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39話 ※もう離してやれない【完】

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「可愛いのは、孔だけじゃなかった。ウェンディは突起も可愛い」



 仲間外れにしてごめん、とでも言うように、デクスターは花芽を愛しげに吸い上げた。

 敏感な個所を的確に狙われて、ウェンディは体をびくんと跳ねさせる。

 

「ん……んっ、あ、ぁん……そこ、ん……気持ちいい」

「膨らんできた。ここ、分かる? ウェンディのも、皮の中にいる」



 ぺろぺろと舐めては、大きくなったのを目で見て確認しているデクスター。

 何度も繰り返すうちに、デクスターの唾液が垂れてウェンディの尻にまで届く。

 つつっとそれが伝う感触にも、ビクビクと太ももを震わせ、ウェンディは感じてしまう。

 もどかしさにたまらず、ウェンディはデクスターを促した。



「あ、は……ぁん、ん、もう、デクスター、さま」



 ウェンディには己の秘所が、ひくついているのが分かる。

 そこにデクスターを迎え入れたくて、仕方がないのだ。

 だがデクスターは、そんなウェンディの女陰のひだを、片方ずつ丁寧にしゃぶっている。

 焦らされて、ウェンディは泣いて身もだえた。



「欲、しい……デクスターさま、中に……んぅ」

「ここの中? ヌルッとしたのが、どんどん溢れてくる」



 デクスターが舌ではなく、指で蜜壺に触れる。

 そのまま入ってくるかと期待したが、指は溝を上下になぞるだけで終わった。

 だが、その刺激だけでウェンディは、軽く達してしまう。

 これまで全身を舐められ、ウェンディの中には快感の嵩が蓄積していた。

 それがいよいよ、最終目的地に到達して、入れてもらう想像だけで弾けてしまったのだ。



「ウェンディ、まだ入れてないのに」

「あ、あ……恥ずかしい。デクスターさま、私……おかしくなってる」



 羞恥に、ウェンディの全身が、真っ赤になる。

 しかし握り込まれた足指の先は小刻みに震え、次に与えられる快楽を待ち望んでいた。

 それをとろりとした眼差しで見つめ、ぺろりとデクスターが己の下唇を舐めた。

 

「ウェンディは、膝の裏を舐められるのが好きだったよね? どうしようか? 先に舐める? それとも、もうこっちに――」

「っ、入れて、ください。もう……欲しくて、我慢……できない、の」



 それを聞いたデクスターの笑みは、神々しかった。

 すがる信者へ情けを与える男神のように慈悲深く、デクスターは己の陽根をウェンディの女襞へあてがう。

 つるりと丸い先端からは、先走りの液がこぼれ、それがウェンディの愛蜜とまじりあう。

 ぬちゃり、という音が、聞こえた気がした。



「入れるよ、ウェンディ」



 デクスターが腰を前に突き出すと、ぬくっと亀頭が埋まる。

 待ち望んだデクスターの侵入に、悦びでウェンディの心拍が跳ねあがった。

 ウェンディの表情を確かめ、痛みがないと分かると、デクスターはぐぐっとさらに奥へ進む。



「ん、んく……っ、あ、入ってる。中に……デクスター、さまが」

「最奥まで入ったの、分かる? ウェンディのここ、行き止まりになってる」



 コツコツと、デクスターの先端で子宮口をノックされる。

 すると、じんと痺れる痛みと快楽が、同時にウェンディを苛んだ。



「あ、そこ……すごく、気持ち……いい」

「もっとしよう、たくさん気持ちよくなって」



 それからデクスターは、ウェンディの両膝を肩にかけると、ぐっと前傾して腰を激しく振りだした。

 

「あ、あ、あ、あああああっ!」



 ウェンディの瞳から星が飛び散る。

 口からうまく息が吸えない。

 むしろ唾液が、唇の両端から零れ落ちた。

 脳天を突かれる快楽に、もう思考がついて行けなくなる。



「ウェンディ、いくらでもイって。可愛い声で、もっと啼いて」



 ウェンディの体とデクスターの体がぶつかり合い、パンパンという打擲音が部屋に木霊する。

 張りのあるウェンディの巨乳が、振動に合わせてぶるんぶるんと暴れるのを、デクスターが惚れ惚れとして見ていた。

 乳首からは母乳がシャワーのように噴き出し、それがウェンディの顔を濡らす。

 デクスターは身をかがめて、頬に垂れるそれを舐めとった。



「ウェンディのいやらしい姿を、脳内に焼きつけたい。いつでも思い出せるように」

「ひ、ん……奥ぅ、デクスターさまの、ごつごつ、当たる……っ!」

 

 デクスターが前かがみになったことで、ウェンディの子宮口への責めが強まったらしい。

 これまでで一番の刺激に、ウェンディはまたしても達してしまう。

 ウェンディの眦には、感極まり過ぎて、涙が浮かんでいた。



「ウェンディ、今夜は1回だけで終わりにしよう。その代わり、もう少しだけ付き合って」

 

 ウェンディの片脚を持ち上げると横臥させて、デクスターは違う角度から抜き差しを始めた。

 さっきまで最奥を攻撃していたデクスターの肉棒は、体位が変わったことでウェンディの女壁をズリズリ擦り出す。

 ウェンディの性感帯を追い求める使命を担っているデクスターは、女壺の中でも丁寧にそれを探し、ウェンディが上げる嬌声で正確な位置を把握した。

 

「ここ、擦られるの好き? 一番、気持ちが良さそうだ」

「ぁ、ああ、いい……気持ち、いい……そこ、おかしく……な、る!」



 言い終わると、ウェンディは全身を痙攣させ、盛大に達した。

 ぎゅうと締め付けられたデクスターも、それに合わせて射精する。

 自慰で5回は抜いていたはずだが、それでもデクスターの子種は濃厚で、どくんどくんとウェンディの中に迸った。

 

 はあ、はあ、はあ――。



 必死に息を吸っているが、ウェンディの意識はすでにない。

 失神してしまったウェンディが可愛くて、デクスターはその体を清拭しながら何度も口づけを落とした。

 おかげでウェンディの全身は、デクスターの印でいっぱいになる。

 それに満足すると、デクスターも横たわった。



「ありがとう、ウェンディ。こんな俺を受け止めてくれて。もう離してやれないから、ごめん」



 ウェンディを腕に抱き、デクスターは眠った。

 その夜はふたりとも、愛しい相手の夢を見た。

 

 ◇◆◇



 夜の生活が始まり、ウェンディとデクスターの仲はますます深まっていった。

 たった一度の交わりでキャメロンを授かったことから、もしかして次の子もすぐでは? と思われたが、ウェンディが次の子を授かったのは、キャメロンが3歳を迎える年だった。



 生まれた息子ルーカスは、ウェンディに似た水色の髪と青い瞳、そしてデクスターに似た小麦色の肌をしていた。

 新しい孫の誕生に、ダニング伯爵夫婦も大喜びだ。

 どちらかの孫に、いつかダニング伯爵家を継がせようという話も出た。



 キャメロンがかなりのお転婆で、どうやら錬金術士よりも剣士に適性がありそうだと分かると、デクスターは仕事の合間に、遊びながら剣術を教えるようになる。

 10歳になる頃には木剣を構え、デクスターと模擬戦をするようになるキャメロン。

 そんなキャメロンとは対照的に、7歳になったルーカスは、祖父のダニング伯爵と意気投合する。

 

「これは鍛えがいがある!」



 将来はいい錬金術士になるぞ、とダニング伯爵はルーカスに英才教育を施していく。

 その流れで、エインズワース侯爵家はキャメロンが、ダニング伯爵家はルーカスが後継者候補となる。



 子どもたちの成長は早い。

 キャメロンがレンフィールド学園へ入学する年を迎えた。

 ウェンディのように、入学前のクラス分け試験で、満点を叩き出すような頭脳はキャメロンにはない。

 しかし授業に遅れを取らぬよう、前向きに学習に励んでいた。

 そして、そんなキャメロンは、試験勉強をするために恐る恐る入った図書室で、運命と出会うのだ。



 司書から図書室長へと肩書が変わったザカライアは、40歳をすぎてもなお衰えぬ美貌で、女子生徒たちの注目の的だった。

 流れる銀髪と、メガネの奥に鎮座する、知性あふれる灰色の瞳。

 目元にうっすらと見える皺も、大人の色香のひとつだった。

 

 要領のよくないキャメロンに、ザカライアは最適な参考書を選んでくれた。

 それが何度か続くうち、キャメロンはザカライアに恋をしてしまう。

 足繫く図書室へ通うキャメロンに、ザカライアも目をかけてくれる。

 『レンフィールド王国の枯れない花』シリーズの、どこにもなかった物語が、始まろうとしていた。



 ◇◆◇



【そう言えばアイツ、今頃なにやってんだろうなあ? いい加減、実体化くらいは済ませたかなあ?】



 すっかり忘れていた光の精霊のことを、ホレイショは思い浮かべる。

 七色の渦に流されて、一体どこへ行ってしまったのか。



【ちょっと探してみるかな。あんまり可哀想だったら、オレが助けてやらなくもないぜ】



 闇の精霊に生まれたホレイショだったが、ウェンディやデクスター、その家族に囲まれて暮らす内に、愛が何であるかを知った。

 そして今や、愛のエキスパートを自認している。



【アイツの匂い、この辺りからするなあ。ちょっと世界を繋げてみるか】



 そしてホレイショが見つけた異世界で、光の精霊は絶叫していた。

 

〖だから! そいつは駄目なんだって! 未来で裏切るんだって!〗

「え~、でも一番カッコいいじゃん。私の推しなんだよね」

〖くああああ! この物語を教えてやったのは、誰だと思っている!〗



 光の精霊は、なぜか七色に光るインコになっていた。

 そして見知らぬ女性の肩に乗り、喚き散らしている。



【お、ちゃんと実体化してるじゃん。えらく派手だけど】



 面白がったホレイショは、覗き見を続ける。



〖逆ハールートなんて成立しない! あの国は一夫一妻制で――〗

「はいはい、ゲーミングインコは黙ってて。もう締切りも近いんだから、そんなに大きくシナリオ変更できないんだって」



 カタカタと何かを連打して、女性は作業を続ける。

 光の精霊はその周りをバタバタと飛び、〖内面が――! 身分が――!〗と言葉を発していたが、ことごとく無視されていた。

 

【ぶはっ! アイツ、また取りつく相手を失敗してないか。でも、とりあえず実体化は出来たんだから、愛の香りは吸えてるってことだよな。あ~、良かった良かった】



 腹を抱えて笑いながら、ホレイショは異世界との繋がりを閉じた。
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