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44 どうせ「あんたずるい」って言いに来ただけでしょう?

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「諦めなさい、シシリーよ」

「嫌ですわ、お父様」

 一応悪あがきの様にお父様にご相談してみたけれど、還ってきた言葉は「諦めなさい」酷い、酷いわ。

「お母様だって自分の息子を皇帝にしたいでしょう?」

「私は娘でも構わないわ」

 何という事でしょう。

「えっ!シシリー様が次期皇帝に?ではこの国にずっといてくださるのですね、嬉しいわ!」

「……そうなったらそういう事になるでしょうけれど……」

 イヴォンヌ達もコレだ……相談する人を間違えたわ。一応内密にしてもらったけれど、あれでは神殿関係者や自分の両親たちに話しちゃうわね。

「大聖女であらせられるシシリー様がこの国の頂点に立たれたなら、神もお喜びになるはずです」

 とか言い出しそう、怖いわ。大失敗だわ……!


 大豚だった私はだいぶやつれて……うん、痩せたというかやつれたわよ……を経て、中豚、いや子豚くらいになって来たそんな時だったわ。

「この腹黒豚女!アンタのせいよ!!」

「シシリー、この無礼な女は生きたまま少しづつネズミの魔獣に食い殺させるで構わんな?」

 つかつかとルーナが近づいてきて、私に人差し指を突き付けたかと思った瞬間、ルーナの顎の下に大剣が当てられていたから私は冷静に

「その方は一応聖女です。一応生かしておいてください」

「いや、無理だ。こんな無礼な生物は聖女ではない。殺す」

「お願いします」

「承りましたー!」

 私とギルマルド様の漫才が一通り済んでから、何が起こったのか理解したルーナは「ひいいいいっ!」と叫び声をあげたわ。人間理解の範疇を超えることが起ると固まってしまうものね。

「ルーナさん。何か御用ですか?人に指を差してはいけませんと子供でも知っていますけれど」

「あ、あんたのせいでっ」

「黙れ、その無礼な指を切り刻むぞ」「ひいっ」

 話が全く進みませんわ、ギルマルド様。とはいえどうせルーナは「あんたずるい」って言いに来ただけなんでしょうけど。

「ルーナさん。もし自分の努力不足を私のせいにして文句をつけに来たのでしたらお帰り下さい。私、そんなに暇ではありませんので」

「な!豚女のくせに……ひっ!!」

「やはり処分してきますね、シシリー様。なあにすぐ済みますので」

 話が進みません、ギルマルド様。

「あと少しだけお待ちくださいな。それでどうなんです?思い通りに行かなくて王太子殿下に叱られた?宝物がないから力が出ない?神殿関係者に冷たくされた?どれもあなたが真面目に修業しないから悪いのでしょう?現に私は宝物などなくても何とかなっておりますし、神殿とも良好な関係を築いております。王太子殿下のご不興は買ったかもしれませんが、流石にそれは私のせいではありませんしね」

「そうですね!シシリー様が次期皇帝になられるのはお爺様のご意思ですしね!」

 余計な事を言わないで下さいまし、ギルマルド様。あとお爺様の事をいつの間にそんなにナチュラルに身内の如く呼んでおられるのですか……。

「豚……シシリーが次期皇帝……!?そんな訳、そんな訳ある訳ないじゃない!次期皇帝はアンソニー様に決まってるのよ!そして私はアンソニー様の妻として皇帝の妃になるんだから……!」

 それはゲームのストーリーよね。


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