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第二部拾 裕司の場合⑤

第1話 嬉しかった

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 絶対、誰かの入れ知恵だとは思うが。

 正直……裕司ゆうじにとっては嬉しかった。これでもないかと言うくらい。最愛の女性が……普段なら絶対に身につけないものを用意してくれたのだから。

 色合いはともかく、あんな下着を。

 着替えの時に、れいのうっかりで裕司の衣装ケースに仕舞われていた時は、なんのいたずらかとは思ったが。

 怜のしぼんでいきながらも、一生懸命謝罪してくれる様子が可愛らしくて。

 つい、本音が出てしまった。それに、むくむくと普段は鳴りを潜めている欲望が出てしまい。

 結果的には、翌日が久しぶりに重なる休暇日だと言うこともあって……それはもう夢中で求めてしまった。

 身につけてくれた下着の効果もあり、それはもう貪る勢いで。

 なので、翌日はリフレッシュしたかのように目が覚めた裕司はともかく……怜はぐったりしていたためなかなか起きず。

 スマホを見ても、まだ8時だったので……裕司は、昨夜の詫びも兼ねて朝食を作ることにした。怜を抱きしめていた腕を離しても、怜はまったく起きずに夢の中だ。それほど体力を使わせたことに、申し訳なさは感じたが後悔はしていない。


「……真尋まひろ、だろうなあ」


 怜にあのような入れ知恵をしたとすれば。

 だが、怜のことだから他にも女性何人かに確認は取ったのだろう。怜は突拍子もないことを言わないわけではないが、意外と慎重派だ。

 今は定着してきた、ホテルのオムレツ実演に繋がる意見書を提出したのにも結構時間をかけていたから。


「……んーと、今ある材料は」


 食材のストックはお互い気になったら買い出しに行くので、休みが合わない限り結構まばらな時が多い。夕飯も時々でしか一緒に食べれない。

 朝食も、お互いに朝食バイキングの仕事がある時は家では作らない。

 だから、時々賞味や消費期限を過ぎたものもあったりするので……こう言う休みの時にはたっぷり使うようにしている。

 今日の朝の献立もそうしようと、裕司は冷蔵庫の中身を色々探すことにした。


「……よし」


 冬手前。

 朝ではあるけれど。

 しっかり、活力は補いたいと言うことで。

 裕司は朝の味噌汁を具沢山の豚汁をメインに、他何品か作っていくことにした。

 肉は細切れの豚肉があったので、切るのは後。

 とにかく、野菜や他の具材を……皮を剥き、下茹でが必要なものはさっと茹でて。

 切って切って、バットの上に載せまくり。

 下ごしらえが出来たら、少し大きめの鍋に油を引いて……豚肉を炒めていく。

 その頃には、さすがの怜も起きてきたのか……やってきたはいいが、結構際どい着替えのままだった。
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