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初対面
しおりを挟む戸惑う僕など意に介せない様子で、僕を抱き上げたソーマは今日は使用人棟へ向かってずんずんと歩く。
使用人棟から先は並木道のようになっていて、何の花なのか咲きそうに膨らんだオレンジ色の蕾がたくさんついている。
「本邸へは転移魔法ではなく必ずこの道を通ることになっているのです。まぁ、私はまだ不慣れですけれどね。」
「………………ん?」
──本邸?
僕は無意識に首を傾げた。
すると直後に地面に足がつき、急に並木のうちの一本へ背中を押し付けられた。
すぐに深いキスをされ、けれどわりとすぐに荒い呼吸に赤い顔のソーマと視線が絡んだ。
膝が抜けそうになりながら呼吸を整えてつつソーマを見上げれば、
「あぁもう……」
また唇を喰まれる。
僕は息も絶え絶えである。
それに全く意味がわからない。
「ケイがかわいすぎるのがいけないと思います。」
服越しに、熱く滾る下半身を擦りつけられる。
襟元を寛げ、鎖骨の辺りを吸われれば、
「……んっ」
体が反応を始めるが、どうしてまた外で始まるのか全く意味がわからない。
そんな時だった。
「ソーマ…ソーマなの?」
──妙齢のご婦人の声?
僕が顔を上げた先へ振り返ったソーマが言った。
「母上……」
──はぁ?
初御目見得がこんな状態なのがイヤなんて、僕だけじゃないはずだ!!
ソーマの母上様を確認する。
ソーマと同じ芝生色の髪に、金色の瞳の儚げなオバ…ちゃん年齢のご婦人で、女神級の美人だ。
かなり気まずかったけれど、
「ソーマ……おめでとう!!嬉しいわ。」
「母上…」
ソーマの母上様はその言葉と共にソーマに駆け寄り、ソーマが片手で抱き止める。
そんなでもソーマの下半身は服越しに僕の下半身を刺激し続けており、傍から見たら三人プレイの構図になっている。
せめて僕の腰を掴むソーマの手が離れてくれればと彼の手を上から掴めば…
何の合図と思ったのか、ソーマは母上様を自分から遠ざけ、僕を再び抱き上げた。
「母上様。遠路遥々─(中略)─無事のお帰りに安堵致しました。」
視線が少し下がって、ソーマが膝を折ったのがわかった。
僕も頭を垂れたかったけれど、
「暴れると落ちますよ。」
チュッ
額にキスされてしまい、断念した。
ソーマの母上様は、そんな息子の様子に見を丸くしている。
──ほら、驚いてんじゃないか!
「さぁ、こんなところではなんですから、サロンに向かいましょう。」
ソーマの母上様の言葉に、
「はい。」
ソーマは、理性を完全に取り戻したのか、謙虚そうな表情で答えた。
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