『BEASTLOG ―異界生態誌―』
惑星セノーラ。
三つの月と広大な大陸、その隙間を埋めるように、数え切れない命が息づいている。
森には、太陽の紋を抱く黒き巨熊ヒノワグマがいる。
雪嶺には、吹雪とともに降り立つ飛竜フロスト・ワイバーンが。
湖底には、嵐の夜だけ水面へ現れ、稲妻とともに獲物を呑み込むリヴァイト・フィッシュが。
砂漠の下では、音なきままに地表を崩し、群れごと飲み込むサンドワームがうごめく。
人の町の地下には、巨大なラットロードの影が走り、廃村の空にはブロッドクロウが輪を描く。
彼らは「魔物」ではない。
誰かを呪うために生まれたわけでも、文明を憎んでいるわけでもない。
ただ、セノーラという星に選ばれ、過酷な環境と濃密なエネルギーに適応しきった生き物として生息している。
本シリーズ『BEASTLOG ―異界生態誌―』は、
冒険者や英雄の影で語られてきた「野生に生きる動物」「伝説の生物」を、
“自然の一部としての真実”から描く記録譚である。
ある短編では、子を守るヒノワグマの前に迷い込んだ旅人の最期が。
ある短編では、群れの掟に従い、静かに人を狩り場として認識していくヴァルグの眼が。
ある短編では、戦場の死肉を喰らい続け、やがて戦争そのものを呼ぶと噂される不吉な存在となったブロッドクロウの群れが。
ある短編では、幻の森で、人を惑わせるミラージュ・デアの“美しさと冷酷さ”が。
そしてそのどれもが、「善悪」ではなく「生存」の物語として語られる。
この星では、人間種もまた数ある生命の一つに過ぎない。
歴戦の戦士であっても、一歩足を滑らせれば、獣の胃の底か、群れの血に染まった雪に還るだけだ。
英雄譚の外側で、黙って息づく牙と角と羽音。
これは、惑星セノーラにおける「自然」と「脅威」の記録であり、
同時に——この世界がどれほど美しく、どれほど容赦がないかを示す、生態誌である。
読む者は、知ることになるだろう。
人が“怪物”と呼んだものたちが、“星とともに生きていた”彼らの姿を、そしてその脅威を。
※不定期更新。更新の場合は、木曜日夜8時更新予定
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森には、太陽の紋を抱く黒き巨熊ヒノワグマがいる。
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彼らは「魔物」ではない。
誰かを呪うために生まれたわけでも、文明を憎んでいるわけでもない。
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これは、惑星セノーラにおける「自然」と「脅威」の記録であり、
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