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第9話 慌てる従姉妹は砲台3つ
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シュナは慌てていた。王都の警備を強化するために、もう既にイエリが行動しているのを掴んだのだ。
その話は昨夜、イエリが父であるベッカー伯爵に、王都だけではなく西側に位置する町や村を回るという話をしていたのを盗み聞きして知ったことだった。
イエリはローベルトと共に、今朝西に向かった。
そもそもの町の装備では、王都とは比べ物にならないのでスタンピードを止めることは不可能なのだ。
仕方なく、魔物が通ると予測できる地域の人々には避難してもらうよう呼び掛けることにした。
そしてイエリがいない間に、シュナはジンナムの家に行ってスタンピードが起きる可能性があると話し出しす。
「なんだ、出来るではないか! ようやく私の出番か。さっそく、なんとかしてこい。」
あまりにもシュナが何も出来ないからと疑っていたジンナムだったが、今回のスタンピードを予測したおかげか、その疑いはいずこかへ飛んでいったらしい。
今まではいつの間にか行動して結果を出していたシュナ。ジンナムは、今回もシュナが勝手になんとかすると思っていた。
しかしシュナは、出番と言っておきながら丸投げするというジンナムの言葉に驚き、顔色を変えた。
「お、王都の警備は、何とか強化しておりますわ。」
「そうか。引き続き励めよ。」
まるで他人事である。
シュナは今回も、すでにイエリが動いていることから、それをそのまま手柄にしようとしていた。
しかしこの後、王宮から公爵家へ援助の依頼が届き窮地に立たされることになるシュナだった。
・
・
・
「魔法力を貸してほしい、ですか?」
「そうだ。警備の強化はしているが、設置する魔道武器の魔法力が足りないそうだ。我が家は魔法力でも国に貢献していただろう? ちょっと行って出してこい。」
王宮からの使いは、警備の強化を提案したイエリの魔法力を当てにしていたが、西に行ったイエリはしばらく帰らない。ならば功績がある公爵家に頼もうということで、西門から兵士がやって来た。
「一緒にいらしてください。」
「そんな……私がですの?」
「それはそうだろう。お前は私の婚約者なのだから。」
「……わ、わかりましたわ。私におまかせくださいな。」
ここは行くしかないようだったので、シュナは言う通りにした。
イエリにできる事なら自分にもできる、とまだ思っているようなところもあったので、意気揚々と出掛けて行った。
王都の西門に着くと、城壁の上に案内された。
そこには、魔導武器である砲台がずらりと並んでいた。いろいろと種類はあるが、すべて魔法力を溜めておいて撃つものだった。
「これ、全部ですの?」
「いくつかは出来ています。こちらから端までをお願いします。」
端まで、いったいいくつ並んでいるのか、10や20では足りないようだ。
「わかりましたわ。いきます!」
そう言って魔法力を魔導武器に注ぎ始めたシュナ。
3つほどフルで力を溜められたようだが、そこでもう力尽きた。その様子を見て、付き添いの兵士たちは頭を抱えた。
「なんだって3つでもうヘバるんだ?」
「公爵家の人なんだよな?」
「婚約者って聞いたぞ。」
「……も、もう無理ですわ。」
4つ目に手を掛けたところで、ついにギブアップしたシュナだった。
その話は昨夜、イエリが父であるベッカー伯爵に、王都だけではなく西側に位置する町や村を回るという話をしていたのを盗み聞きして知ったことだった。
イエリはローベルトと共に、今朝西に向かった。
そもそもの町の装備では、王都とは比べ物にならないのでスタンピードを止めることは不可能なのだ。
仕方なく、魔物が通ると予測できる地域の人々には避難してもらうよう呼び掛けることにした。
そしてイエリがいない間に、シュナはジンナムの家に行ってスタンピードが起きる可能性があると話し出しす。
「なんだ、出来るではないか! ようやく私の出番か。さっそく、なんとかしてこい。」
あまりにもシュナが何も出来ないからと疑っていたジンナムだったが、今回のスタンピードを予測したおかげか、その疑いはいずこかへ飛んでいったらしい。
今まではいつの間にか行動して結果を出していたシュナ。ジンナムは、今回もシュナが勝手になんとかすると思っていた。
しかしシュナは、出番と言っておきながら丸投げするというジンナムの言葉に驚き、顔色を変えた。
「お、王都の警備は、何とか強化しておりますわ。」
「そうか。引き続き励めよ。」
まるで他人事である。
シュナは今回も、すでにイエリが動いていることから、それをそのまま手柄にしようとしていた。
しかしこの後、王宮から公爵家へ援助の依頼が届き窮地に立たされることになるシュナだった。
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「魔法力を貸してほしい、ですか?」
「そうだ。警備の強化はしているが、設置する魔道武器の魔法力が足りないそうだ。我が家は魔法力でも国に貢献していただろう? ちょっと行って出してこい。」
王宮からの使いは、警備の強化を提案したイエリの魔法力を当てにしていたが、西に行ったイエリはしばらく帰らない。ならば功績がある公爵家に頼もうということで、西門から兵士がやって来た。
「一緒にいらしてください。」
「そんな……私がですの?」
「それはそうだろう。お前は私の婚約者なのだから。」
「……わ、わかりましたわ。私におまかせくださいな。」
ここは行くしかないようだったので、シュナは言う通りにした。
イエリにできる事なら自分にもできる、とまだ思っているようなところもあったので、意気揚々と出掛けて行った。
王都の西門に着くと、城壁の上に案内された。
そこには、魔導武器である砲台がずらりと並んでいた。いろいろと種類はあるが、すべて魔法力を溜めておいて撃つものだった。
「これ、全部ですの?」
「いくつかは出来ています。こちらから端までをお願いします。」
端まで、いったいいくつ並んでいるのか、10や20では足りないようだ。
「わかりましたわ。いきます!」
そう言って魔法力を魔導武器に注ぎ始めたシュナ。
3つほどフルで力を溜められたようだが、そこでもう力尽きた。その様子を見て、付き添いの兵士たちは頭を抱えた。
「なんだって3つでもうヘバるんだ?」
「公爵家の人なんだよな?」
「婚約者って聞いたぞ。」
「……も、もう無理ですわ。」
4つ目に手を掛けたところで、ついにギブアップしたシュナだった。
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