【完結】廃品を直して売る俺は娼婦の息子の奴隷商。聖女でも王子でもないからほっといてくれ!

鏑木 うりこ

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86 その熱は死ぬまで続く

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「リーヤ!!」

「フラン……?!フラン!!」

「今度は間に合ったようですね」

 フランがクォンツにやって来た。今まで一度も顔を見せなかったのに、突然だった。

「フラン!フラン!レントが死んじゃう!俺は、病気は治せないんだ!」

 どうしよう、子供達もまだ小さいのに。日本にいた頃の俺は子供とか居なかった。死んでも一人みたいなもんだし、父さんも一人で生きていける人だ。

「落ち着いて、リーヤ」

「駄目なんだ!俺みたいに死んじゃうんだ!」

。意味は分かりませんが、ただの熱でしょう?死ぬ訳が」

 違う!この熱はずっと続くんだ、死ぬまで下がらないんだ。

「リーヤ、ただの熱よ。レントが死ぬわけ無いわ」

 フローラ母さんもそう言う。

「そうですよー。ピンピンしてるじゃないですか!」

 アライグマ先生もそう言う。

「いや、ホント熱だけだぞ。リーヤを置いてそんな簡単に死なねーよ」

 レントも言う。誰だってそう思うんだ!俺だってそう思ってた。でも、そのまま俺は病院で死んでしまった。

「若いと、回りが早くて……あっという間なんだ、どうすれば良い?!俺には、俺には治せないんだ!」

 周りはたかが熱って言う、でも違う!

「皆さん、私達には本当にただの発熱にしか感じません。でも、こんなにリーヤが怯えて、訴えている。何かある、そう思いませんか?」

 フランの声が聞こえる。昔より低くて落ち着いた声になった。そして人を信頼させる声だと思う。

「レントは、仕事を一時中断して休養を取れ、後リーヤ落ち着いて知っている事を話して」

 話す、何をどこまで話していいのか。信じて貰えるのか?そして俺だって病気の事をよく分かっている訳じゃない。

「リーヤ」

 それでもフランは微笑みかけてくれる。

「話せる事だけで良いから」

「フラン……」

 俺は選んで話し始める。体の中に悪い出来物が出来る事。それが熱を出す原因である事。体のどこに出来ているかは症状が出ないとわからない事。

「レント、その熱はいつからあるの……?」

 レントは頭をかきながら目を逸らした。

「……ただの熱だと、すぐ良くなると思ってて……二週間前からは……」

「っ!」

 何で、何で俺は気がつかなったんだろう!そういえば最近仕事が忙しいって素肌で触れる機会はなかったかもしれない。でも、でもどうして!

「レント、レント!俺、俺、どうしたら」
 
「泣くなよ、明日にもよくなってるじゃねぇか!」

 そんな訳ない!そんだけ続いてるのに、どうして明日治るって言うんだ。ああ、何で俺は前世でもっとこの病気について詳しく調べておかなかったんだ!

「熱……続く熱……。もしかして、お腹の辺りがギリギリと痛んだり?食べすぎでもないのにムカムカとしたり?」

「……その悪い物が腹……胃に出来れば、なるけど……どうした、フラン」

 さす、と、胃の辺りを摩るフランの動きに不穏な物を感じる。

「怠さを感じたり、目眩なんかも?」

 まさかフラン、お前もなのか。

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