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第3章・勘違いされたのは最も公平で善意の貴族令嬢。
12なんとかいたします。
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まあその後のことはあまり語るべきこともない……、と思っていたのですが。
とりあえずランドール伯爵家を始めとした、異世界転生者保護法違反などを犯した貴族たちはディーンの活躍により淘汰され。
エリィ・パールの保護も叶いました。
これで問題は解決したと思われたのですが……。
百五十年以上ぶりに現れた異世界転生者の方を、国家はどう扱って良いのか判断しかねるようで。
現在王家や主要貴族の中で協議が行われており、父であるローグ侯爵はそれらの協議の議長を公平に務めていると聞きました。
その協議の中で、まずエリィ女史にはこの国の文化や文明水準を過不足なく理解してもらい公平な目線を身につけていただこうという話になったようです。
それもエリィ女史の生活に影響が出ないような範囲で学園生活の中、理解を深めていただく必要があるとのこと。
学園内で異世界転生者の方に理解があり、公平な目線を持って特別修学制度生である彼女と接し、国内の文化や文明水準の基準値を知る者を彼女の身近に置きたいということになりました。
つまり。
「エリィさん、貴女にはこれからこの世界における公平な目線を身につけていただきます」
私は中庭のベンチでサンドイッチを齧るエリィ女史へそう述べる。
確かに公平に見て、私以上の適役はいません。
「な……っ、あんたみたいな悪役令嬢に教わることなんて一つもないわよ!」
そう言って彼女はサンドイッチを口に詰め込んで足早にその場を立ち去ってしまった。
あ、あ、あ、悪役令嬢……?
この法を遵守し、秩序と公平さを何より重んじるこの私が……?
ショックでふらつくと、ディーンが私の肩を抱くように支える。
現在ディーンは騎士団より異世界転生者関連の担当として私とエリィ女史に立ち会うことになり学園にも付いてきています。
「……お嬢様は公平で素敵ですよ。昔から変わらずに」
私の耳元で、そう囁いた。
「よしなさい、ここは学園ですよ」
私はそう言ってディーンを引き離し、真っ赤になった顔を扇子で隠す。
というかディーンに比べたら私なんて普通のティーンエイジャーです。全然素敵ではありません。
ディーンとは幼き頃からずっと一緒でした。
私は彼のことがずっと大好きで、いつもどこかしら触れ合っているような距離で過ごしていました。
仲の良い姉弟……いや兄妹のようだと微笑ましく見られていましたが、どうにも傍から見ても私が彼を好き過ぎるのがわかったようで。
母から、私とディーンは身分の違いで彼とは結婚できないことを知らされました。
私はそれを知って、ずっと泣きました泣き続けました。
そんな泣きべそをかいていた私に。
「なんとかいたします。おじょうさま」
幼き彼はそう言って、騎士になることを決めたのでした。
騎士団で小隊長以上になり優秀な功績を持つ場合、子爵相当の権利を得られるのです。
その為、つまり私との婚姻を可能にする為だけの為に国家指定正規騎士団に入団することに決めたのでした。
毎日毎日、鍛錬と訓練と勉強を繰り返し。
私が病で倒れた際には……長時間に渡る手術を待つ間ずっと私になにかあった時、後を追えるように病院の前で首にナイフ当てていたり。
その姿をローゼンバーグ公爵夫人の執事であるキッドマン氏に気に入られて弟子入りし、武術や執事としての心得を学び。
史上最年少で騎士となりました。
世にあるルールに則り、一切の不正もなく公平性の中で約束を守る。
私はそれが、何より美しいと思いました。
ディーンをより一層好きになりました。
エリィ女史にそれを押し付けるつもりもありませんが、そういう美しさもあると少しだけ知ってもらいたいだけなのです。
まあ……、とても難しそうですが……。
ここからエリィ女史と行動を共にする機会が増え。
ご先祖さまの記録に残る異世界転生者の方よろしく、私も散々トラブルに巻き込まれいき。
その都度ディーンがトラブルを解決して功績を増やして。
少しずつエリィ女史とも打ち解けていくのですが……。
今の私はまだ、どうにも悪役令嬢だと思われてしまっているのでした。
とりあえずランドール伯爵家を始めとした、異世界転生者保護法違反などを犯した貴族たちはディーンの活躍により淘汰され。
エリィ・パールの保護も叶いました。
これで問題は解決したと思われたのですが……。
百五十年以上ぶりに現れた異世界転生者の方を、国家はどう扱って良いのか判断しかねるようで。
現在王家や主要貴族の中で協議が行われており、父であるローグ侯爵はそれらの協議の議長を公平に務めていると聞きました。
その協議の中で、まずエリィ女史にはこの国の文化や文明水準を過不足なく理解してもらい公平な目線を身につけていただこうという話になったようです。
それもエリィ女史の生活に影響が出ないような範囲で学園生活の中、理解を深めていただく必要があるとのこと。
学園内で異世界転生者の方に理解があり、公平な目線を持って特別修学制度生である彼女と接し、国内の文化や文明水準の基準値を知る者を彼女の身近に置きたいということになりました。
つまり。
「エリィさん、貴女にはこれからこの世界における公平な目線を身につけていただきます」
私は中庭のベンチでサンドイッチを齧るエリィ女史へそう述べる。
確かに公平に見て、私以上の適役はいません。
「な……っ、あんたみたいな悪役令嬢に教わることなんて一つもないわよ!」
そう言って彼女はサンドイッチを口に詰め込んで足早にその場を立ち去ってしまった。
あ、あ、あ、悪役令嬢……?
この法を遵守し、秩序と公平さを何より重んじるこの私が……?
ショックでふらつくと、ディーンが私の肩を抱くように支える。
現在ディーンは騎士団より異世界転生者関連の担当として私とエリィ女史に立ち会うことになり学園にも付いてきています。
「……お嬢様は公平で素敵ですよ。昔から変わらずに」
私の耳元で、そう囁いた。
「よしなさい、ここは学園ですよ」
私はそう言ってディーンを引き離し、真っ赤になった顔を扇子で隠す。
というかディーンに比べたら私なんて普通のティーンエイジャーです。全然素敵ではありません。
ディーンとは幼き頃からずっと一緒でした。
私は彼のことがずっと大好きで、いつもどこかしら触れ合っているような距離で過ごしていました。
仲の良い姉弟……いや兄妹のようだと微笑ましく見られていましたが、どうにも傍から見ても私が彼を好き過ぎるのがわかったようで。
母から、私とディーンは身分の違いで彼とは結婚できないことを知らされました。
私はそれを知って、ずっと泣きました泣き続けました。
そんな泣きべそをかいていた私に。
「なんとかいたします。おじょうさま」
幼き彼はそう言って、騎士になることを決めたのでした。
騎士団で小隊長以上になり優秀な功績を持つ場合、子爵相当の権利を得られるのです。
その為、つまり私との婚姻を可能にする為だけの為に国家指定正規騎士団に入団することに決めたのでした。
毎日毎日、鍛錬と訓練と勉強を繰り返し。
私が病で倒れた際には……長時間に渡る手術を待つ間ずっと私になにかあった時、後を追えるように病院の前で首にナイフ当てていたり。
その姿をローゼンバーグ公爵夫人の執事であるキッドマン氏に気に入られて弟子入りし、武術や執事としての心得を学び。
史上最年少で騎士となりました。
世にあるルールに則り、一切の不正もなく公平性の中で約束を守る。
私はそれが、何より美しいと思いました。
ディーンをより一層好きになりました。
エリィ女史にそれを押し付けるつもりもありませんが、そういう美しさもあると少しだけ知ってもらいたいだけなのです。
まあ……、とても難しそうですが……。
ここからエリィ女史と行動を共にする機会が増え。
ご先祖さまの記録に残る異世界転生者の方よろしく、私も散々トラブルに巻き込まれいき。
その都度ディーンがトラブルを解決して功績を増やして。
少しずつエリィ女史とも打ち解けていくのですが……。
今の私はまだ、どうにも悪役令嬢だと思われてしまっているのでした。
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