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魔物と湖ダンジョン

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    今日も湖だ。そしてランスは釣り。今日は岸から離れたら、ヤブランはアロカシアになった。私の作った水着を着て。

    早速湖に入り、以前にランスに教わった犬かきをしている。
(これでは獲物が狩れないな)

    仕方ないな…
    私も水着に着替える。
    
    身体に結界を纏うと、ぴったりした生地と、ワンピースタイプの水着だからか、脱げたりしない。アロカシアと違って、私は攻撃されたら怪我しちゃうからね。
(アロカシア、潜って泳ぐ方法を教えるよ)

    アロカシアは空気飴を口に入れた。勿論私も。
    潜った当初はタコ踊りみたいに変な動きをしていたアロカシアだけど、元々の運動神経がいいからか、私を真似てすぐに泳げるようになった。

    転生前は25メートル泳ぐのがやっとだったけど、今は潜水も自在に出来る。
(?!く…苦しい!)

    アロカシアが必死に泳いで湖面に顔を出す。
(泳ぎに慣れてないからかな…空気飴は余分に作ってあるから、必要なだけ舐めて)

    慣れない動きに空気が余分に必要になる。
    まだ慣れてないから、泳ぎながら口の中で風魔法を使うのも難しいのだろう。
    それでもアロカシアは結界を纏わなくて済むから、その分楽なはずだけど。

(ボートに戻って、休憩しながらの方がいいよ)
    私より体力はあると思うけど、慣れない動きの上に、水に浸かっているから体力は奪われる。

「ふう…湖の中では獲物が食べ放題かと思ったが、甘かったな」
「すぐには無理…てか、ちゃんと料理した方がいいと思うけど」

    というか、ここには依頼で来てるんだから、巨大魔物を探す努力もしなきゃだよね。

「メイ…泳いで遊ぶのは、魔物を討伐してからの方がいいと思うの」
「分かってるよ…」
    相変わらず釣りをしているランス。シュガーは玩具で一人遊びをしている。

    うーん…気になるのは、湖中央にある島だ。
「ね、フレイム…あの島、何か気にならない?」
「ボクは別に…」
「主が気になるなら、行ってみたら良いだろう」

    シュガーは人化したままでも空間移動出来るから、他のみんなには手を生やしたドローンで掴んで、少し離れた岩場に船をロープで縛り、飛ぶ。
    ロッククライミングは却って怖いので、そのまま飛んで、松の木の根元に降りる。この1本松はこの湖の名所で、一番の見所…うーん。取り敢えずゲートを開いておこうかな。

「ふむ…何もないようだな?」
「うーん?でも、何か…気になる」
    むしろ下?

    魔力感知で下を見ると、大きな反応がある。
「…いる!湖の中に!」
    取り敢えずメタルは出して、一緒に来て貰う。
「アロカシアは…気をつけてね?」

    シュガー達は影に入れた。

    メタルは魔法で浮力をつけて付いてくる。アロカシアも空気飴をたくさん口に入れて、島から飛び降りた。

    島の下には大きな穴が開いていて、巨大な魚が襲いかかってきた!
(アロカシア!島の奥が空洞になっている!)

    泳ぎながらの戦いは、まともに戦えるのはメタル位だ。
    アロカシアが先に、魔法でダメージを与えつつ、中に入っていく。
    メタルが正面に立って魚の気を引いてくれているうちに、私も奥へ…!空気飴が!
    大丈夫…焦らない。まだ苦しくはない。苦しくなっても、私には魔法がある。

    驚いた事に、奥には空気がある。しかもこの感じは…
    いや、今は目の前の魔物に集中だ!
    魚の鱗なのに硬い!しかも後ろに行った事が分かり、尾びれで激しく攻撃してくる。

    私はまだ結界に守られているし、この程度の攻撃ではアロカシアを傷つける事は出来ない。

    オリハルコンの大剣を出したアロカシアが、力巻かせに尾びれを切り落とそうと、大剣を降り下ろした!
    前からのメタルの攻撃。そして後ろからのアロカシアの攻撃で、傷つけられていく。

    再生能力は…ない。

    魚が黒い液体を吐き出した。これな…毒!でも、メタルには当然効かないし、アロカシアも大丈夫だ。私も当然、結界の中だからね。

    生命力を奪う魔法、ドレインを使うと、魚の動きが鈍くなった。これで二人が有利になる。

    私も、下腹部…内臓のある所に、ホーリーを放つ。

    看破    猛毒ニジマスの唯一種の死体

    よし!この死体は吸収される前に収納庫に入れた。
    そう…この感じは、ダンジョンだ。この魔物の食べ残しは、きっとダンジョンに吸収されているだろう。

「主、魚の肉片が」
「そうだね。ここは既にダンジョンの中みたい。ほら、階段もあるよ?」

    階段の前はさすがに濡れていないし、ランス達を出してあげよう。
「俺も戦闘前に出して欲しかったのだが」
「あんまり余裕もなくてさ。シュガーも一緒に出したら嫌がるでしょ?」

「濡れるのは嫌にゃ…でも、にゃー達も頼りにして欲しかったにゃ…」
「ごめんね。でも、ダンジョン攻略は一緒にやろうね!」

「その前に、戻ってギルドに報告した方がいいと思うの」
「ええー。面倒。元々1ヶ月の期間があるんだから、後でもいいよね?」

「にゃーもいいと思うにゃ!誰も来ないダンジョンなら、思いっ切り遊べるにゃ!」

    ここの入り口からダンジョンだから、ここにゲートを開く事は出来ない。でも上の松の木の所には開いたから、ショートワープで来られる。目印もしっかりしてるから、簡単だ。

    ダンジョン内に入る前に、アロカシアはヤブランになった。ここにはまだ冒険者も来ないのに、律儀だな…自分の中でのけじめ?

    取り敢えず1階層。ええと…川エビ?

    看破    ミズエビ    攻撃力は殆どないが、一応魔物

    やっぱり川エビか。踏み潰しても、極たまにしか川エビそのものは残らない。
    唐揚げにしてもいいだろうけど、ちょっとしか拾えないなら、無視でもいいや。

    シュガーには、グリーフロッグの皮の残りがあるので、ブーツに融合させた。これが本当の長靴を履いた猫?

「口汚しにもならないな」
    拾い食いしたヤブランがつまらなそうに言った。

「ちゃんとクリーンはかけてね?…てか、拾い食いは止めようよ…」
「済まない…小さいとはいえ、折角の食べられるドロップアイテムがそのままにされるのは…」
「小腹が空いたなら、おやつでも食べたら?」
「い、いや…そういう訳では。確かに褒められた行為ではないし、夕飯までもう少しだから、我慢する」

    ここのダンジョンは、見かけに反して結構な広さがある。取り敢えず階段も見付けたし、2階層には行くけど、攻略に時間はかかるかもね。

「ブーツが濡れてきたにゃ…」
    確かに、ちょっと不快だ。グリーフロッグの皮はまだ結構余っているし、みんなのブーツに融合させた。これで水を通さない。
    完全なゴム製じゃないけど、長靴みたいな物だ。
    2階層は…エビの次はザリガニ?

    看破    ザリビー    小型虫系魔物。鋏に注意

    たまに落とすのは、砂粒みたいに小さな魔石。

    鋏での攻撃は鋭く、ヤブランの服の端を切った。
    服は、ヤブランの魔力で生み出された物だ。
「服の防御力には拘らないから綿の服だが、それでも通常よりも強い糸だが…なかなかやるな」
    まあ、踏み潰されて終わりな魔物だから、素早さと防御力はないのだろう。

    どうにか階段を見付けた頃にはみんなお腹ペコペコだ。
「魔法石にも触れたし、戻ろうか…すぐご飯にしようね」
    ダンジョン入り口に戻り、そこからショートワープ。
    私達はショートワープで移動出来るけど、他の冒険者は島まで船で来て、そこから潜って行かないと…空気飴、売れそうだな。

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