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第一部 第一章

26話

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 エルクたちが居間を出て外へ出よと玄関に向かっているとその途中で村長夫人に出くわした。

「ああ、夫人、少し外が騒がしい様ですので少し俺たちが様子を見て来ますね」

「ええ、お願い出来ますか。何だか急に外が騒々しくなったものだから少し様子を見に行こうと思ったのだけれど、あなたたちが見に行ってくれるのなら安心だわ。お願いね」

「ああ、任しておいてくれよ」

 エルクはそう言うとルリたちを連れて村長の家を出た。

 外に出たエルクたちの目の前に現れたのは村の至るところで胸だったりお腹を手で押さえて苦しんでいる村人たちの姿だった。

 その余りの光景に呆気に取られていたエルクたちの後方で突然何かが倒れる音がした。

 エルクたちは一斉に後ろを振り返るとそこには胸を両手で押さえて苦しそうにしながら倒れている村長夫人の姿だった。

「夫人、どうしたんですか」

 エルクたちが急いで夫人のもとに駆け寄ると夫人はいき絶え絶えに言って来た。

「やっぱり。心、配に、なって、様子、を、見に、来た、ら、突、然、む、胸、が、く、苦し、く、なって」

「成程、見たところ、みんな、同じ症状みたいだな。神眼で調べてみるか」

「それが良いでしょうね。原因がわからないと治療法もわからないし、もしかしたら私たちも掛かっているかも知れないし」

 そして、エルクは神眼でこの原因を探るために夫人や村人たちを鑑定した。

鑑定結果
・エンプレスキラーアントの酸
(少量摂取では少し体調を崩すだけだが、適量摂取すると三日以内に腹痛や胸痛が起こりそれから十日以内に死に至る)
治療方法:特効薬を飲ませる(一から作る必要がある)
材料:人面草の葉一枚、ファイアドラゴンの牙一つ、エンプレスキラーアントの酸(原液)
   グランドタートルの甲羅一つ、清らかな水 

「どうやら、特効薬を作って飲ませない限り助けられないようだな。それと、俺達はどうやら発症していない様だ」

「しかし、こうなりますと事はキラーアント十五体の討伐では終わらなくなってきましたな」

「ああ、これはキラーアントの巣そのものを探さないといけなくなったな。取り敢えず村人たちをこのままにはしておけないな」

 エルクたちは手分けして村人たちを教会の中へと運び込んだ。

「よし、役割分担をするぞ。バズとノワールはここで村人たちの看病をしていてくれ。俺とルリ、ブロン、トイニーは各自、特効薬を作るのに必要な素材の収集だ。ファイアドラゴンの牙とグランドタートルの甲羅はもう持っているから、それ以外の人面草の葉とエンプレスキラーアントの酸(原液)だけだ。エンプレスキラーアントは俺とルリが行く。発見するのは難しいが人面草の葉は頼んだぞ」

「「はっ、お任せください」」

「この村の事は僕とノワールに任せて下さい。何が来ても二人で守り抜いてみせます」

「ああ、頼んだ」

 そして、エルクとルリ、ブロン、トイニーは素材採集をしに村を出て行った。


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