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1 魔王マジ魔王!

7 怒りの魔王さま

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 泣き腫れた目元でも、朝ご飯はしっかり食べる。朝食べないと、1日元気に動けないでしょう!魔王さまのお母様は至極真っ当な事を言う。

 あまり眠れなくても、昨日怖い思いをしても、やってくる時、勇者はやってくる。

「魔王さまー勇者来ましたよー」

 しょんぼりしながら、通信用の水晶に返事をする。

「準備するから、時間かけて…」

 しょうがない、私の仕事は魔王さまで勇者を返り討ちにしないといけないのだ。
 
 魔王の鎧は圧迫感がすごくて暑い。でも途中でパワーアップ感を出す為に最初は着てなくてはいけない。
 魔王の兜も同じ。大きな角の装飾がとても大きくて、バランスが取りにくい。

 仮面だって暑いけど、つけてた方が強そうだから、つけておく。

 魔王の力で、重さはそうでもないけれど、邪魔なのだ。鎧の類いはつけていない方がレディアルは強い。

 はぁ…ため息をついてから、魔王の椅子に座る。早く部屋に帰って兄上2から貰った詫びケーキを食べたい。

「魔王さまー来るっすよー」

「頑張ってねー!魔王さまー!」

「はーい」

 観客に手を振って椅子から立ち上がる。魔王さまは部下に娯楽も提供するのだ。

 くん、嫌な記憶が蘇る匂いがした。ぶわっと総毛立つ。魔王の魔力が漏れ出す。



 観客が一斉に逃げ出す。
魔王様が通常ではない。赤い魔力が周囲の温度を上げて、可燃性のものがぷすぷすと煙を上げて始めた。

「ひ」

 遠くから声が聞こえる。

「まったく、昨日はひでーめにあったし、下の雑魚どもはやけにつえーし」

「こっちもボロボロよぉー勇者君、やれるのぉ?」

「だいぶ魔力を使ってしまった。厳しいな」

「後は魔王だけだ!倒しちまえばこっちのもんよ!」

「あはー!宿屋の修理費も払えるかもー!」

「ひぃ」

 この声…!間違いない。
バキン、バキン!石造りの壁にひびが入り、暴走状態の魔力が走り回る。小石は下から上に浮き上がり、戦う前から部屋は凄惨。

「なんだ…この熱と…魔力の奔流は…!」

「熱いわ…!おかしくない?」

「魔王の間だぜ?そりゃ魔王が居るんだ!」

 扉は熱せられて熱かったが、触る事ができない訳ではない。
 
「いくぜ、お前ら!」

「待て!勇者!」

 魔法使いが止めるのも聞かず、勇者は扉を開けた。

 熱い、熱い魔力の風が容赦なく吹き付け、のどを焦がす。

「ふぅうううーーー!」

 ぐわっ!グルルルグワァ‼︎
魔王さまの腕から3つ首の巨大な炎の魔獣が現れ、

「う!」「え!」「ひっ!」

 勇者一行を吹き飛ばした。


「な、なんか 産まれたーー!」

 炎の魔物はレディアルを守ろうとまだ警戒態勢のまま、低く唸っている。

「ひいいいー昨日の奴だったああ!!」

 魔王さまは今日も泣いた。



 その日、人間側で号外がまかれた。

とうとう ゼロポイント勇者現る!

と……。
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