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第二王子ウィリアム目線

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僕は半年遅く生まれたせいで王太子になれなかった。母上は早く生んであげられなくてごめんねとよく謝ってくれる。

ヘンリーは天使のような阿呆ヅラで気楽そうに歩き回っている。悔しいことに、レッド公爵家のジルフォードを側近という肩書きでしばり、こきつかっている。


いろんな貴族が
「ウィリアム様こそ、王太子にふさわしい」と父上に言ってくれたり、たまに兵をあげてくれたりするが、いつのまにか、その人たちはどこかに行ってしまう。

今日、ジルの叔父君とご母堂がやって来た。


貴族の半数が賛成してるから、王太子を僕にやって欲しいと言うのだ。

レッド公爵家は乱心したジルに代わって、叔父さんの所のフレデリックを公爵にするらしい。

そしたら、僕がジルを拾ってあげればいいだろう。


そう思っていたらジルが訪ねて来た。僕を頼ってくれたんだと謁見を許したら、騎士団の訓練場に連れてこられた。


「いいですか?殿下。これで何回目ですか。ヘンリーが殿下を見限ると言うからわたしが出しゃばりました。体を鍛えてないから下らない事をやりたくなるんです。あなたが国の舵取りをできるわけないでしょ。

とりあえず、体を動かしましょう」

僕はジルの言ってる事が理解できずに

「どういうこと?」「なに」とか言いながら、誰か味方はいないかとあたりを見回したが、みな知らんぷりだった。


突然、

「取ってこい」とジルが命令を出した。おもわず、それに従ってしまった。

僕はジルが投げたボールを追いかけて走っていた。なぜ、こんなことを?これって?

ボールを拾ってジルのへ渡すと

「おっし。取って来い」おもわず走っていた。

たまに戻ると水をくれたり、ビスケットをくれる。

もう、息が切れて歩いたが、ジルはなにも言わずにボールを投げつづけた。


「よっし、頑張ったな。もっと早くこうすれば良かったな・・・・ウィル」とジルが頭を撫でてくれた。

嬉しかった、ジルが名前をそれも愛称を呼んでくれた。



それから、ノーステラ帝国がなにか仕掛けて来たらしく、ジルが対処に行くことになったらしいが、

「殿下、王太子殿下が総大将をお命じになりました。共に戦いましょう」と手を取ってくれた。

僕は初めて戦場に行く。

王子として生まれたのだ。国の為に尽くすことは当たり前だ。



「明日は戦場に着きます。兵の士気が常になく高いですね。ウィルの活躍の場がたくさんありそうですよ」

と寝る前にウィルが言った。僕はベッドに入るとジルと並んで戦う自分を想像しながら眠りについた。




「とって来い」聞き慣れた命令に体が素直に従った。

僕は犬になっていた・・・・・夢?

ボールを咥えて戻るとそこにヘンリーがいた。

「お座り」「ワン」もう一度「とって来い」・・・・ボールを咥えて戻った僕をお座りさせると

「ジルはうまく躾けたようだな。さすがだ・・・・俺はお前をちゃんとした王族にする為にわざわざお前の夢に来てやった。理解できないようだな・・・・犬だし」

そう言うと椅子から立ち上がり、僕を見下ろした。


「お前、貴族が平民と結婚するにはどうするか知ってるか?」

「わ・・ん・・・はい、平民をどこかの貴族の養子にして貴族にします。それから貴族としての振る舞いを教えて・・・ある程度になったら結婚します」

「話にならん。責めてちゃんとした犬になれ」

「ワン」

自分の声で目が覚めた。
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