神様はいない Dom/Subユニバース

np03999

文字の大きさ
90 / 114
受け入れるもの、変わるもの

トレーニングプレイの成果 3

しおりを挟む


 厚木は、長い足を好きにしていた。
 褒められて大人しくなった吉継の反応を楽しみながら。
 「厚木さん」
 「どうした」
 「俺、これよかったですか」 
 「ああ、上出来だ」
 そうか、変な下着じゃなくてもよかった。吉継が決めた下着でもよかった。だったら、厚木のいうことをもっと聞いてもいい。吉継は今まで味わったことのない、"命令コマンドをもらう"以外の充足感を感じていた。吉継のなかでは言葉にならないこの感覚をもう少し味わいたいと…。
 「厚木さん、俺…」
 今まで、なくても当たり前だと思っていたことだ。必要ないと…。それなのに、今は欲しくて仕方ない。
 厚木を跨ぎ、ソファの背もたれに手をついて、吉継よりも小柄な体を閉じ込める。厚木は吉継のDomだ。
 「なんだ」
 「もっと褒めてください」
 「…」
 「俺は厚木さんのSubです…」
 厚木の額に唇を寄せる。厚木がいつもしてくれる。吉継の好きなことだ。
 「厚木さんも俺のDomなら出し惜しみしないでください」
 「…ああ」

 吉継は、視界が揺れたと思ったときにはソファに押し付けられていて、天井を見上げたと同時に、厚木というDomに見下されていていた。
 「どうして欲しい」
 厚木は吉継の喉を撫でて歯をたてる。背筋にぞくぞくとしたものが駆け上がる。厚木の力加減は絶妙で、痛いと気持ち良いのちょうど間のところで噛みつき、舌を這わせて吸い上げる。
 ”痛い”も”気持ち良い”もよくわからない吉継にはちょうどよかった。
 「それは好きです」
 「そうか」
 どうして厚木は吉継のちょうどいいところがわかるのだろう。
 「他にはどうして欲しい、吉継」
 目を合わせる。厚木は吉継の視線を感じても逸らさず、強い視線でじいっと吉継を見ている。それも気持ちがいい。吉継には、ただの執着ではない、厚木の輪郭がやっとわかった気がした。手を伸ばせば吉継の腕にすっぽり入る厚木は細身だ。でも力は強い。そういうことをもっと知りたいと思った。
 「厚木さんは、どういうのが好きですか…あの変な下着だけですか…他にも好きな下着はありますか、それよりも厚木さんは何が好きな人なんですか…」
 厚木は吉継の質問攻めに笑うだけで答えない。
 「俺はそれが知りたいです」
 「ああ、そうだな」
 今度は厚木が吉継の額にキスをする。しかしそれだけで何も答えてくれない。
 やっぱり厚木は嫌なDomだとむくれる吉継を可笑しそうに見ているだけだ。
 「焦るな、吉継」


 「時間はたくさんある」
 そう言って、吉継が好きなように触って、キスをしてくれた。





 



 「厚木さん」
 「なんだ」

 「お弁当食べないと…」
 「ああ」
 
 ある程度の欲求が治まれば、周りを見る余裕も出てくるわけで。
 そう言えば厚木はまだ仕事中で、夕飯もまだだと思い出した。
 吉継は枕にしていた厚木の股から起き上がる。
 厚木は返事をするが、一向に吉継から手を離さない。 
 
 「仕事しないと笠井さんに怒られます」
 先日笠井に怒られたことが気になって仕方ない吉継だ。
 「ふん、怒らせておけばいい、あいつはいつもああだ」
 「…」
 厚木の強心臓には引くしかなかった。
 気づいてしまうと気になってしまうものだ。吉継の集中が切れたのを見て取り、厚木も諦めた。
 
 「ほら、よこせ…」
 「はい」
 下着しか穿いていない大男が弁当とお茶を運ぶ。
 厚木は、わざわざ指摘しない。面白がるように見ているだけだ。
 吉継は下着しか穿いていないことなどすっかり忘れている。
 「お前も座れ」
 「はい」
 言われるまま隣に座るが、弁当もお茶も受け取らない厚木に、なにかしたかと不安になったが、厚木の言葉にそんなことはどうでもよくなった。
 「食べさせろ」
 「は」
 「食べさせろと言った」
 「…」
 以前も、手ずから食べさせたことはあったが…。
 「厚木さん」
 「早くしろ」
 「これ好きですか」
 「まあ、そうだな。早くしろ」
 どうして厚木はそんなことを堂々と言えるのだろう。そこまで自信満々に言われては、吉継もよくわからない力に圧されるまま、大人しく包み紙を剥くしかなかった。



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...