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サイドストーリー・妹の冒険
国王の3つの不可侵
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「エディオン、今なんと言ったか?私がこよなく愛するこのワインが……この芳醇でかすかにヴァニラを思わせる香り。滑らかで蕩けるような舌触り、まるで私が愛する妻の様な完璧でいて、慈愛に満ちたこのワインを置いて、他の得体の知れぬ女ワインを勧めると、そう言うたか?」
この凍った空気にも怯まず…と言うか気付いてないのか、エディオンはそこで下がらずに続けた。
「っっっは、そんな大袈裟ですよ、父上。偶には他の味を見るのもどうかなぁと……」
「他のものも口にしない事もない。この王宮での夜会でも贔屓しすぎは良くないからな。しかし、私はなに分一途な質でな。天の巡りで出会った気に入りを、手放す気はない。……ところでエディオンよ、ここ数日チョロチョロと動いていた様だが……余計なことはしていまいな?」
「も、勿論ですよ父上!兄弟で一番可愛がられている私が、余計なことなどするはずがありませんっ」
「……そうか。貴様は順位も低く、王太子後継者も既にあるし、負担は掛けなくとも良いだろうと思っていたのだが、兄達と同等の教育が必要の様だ。明日からは、私が定める水準に達するまで一切の自由を禁ずる。分かったな」
「えっっそれはどういう……」
「おいっ!誰か此奴を部屋へ戻せ。私の許可なく外へは出すな」
陛下の呼びかけに騎士と数人の男性使用人が部屋に入り、エディオンの両腕を持って立たせて半ば引きずるように連れて行こうとした。「やめっ、父上!」と抵抗するエディオンに、同席していた第二王子が小声で言う。
「お前、父上の不可侵を知らないのか?!」
「兄上っっふか??」
「そうだ、国と母上とワイン。何者も不当に手を付けて荒らしてはならない三つだぞ?!」
「父上は時に過剰ではあるが、非情ではない。大人しく反省して受け入れろ。でなければ先はない」
最後に末の弟に噛んで含める様に言ったのは王太子だった。
いつも優しい兄から、初めて向けられる凍りつく様な眼差しに気づき、やっと従僕さんと兄達の言っていたことや、現状の危うさを理解し、エディオンは青褪めた。抵抗を止めて大人しく部屋へと戻ったエディオンは、翌日から物凄く目溢しされていた教育をがっちりみっちり、一から入れられて、従僕さんの言う通り、ある意味“期限付きの軟禁“となったそうだ。
この凍った空気にも怯まず…と言うか気付いてないのか、エディオンはそこで下がらずに続けた。
「っっっは、そんな大袈裟ですよ、父上。偶には他の味を見るのもどうかなぁと……」
「他のものも口にしない事もない。この王宮での夜会でも贔屓しすぎは良くないからな。しかし、私はなに分一途な質でな。天の巡りで出会った気に入りを、手放す気はない。……ところでエディオンよ、ここ数日チョロチョロと動いていた様だが……余計なことはしていまいな?」
「も、勿論ですよ父上!兄弟で一番可愛がられている私が、余計なことなどするはずがありませんっ」
「……そうか。貴様は順位も低く、王太子後継者も既にあるし、負担は掛けなくとも良いだろうと思っていたのだが、兄達と同等の教育が必要の様だ。明日からは、私が定める水準に達するまで一切の自由を禁ずる。分かったな」
「えっっそれはどういう……」
「おいっ!誰か此奴を部屋へ戻せ。私の許可なく外へは出すな」
陛下の呼びかけに騎士と数人の男性使用人が部屋に入り、エディオンの両腕を持って立たせて半ば引きずるように連れて行こうとした。「やめっ、父上!」と抵抗するエディオンに、同席していた第二王子が小声で言う。
「お前、父上の不可侵を知らないのか?!」
「兄上っっふか??」
「そうだ、国と母上とワイン。何者も不当に手を付けて荒らしてはならない三つだぞ?!」
「父上は時に過剰ではあるが、非情ではない。大人しく反省して受け入れろ。でなければ先はない」
最後に末の弟に噛んで含める様に言ったのは王太子だった。
いつも優しい兄から、初めて向けられる凍りつく様な眼差しに気づき、やっと従僕さんと兄達の言っていたことや、現状の危うさを理解し、エディオンは青褪めた。抵抗を止めて大人しく部屋へと戻ったエディオンは、翌日から物凄く目溢しされていた教育をがっちりみっちり、一から入れられて、従僕さんの言う通り、ある意味“期限付きの軟禁“となったそうだ。
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