【完結】廃品を直して売る俺は娼婦の息子の奴隷商。聖女でも王子でもないからほっといてくれ!

鏑木 うりこ

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74 この姉と妹、強いぞ

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「わたしはここに残ってローゼリアお姉様とマルガレータお姉様のでしになります!」

 ふん!とリュンが鼻息を荒くしたので、俺は新たなる女傑の誕生を目の当たりにしてしまった。

「リュンったら超可愛いじゃん?だからこれから英才教育しようかなって!」

 やめたげて?ローザ姉さん。

「しかも、剣もかなり使えるから、私達より強くなりそうですわ」

 何、化け物を作り出そうとしているのかな?メグ姉さん。

「いずれルンちゃんを倒してリュンがこうていへいかになります!」

 あ、うん。それは安心できるな。1ヶ月後くらいには倒せるんじゃねえ?

「ふははは!この帝国皇帝ルン・ランドバードを倒せる物なら倒してみよ!むぎゅう……」

「ほあちゃーー!」

 リュンの飛び蹴りが華麗に決まって、皇帝陛下は地に伏した。ざまーみろだ、完全に悪の皇帝感が凄い。

「リュン!駄目だ。帰るぞ、「あぁん?!」うっ!」

 姉さんに睨まれて、レントの尻尾が垂れ下がる。こういう時困るもんだな、尻尾があると。気分がバレバレじゃねーか。

「しかし!リュンはまだ小さい!」

「歳なんて関係ないね、本人のやる気だ。しかもリュンは立派な淑女だ」

 へっ!とローザ姉さんに鼻で笑われる。レント、学習しなよ。

「無理だ、レント。姉さんには逆らうな」

「リーヤ……俺が間違ってた……」

 流石に可哀想になって慰めてやった。帝国に女性の貴族が増えていくだろうなー。

 俺とクォンツにいく面子は来た時とは入れ替えながらも決まって行き、天気の良い日を見て出発した。

「じゃーなー!リーヤ。馬の乗り方が分かったら遊びに行くからもてなせよー!」

「気をつけて。名物って何かしら!」

 見送りにローザ姉さんとメグ姉さんが来ていたけれど、ルンは名前を書いて判子を押す仕事に忙しいらしく、眼鏡達に捕獲されていたようだ。

「以前と違って良い道路がありますから、行き来にはそんなに時間を要しませんよ。宿場町も建設しますし、おあつらえ向きに温泉も出ました。儲かりますよ!」

「あ、それは頼もしいね……」

 ローザ姉さんの尻の下でもアスさんの眼鏡はギラギラ光っている。

「リュンさんも責任を持ってお預かり致しますので」

「よろしくお願いします。ああ見えてもまだガキですから……」

 レントは深々と頭を下げる。言い出したら聞かない妹とは言え、兄弟の一番上としてしなければいけない事だろう。

「そういう所はしっかりしてらっしゃるのに、どうしてリーヤ様の事は……」

 はぁ、とため息をつく。きっと沢山の組み立ていた計画が壊れたんだろうな。何を計画していたか、知りたいような知りたくないような……。

「聞きたいです?」

「いや!要らないです!」

 やっぱり怖いや!
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