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78 知ってしまった
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「じゃ……じゃかわしぃわーーー!あれだけ完璧な嫁を逃す男がどこにおるんじゃ!わしの腕一本で済むなら安いもんじゃーーー!」
「このくそ野郎!命までは取らんつもりであったが、やはりその首叩き落としてやるっ!狂犬カリウスを舐めるなーー!」
「犬ッコロが獅子に勝てるわけなかろーがぁああっ!!」
ガシャーン!バリーン!ウチの父さんが吹っ飛ばされて、高そうな壺を割る。レントの父さんが飛ばされて高そうな絵に穴が開く。
床に、壁に大穴が空き、向こう側が見えて、物音に驚いたメイドさんと目が合い、居た堪れない気持ちになる。
「いいぞー!やっちゃえ!カリウス様ー!」
多分、けしかけた元凶が飛び跳ねて喜んでいる。
「母さん!父さんを止めてよ!」
「嫌よ」
「母さーんっ!!」
「リーヤだって父さんの気持ち分かってあげてよ。レントには八つ当たり出来ないし、しょうがないでしょ」
八つ当たりって、ウチの父さんの八つ当たりはかなり激しいから、ちょっと控えて欲しいんだけど?!
「いや、だからって!別の国の王様に剣を抜いて斬りかかってどうするのさ?!宣戦布告だよ?!」
「いつも通りだそうよ」
やだ!父さんの手腕、力押しすぎて怖い!
「それに父さんは知ってしまったのよ。王様なんて誰がなっても、むしろ居なくても一緒だって……ただ、優秀な眼鏡が居れば良いって事を……」
「アッーーー!眼鏡ェ!」
しまった、眼鏡を活躍させ過ぎた!
「すみません、リーヤ……」
いつの間にかデリウス王妃が吹っ飛んだ王様の左腕をぶら下げてそばに立っていた。
「怒って当然の事でした。私も獣人との生活が長くなって、彼らの考え寄りになっていました。確かに首を飛ばされても文句は言えない。あの人が絶対に逃すなと焚き付けたと聞いています。本当に申し訳ありません」
俺が今更何をと口を開く前に、母さんが目をキラキラさせている。
「まあまあ!なんて男前!そしてレントそっくり!ねぇ!本当にお尻から産むの?!」
父さんの一撃よりざっくり斬り込んでいった。か、母さんっ!!
「産みますよ、獣人の血を引くと人間より少し早めに、そして少し小さく産まれますけど、ながーい便秘が治ったくらいスッキリしますよ」
「まあ!凄いわ!痛いの?」
「そりゃもう!痛み止めを処方されても痛いですよ」
「うわー!確かにあれは痛いもんねぇ!」
「そうなんですよー!それなのに何回も何回も!あははは!」
「わーすごーい!私なんて一回で限界よー!すごーい!」
あ、あれ?なんか盛り上がっちゃってる……?!
「ちょっと!リーヤもこっち来なさいよ!あんただってこれから、でっかいの出すんだから!」
「そうですよ、リーヤ。最後は結局、筋肉がモノを言うんです!」
「やだぁー!脳筋じゃない」
まずい!デリウス様が母さんに巻き込まれた!母さん達はあははと笑いながら出産あるあるで盛り上がってるし、父さん達は
「死ねぇーーー!」
「死ぬのはそっちだーー!」
って本気で斬り合ってるし!そうだ、レント、レント!!
「レント、どっちかで良いから止めてよ!」
「リーヤの父さんって強かったんだなぁ。しかも戦い方がエグい。親父にぶつけたのあれ、香水の瓶だろ?獣人にゃきついわー……マジ参考になる」
なんか尊敬の眼差しで見てる?!うわーー!
「これがー王妃様から預かった王様の手でー、これが針と糸。麻酔なしで縫うといたいんですよー?」
「あー痛そうだねー。でも怪我人は二人以上出ないっぽいの楽で良いねー」
部屋の隅でアライグマ先生が、鞄を広げて治療道具を並べている。隣にしゃがみ込んでいるハリーと楽しそうに会話しながら。
「ああ見えて、周りに気を遣いながら戦ってるんですよ、怖いでしょう?」
「もー俺達の出る幕じゃねーっす」
「気が済むまでやらせましょう」
お城の衛兵もついて来た護衛もやれやれと首を竦めた。
「もう酒でも飲みながら見た方が楽しいですよ」
「ほんと、ほんと。リーヤ様も離れて見てた方がいいッスよー」
あ、あれ??もうそんな感じでいい奴なの……?皆対応しすぎじゃない?ねえ!ねえってば!?
「このくそ野郎!命までは取らんつもりであったが、やはりその首叩き落としてやるっ!狂犬カリウスを舐めるなーー!」
「犬ッコロが獅子に勝てるわけなかろーがぁああっ!!」
ガシャーン!バリーン!ウチの父さんが吹っ飛ばされて、高そうな壺を割る。レントの父さんが飛ばされて高そうな絵に穴が開く。
床に、壁に大穴が空き、向こう側が見えて、物音に驚いたメイドさんと目が合い、居た堪れない気持ちになる。
「いいぞー!やっちゃえ!カリウス様ー!」
多分、けしかけた元凶が飛び跳ねて喜んでいる。
「母さん!父さんを止めてよ!」
「嫌よ」
「母さーんっ!!」
「リーヤだって父さんの気持ち分かってあげてよ。レントには八つ当たり出来ないし、しょうがないでしょ」
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「いや、だからって!別の国の王様に剣を抜いて斬りかかってどうするのさ?!宣戦布告だよ?!」
「いつも通りだそうよ」
やだ!父さんの手腕、力押しすぎて怖い!
「それに父さんは知ってしまったのよ。王様なんて誰がなっても、むしろ居なくても一緒だって……ただ、優秀な眼鏡が居れば良いって事を……」
「アッーーー!眼鏡ェ!」
しまった、眼鏡を活躍させ過ぎた!
「すみません、リーヤ……」
いつの間にかデリウス王妃が吹っ飛んだ王様の左腕をぶら下げてそばに立っていた。
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「まあまあ!なんて男前!そしてレントそっくり!ねぇ!本当にお尻から産むの?!」
父さんの一撃よりざっくり斬り込んでいった。か、母さんっ!!
「産みますよ、獣人の血を引くと人間より少し早めに、そして少し小さく産まれますけど、ながーい便秘が治ったくらいスッキリしますよ」
「まあ!凄いわ!痛いの?」
「そりゃもう!痛み止めを処方されても痛いですよ」
「うわー!確かにあれは痛いもんねぇ!」
「そうなんですよー!それなのに何回も何回も!あははは!」
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あ、あれ?なんか盛り上がっちゃってる……?!
「ちょっと!リーヤもこっち来なさいよ!あんただってこれから、でっかいの出すんだから!」
「そうですよ、リーヤ。最後は結局、筋肉がモノを言うんです!」
「やだぁー!脳筋じゃない」
まずい!デリウス様が母さんに巻き込まれた!母さん達はあははと笑いながら出産あるあるで盛り上がってるし、父さん達は
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「死ぬのはそっちだーー!」
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「レント、どっちかで良いから止めてよ!」
「リーヤの父さんって強かったんだなぁ。しかも戦い方がエグい。親父にぶつけたのあれ、香水の瓶だろ?獣人にゃきついわー……マジ参考になる」
なんか尊敬の眼差しで見てる?!うわーー!
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部屋の隅でアライグマ先生が、鞄を広げて治療道具を並べている。隣にしゃがみ込んでいるハリーと楽しそうに会話しながら。
「ああ見えて、周りに気を遣いながら戦ってるんですよ、怖いでしょう?」
「もー俺達の出る幕じゃねーっす」
「気が済むまでやらせましょう」
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