい。さっきの言葉がなければ今でも収拾がつかなかっただろう」

と陛下は微笑んだ。

「挨拶が遅くなって申し訳ございません。ハルエット国の第3王子フォスト・レンダと申します」

フォストは今まで見たことがないくらい真面目な顔をして陛下に自己紹介をした。

私はフォストの雰囲気が全く違ったから少し驚いてしまった。

「おぉ...シエラ嬢がお世話になったと聞いておる。感謝するぞ」

「いえ、どちらかというと、我が国でシエラ嬢が貢献したことの方が凄すぎて、感謝してもし足りないくらいですよ」

2人の話を大人しく聞いていたが、私とメイリスはそんなに大したことをしたつもりは無いんだが...。

「そうかそうか!儂らのせいだが、シエラ嬢は今まであまり外に出たことがなかったからな...楽しかったか?」

「え...えぇ、凄く楽しかったですわ」

急に話を振られたから少し吃ってしまったが、そう返答して微笑むと陛下も宰相も嬉しそうに頷いた。






 陛下は、さて、と話を区切ると

「シエラ嬢、帰ってきたばかりで申し訳ないが奴らの処罰を決めなければならない」

と言った。

陛下が言っているとはマノン達のことだろう。

「...処罰ですか?」

と私はつい聞き返してしまった。

私が勝手に家出をしていただけなのに、なんだか凄いことになってしまっている。
特にマノンの両親からは何もされていないし、処罰をする必要があるのだろうか?

なんなら、私に処罰があっても仕方ないと 思っていたくらいなのに

と考えていると、急に扉が開いた。

見ると、そこにはマージェン伯爵夫妻とマノン、アバズリー男爵夫妻とリリーが居た。

全員、手枷を付けられていて貴族だった面影もないくらいボロボロになっていた。


私達の前で跪かせるとリリーは凄い形相で私のことを睨みつけてくる。

それを見なかったことにして視線を逸らしたたと同時に宰相が罪状を読み上げた。

マージェン伯爵夫妻は陛下と公爵に対する虚偽の申告。
婚姻前、リリー・アバズリーのことを問い詰めたところ今は心を入れ替えてるとの報告をされたらしい。

マノンは陛下と公爵からの命令を守らなかった。
曰く、陛下自ら、私が国から出ることになる原因をつくったら処罰を与えるとの通達があったらしい。

全く知らなかった...。

リリーはマノン以外にも色んな人にお金を使わせているらしい。
そのせいで、多数の家が潰れかかってて、前から報告があがっていたらしいが、それだけでは処罰は難しいとのことで放置されていた。
マノンの子供がいることも嘘だったみたいだ。

男爵家はその責任を負わせるとのこと。


そして宰相は最後に

「処罰は、シエラ嬢に決めて欲しいと思っている」

と言って締めくくった。





「え?」

と思わず陛下を見ると

「儂ら全員一致でそれがいいと思っている」

頷きながらそう言われてしまった。

急にそんなことを言われても...。もう陛下とお父様が決めていると思っていたから本気で困ってしまう。

「えー......っと」

私は必死に脳みそをフル回転させたが、全く思いつかない。

......一人を除いては。



「......では一人だけ...後は陛下たちにお任せ致します」

と言ってリリーを見るとビクッと肩を震わせた。

「リリーさんは修道院へお願いします」

そう言うと、リリーから真っ黒な...不気味なオーラが急に溢れ出てきた。
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