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5章 猫の恩返し
62話 猫たちの追撃とお手柄
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『異常なし~~』『異常なしで~す』『暇~~異常なし』『スパイ1人発見、捕縛完了済み!!』『異常なしだよ』『暇だ~~』『ご飯美味い!!』『スパイ1人発見、捕縛完了であります!!』『異常なし』『コーティング剤保管部屋にてスパイ1人捕縛!!』『異常な~し』『焼き鳥最高~~あ、異常なしです』『臭いの怪しい女発見、現在ルウリ様と尾行中』……
「ぬわあ~~~~~~」
散開している猫たちから一斉に連絡が入ったけど、殆どが異常なしだけど、幾つか凄い発言があったよ。すぐに、近場にいる味方とされる人たちと話し合って、捕まえた人たちを治安騎士に引き渡すようお願いした。ルウリと一緒に尾行中の猫に関しては、ルウリの命令を聞くよう言っておいた。
「咲耶、どうした?」
猫たちと通信していたせいで、ベイツさんが心配そうに見つめてくれている。
「ちょ…ちょっと待ってくださいね」
う~一気に言われ話を進めたせいで、頭がガンガンする。再度、猫たちの話を整理すると、3匹がスパイを3名捕縛することに成功した。捕縛した猫たちは戦闘力的にはミケーネより弱いけど、彼女と似た状態異常を発生させるスキルを持っていたので、爪で足首に傷をつけて、スキル[麻痺]や[居眠り]などを誘発させ昏倒させた。現在、尾行中の怪しい人物に関しては、ルウリもいるから大丈夫だと思うけど、必要以上に距離を詰めないよう言ってある。
これらをベイツさんに話すと、眉間に皺を寄せる。
「スパイの一部が、魔物騒動に便乗して動いたか。とりあえず、俺の方から治安騎士たちに通達して、事情聴取後に全員を牢獄に入れてもらおう。スパイ連中が魔物騒動に絡んでいるのか不明だが、ルウリの追っている者の発言次第で、原因がわかるかもしれない」
国中に存在する貴族や商会などの命令で、スパイは標的を絞って、確実に任務を遂行しようと動く。誰にも悟られないよう静かに行動するから、大抵かなり遅れて盗まれている事に気付く。今回、この大騒動に便乗して動いたのね。
この騒動を誘発させた犯人の目的は、何だろうか?
領主様の邸まで崩壊させるなんて……この邸には私の…‼︎
「ベイツさん、伯爵は?」
「死んだ」
死んだと言われてビックとしたけど、ベイツさんはすぐに心通眼による通信に切り替えて、続きを言ってくれた。
『ということにしている。ルウリの分身体が邸を見張っていたこともあり、何らかの奇妙な波動を感知し、すぐに邸内にいる全員に対して障壁を張っておいたことが、功を奏したよ。今も、彼はそこで瓦礫の撤去作業に従事している』
そう言われ周辺を確認したけど、伯爵らしき人物は見当たらない。
『彼はルウリの幻惑魔法によって、姿を別人に変化させ、使用人として働かせている。[敵を騙すには味方から]というだろう? 今は性格もかなり変化しているから、咲耶も気づかないだろうな』
あの苛烈な性格を、どうやって変化させたのだろう?
何か怖いから聞かないでおこう。
あの使用人たちの誰かが、伯爵なんだ。
皆が笑顔で話し合いながら行動しているから、誰が伯爵かわからないわ。
『咲耶、領主邸の崩壊とフェスタで起きた騒動、多分これら二つを引き起こした犯人は同じ一味だろう。本来、産業スパイというものは、周囲に悟られないよう動く。そもそも、ここまでド派手な騒ぎを起こす意味がない』
盗みを実行する場所周辺で騒ぎを起こすのなら私も理解できるけど、街の公園全土を巻き込む必要性はないよね。
『犯人たちは、自分たちの犯罪を知るフェルデナンド伯爵の行方を掴んだが、伯爵が邸の何処にいるのかを掴めなかった。だから、監禁場所となっている邸ごと破壊して、彼を殺そうとしたに違いない。おそらく、イベント[未知なる食材-テンタクルズオクトパス]の件を事前に知り、その特性を利用して騒ぎを起こした』
魔石に細工して大騒動を誘発させる行為、これら全てが何者かによって仕組まれたってこと? そもそも、伯爵の居場所だって情報規制されているのに、どうやって知ったの? まさか、邸内の使用人に裏切り者がいたのかな? ベイツさんの推理が正しいのかわからないけど、辻褄は合ってる。
「咲耶はこの騒動に、これ以上突っ込むなよ。君はイベントをこなしながら、露店で楽しく過ごしていればいい」
う、色々と情報を知ったせいで、深く考え込んでしまった。
「ベイツの言う通りですよ。せっかくヌメリ除去の方法もわかったのですから、あなたも魔物を調理してみては?」
魔物の調理か、それもいいかもしれない。光希がレシピを送ってくれているのだから、せっかくだし私も何か作ってみようかな。
「でも、私に用意された肉は、もう猫たちに食べられちゃいましたけど?」
私が困っていると、フリードが助け舟を出してくれた。
「それなら問題ありませんよ。主催者側のアマンガム自身がその場で見ていましたから、理由を話せば、あなた一人分の肉くらい用意してくれます。そもそも、咲耶が本体を持っているのですから、そこから自分の分だけくすねることも可能です」
流石に無断使用するのは問題ありだから、きちんと許可をもらってから動こう。フェスタ初日でいきなりの騒動発生で驚いたけど、すぐに終息してよかった。
私とフリードはベイツさんと別れ、大樹マナリオの下へ戻ると、すぐに貸し切られた定食屋へと向かう。目的の場所に到着すると、周囲には20人近い人が集まっていて、ソワソワしながら定食屋の方を見ている。多分、料理を待つ貧民と呼ばれている人々だ。私は事情を説明して中へ入ると、10人の人々がテーブル席に着いており、領主のオルバイン辺境伯様を含めたその場にいる全員が、さっきまで話し合っていた会話を止め、一斉に私とフリードを見る。
店内には、甘くて芳醇な匂いが充満しており、皆が炒められた肉を食べているところに、私たちが入ったようね。5人の審査員方は私の事情を知っているので、箸を置き、食べるのを中断してくれたので、私は領主邸の状況を説明した(フェルデナンド伯爵の件を除く)。皆が使用人たちの生存にほっと一安心したところで、私が肉の使用許可を求めると、反対意見も出ることなく、皆が承諾してくれた。
領主様たちは明日以降の予定も考えてくれていたようで、主催者テントの近くに調理場を備えた大型テントを設置することが決まり、現在担当の人たちが急ピッチで準備を進めており、明日以降の参加者たちはそこで料理を作っていく事になる。私の露店から位置的に近いし、私も動きやすいから助かる。
肉の使用許可も下り、明日以降のスケジュールもわかったので、私は店を後にした。公園でユウキと合流したら、どんな料理を作っていくかを相談して、早速家で調理してみよう。
「ぬわあ~~~~~~」
散開している猫たちから一斉に連絡が入ったけど、殆どが異常なしだけど、幾つか凄い発言があったよ。すぐに、近場にいる味方とされる人たちと話し合って、捕まえた人たちを治安騎士に引き渡すようお願いした。ルウリと一緒に尾行中の猫に関しては、ルウリの命令を聞くよう言っておいた。
「咲耶、どうした?」
猫たちと通信していたせいで、ベイツさんが心配そうに見つめてくれている。
「ちょ…ちょっと待ってくださいね」
う~一気に言われ話を進めたせいで、頭がガンガンする。再度、猫たちの話を整理すると、3匹がスパイを3名捕縛することに成功した。捕縛した猫たちは戦闘力的にはミケーネより弱いけど、彼女と似た状態異常を発生させるスキルを持っていたので、爪で足首に傷をつけて、スキル[麻痺]や[居眠り]などを誘発させ昏倒させた。現在、尾行中の怪しい人物に関しては、ルウリもいるから大丈夫だと思うけど、必要以上に距離を詰めないよう言ってある。
これらをベイツさんに話すと、眉間に皺を寄せる。
「スパイの一部が、魔物騒動に便乗して動いたか。とりあえず、俺の方から治安騎士たちに通達して、事情聴取後に全員を牢獄に入れてもらおう。スパイ連中が魔物騒動に絡んでいるのか不明だが、ルウリの追っている者の発言次第で、原因がわかるかもしれない」
国中に存在する貴族や商会などの命令で、スパイは標的を絞って、確実に任務を遂行しようと動く。誰にも悟られないよう静かに行動するから、大抵かなり遅れて盗まれている事に気付く。今回、この大騒動に便乗して動いたのね。
この騒動を誘発させた犯人の目的は、何だろうか?
領主様の邸まで崩壊させるなんて……この邸には私の…‼︎
「ベイツさん、伯爵は?」
「死んだ」
死んだと言われてビックとしたけど、ベイツさんはすぐに心通眼による通信に切り替えて、続きを言ってくれた。
『ということにしている。ルウリの分身体が邸を見張っていたこともあり、何らかの奇妙な波動を感知し、すぐに邸内にいる全員に対して障壁を張っておいたことが、功を奏したよ。今も、彼はそこで瓦礫の撤去作業に従事している』
そう言われ周辺を確認したけど、伯爵らしき人物は見当たらない。
『彼はルウリの幻惑魔法によって、姿を別人に変化させ、使用人として働かせている。[敵を騙すには味方から]というだろう? 今は性格もかなり変化しているから、咲耶も気づかないだろうな』
あの苛烈な性格を、どうやって変化させたのだろう?
何か怖いから聞かないでおこう。
あの使用人たちの誰かが、伯爵なんだ。
皆が笑顔で話し合いながら行動しているから、誰が伯爵かわからないわ。
『咲耶、領主邸の崩壊とフェスタで起きた騒動、多分これら二つを引き起こした犯人は同じ一味だろう。本来、産業スパイというものは、周囲に悟られないよう動く。そもそも、ここまでド派手な騒ぎを起こす意味がない』
盗みを実行する場所周辺で騒ぎを起こすのなら私も理解できるけど、街の公園全土を巻き込む必要性はないよね。
『犯人たちは、自分たちの犯罪を知るフェルデナンド伯爵の行方を掴んだが、伯爵が邸の何処にいるのかを掴めなかった。だから、監禁場所となっている邸ごと破壊して、彼を殺そうとしたに違いない。おそらく、イベント[未知なる食材-テンタクルズオクトパス]の件を事前に知り、その特性を利用して騒ぎを起こした』
魔石に細工して大騒動を誘発させる行為、これら全てが何者かによって仕組まれたってこと? そもそも、伯爵の居場所だって情報規制されているのに、どうやって知ったの? まさか、邸内の使用人に裏切り者がいたのかな? ベイツさんの推理が正しいのかわからないけど、辻褄は合ってる。
「咲耶はこの騒動に、これ以上突っ込むなよ。君はイベントをこなしながら、露店で楽しく過ごしていればいい」
う、色々と情報を知ったせいで、深く考え込んでしまった。
「ベイツの言う通りですよ。せっかくヌメリ除去の方法もわかったのですから、あなたも魔物を調理してみては?」
魔物の調理か、それもいいかもしれない。光希がレシピを送ってくれているのだから、せっかくだし私も何か作ってみようかな。
「でも、私に用意された肉は、もう猫たちに食べられちゃいましたけど?」
私が困っていると、フリードが助け舟を出してくれた。
「それなら問題ありませんよ。主催者側のアマンガム自身がその場で見ていましたから、理由を話せば、あなた一人分の肉くらい用意してくれます。そもそも、咲耶が本体を持っているのですから、そこから自分の分だけくすねることも可能です」
流石に無断使用するのは問題ありだから、きちんと許可をもらってから動こう。フェスタ初日でいきなりの騒動発生で驚いたけど、すぐに終息してよかった。
私とフリードはベイツさんと別れ、大樹マナリオの下へ戻ると、すぐに貸し切られた定食屋へと向かう。目的の場所に到着すると、周囲には20人近い人が集まっていて、ソワソワしながら定食屋の方を見ている。多分、料理を待つ貧民と呼ばれている人々だ。私は事情を説明して中へ入ると、10人の人々がテーブル席に着いており、領主のオルバイン辺境伯様を含めたその場にいる全員が、さっきまで話し合っていた会話を止め、一斉に私とフリードを見る。
店内には、甘くて芳醇な匂いが充満しており、皆が炒められた肉を食べているところに、私たちが入ったようね。5人の審査員方は私の事情を知っているので、箸を置き、食べるのを中断してくれたので、私は領主邸の状況を説明した(フェルデナンド伯爵の件を除く)。皆が使用人たちの生存にほっと一安心したところで、私が肉の使用許可を求めると、反対意見も出ることなく、皆が承諾してくれた。
領主様たちは明日以降の予定も考えてくれていたようで、主催者テントの近くに調理場を備えた大型テントを設置することが決まり、現在担当の人たちが急ピッチで準備を進めており、明日以降の参加者たちはそこで料理を作っていく事になる。私の露店から位置的に近いし、私も動きやすいから助かる。
肉の使用許可も下り、明日以降のスケジュールもわかったので、私は店を後にした。公園でユウキと合流したら、どんな料理を作っていくかを相談して、早速家で調理してみよう。
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