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第11章 軍団戦争
第221話 飴と鞭
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冒険者の街、ネイト。10年前、突如出
現した迷宮の近くに出来た街で一攫千金
を目論む冒険者達で溢れている。とはい
っても迷宮に潜ることで稼げる者はほん
の一握りである。何故ならこの迷宮、区
分的には上級に分類される為、1階層目
からそこそこ強い魔物が待ち構えている
のだ。販売されている地図に載っている
のも30階層目までのものしかなく、最
後まで到達しクリアした者がいない迷
宮………………なはずだった。彼女達がや
ってくるまでは。
「ほら、行くよ!」
「「「「「は~い!!!!!」」」」」
小休憩にと飴を舐めていた少女達が立ち
上がる。彼女達はクラン"黒天の星"の
桃組の組員達だった。遡ること数時間
前。ネイトへと辿り着いた彼女達はギル
ドへと顔を出した後、不動産屋へ向か
い、クランハウスを購入。その足ですぐ
に迷宮に潜り出したのだ。そこから今い
る階層までとんでもないスピードで進
み、ちょうどいいスペースがあった為、
少しばかり休憩を取ることにしたという
訳だった。階層を進む度にすれ違う冒険
者は驚きの表情をしていたが、そんなこ
とに興味のない彼女達は一瞥さえくれる
ことがなかった。
「確か現時点での最高到達階層が30だ
っけ?」
「そうですね」
組長であるアゲハが副長のシズカヘと質
問をする。現在、彼女達がいる階層が2
5。この勢いであれば、すぐにでも記録
を更新しそうだった。
「さて、ちゃっちゃっとクリアします
か」
「上級なので油断は禁物です」
「分かってるって。君達も気を引き締め
てね」
「「「「「はい」」」」」
第35階層目。アゲハ達の目の前には無
数の魔物がいた。サイクロプス、ゴブリ
ンキング、ワイバーンなどな
ど………………AやBランク冒険者です
ら、見かければ裸足で逃げ出す程の強敵
達。しかし、中には例外もいる。こと彼
女達に限って、逃走などという選択肢は
用意されておらず、むしろ極上の獲物を
見つけた時のように興奮していた。
「"水走鞭"」
「ゴボラっ!?」
「グガッ!?」
「ワオンッ!?」
水を纏った鞭がサイクロプスの眼球へと
直撃。その衝撃で頭ごと吹き飛ばされた
サイクロプスはバランスを失い、後ろへ
と倒れていった。だが、鞭の勢いはそれ
だけで収まらない。そのまま他の場所に
立っていたゴブリンキング、ブラックウ
ルフにも同様に当たり、同じく頭を飛ば
されて絶命した。
「"雷鳴り"」
「"土槍葬"」
「"風切り"」
組員達も負けてはいない。各々、魔法で
次々に魔物達を屠っていく。彼女達にと
って適正ランクなどは関係ない。ただ殺
るか、殺られるか。存在しているのはそ
の2択のみだった。
「んじゃ、この調子でペースを落とさず
に進んでいくから。途中で何かあれば、
言って。例えば、ボスは自分が倒してみ
たいとか」
「「「「「はい!!!!!」」」」」
「よし。このまま突き進むよ~」
――――――――――――――――――
「はい?今、何と仰いました?」
「だから、迷宮をクリアしたって言った
の。ほら、証拠」
「た、確かにそう記載されています
が…………それにしてもこんな短時間
で」
依頼帰りの冒険者達で混雑するギルド
内。そんな中であっても一際目立つ集団
があった。服装もさることながら、発言
内容も只事ではないその集団は周りの視
線を全て集めている。
「あいつらは……………」
「今、話題のクランの奴らだな。先頭に
いるのが銀のバッジをつけているから、
組長だな」
「あの見た目は……………"華蝶"アゲハ
か。っていうことはあいつら、桃組のメ
ンバーだな。ちゃんと組員まで引き連れ
て、立派にリーダーやってるのか」
「お前はどの立場なんだよ。そんなこと
よりも聞いたか?あいつら、難攻不落だ
った"アシダクト迷宮"を制覇したみた
いだぞ」
「流石だな。まぁ、組長がSランクだと
それも可能か」
「まぁ、俺達には一生縁のない世界だ
な。く~っ、羨ましい!」
「だな……………ん?今、あいつら包み紙
から何か取り出して、口に含まなかった
か?何だ、あれ?随分と小さかった
が……………肉じゃないよな?」
「何だろうな?……………あ!近くで様子
を窺っていた男が"華蝶"に向かってい
ったぞ。あいつは確か、迷宮をクリアで
きなくて、何年も燻っていたホアンじゃ
ないか。あ~あ。どうなっても知らない
ぞ」
「しつこく絡んでるな。それに対してあ
いつら、ずっと無視して受付嬢と会話し
てる。凄い度胸だ。……………あ、ついに
我慢できずホアンが手を出した」
「……………で、当然返り討ちに遭うと。
馬鹿だな、アイツ。触らぬ神になんとや
ら。やっぱり、直接関わらず、外から眺
めているのが一番だぜ」
「だな」
その後、ギルドマスター室に通されたア
ゲハ達。その際、先程の件があってか絡
んでいく冒険者は1人としていなかっ
た。
現した迷宮の近くに出来た街で一攫千金
を目論む冒険者達で溢れている。とはい
っても迷宮に潜ることで稼げる者はほん
の一握りである。何故ならこの迷宮、区
分的には上級に分類される為、1階層目
からそこそこ強い魔物が待ち構えている
のだ。販売されている地図に載っている
のも30階層目までのものしかなく、最
後まで到達しクリアした者がいない迷
宮………………なはずだった。彼女達がや
ってくるまでは。
「ほら、行くよ!」
「「「「「は~い!!!!!」」」」」
小休憩にと飴を舐めていた少女達が立ち
上がる。彼女達はクラン"黒天の星"の
桃組の組員達だった。遡ること数時間
前。ネイトへと辿り着いた彼女達はギル
ドへと顔を出した後、不動産屋へ向か
い、クランハウスを購入。その足ですぐ
に迷宮に潜り出したのだ。そこから今い
る階層までとんでもないスピードで進
み、ちょうどいいスペースがあった為、
少しばかり休憩を取ることにしたという
訳だった。階層を進む度にすれ違う冒険
者は驚きの表情をしていたが、そんなこ
とに興味のない彼女達は一瞥さえくれる
ことがなかった。
「確か現時点での最高到達階層が30だ
っけ?」
「そうですね」
組長であるアゲハが副長のシズカヘと質
問をする。現在、彼女達がいる階層が2
5。この勢いであれば、すぐにでも記録
を更新しそうだった。
「さて、ちゃっちゃっとクリアします
か」
「上級なので油断は禁物です」
「分かってるって。君達も気を引き締め
てね」
「「「「「はい」」」」」
第35階層目。アゲハ達の目の前には無
数の魔物がいた。サイクロプス、ゴブリ
ンキング、ワイバーンなどな
ど………………AやBランク冒険者です
ら、見かければ裸足で逃げ出す程の強敵
達。しかし、中には例外もいる。こと彼
女達に限って、逃走などという選択肢は
用意されておらず、むしろ極上の獲物を
見つけた時のように興奮していた。
「"水走鞭"」
「ゴボラっ!?」
「グガッ!?」
「ワオンッ!?」
水を纏った鞭がサイクロプスの眼球へと
直撃。その衝撃で頭ごと吹き飛ばされた
サイクロプスはバランスを失い、後ろへ
と倒れていった。だが、鞭の勢いはそれ
だけで収まらない。そのまま他の場所に
立っていたゴブリンキング、ブラックウ
ルフにも同様に当たり、同じく頭を飛ば
されて絶命した。
「"雷鳴り"」
「"土槍葬"」
「"風切り"」
組員達も負けてはいない。各々、魔法で
次々に魔物達を屠っていく。彼女達にと
って適正ランクなどは関係ない。ただ殺
るか、殺られるか。存在しているのはそ
の2択のみだった。
「んじゃ、この調子でペースを落とさず
に進んでいくから。途中で何かあれば、
言って。例えば、ボスは自分が倒してみ
たいとか」
「「「「「はい!!!!!」」」」」
「よし。このまま突き進むよ~」
――――――――――――――――――
「はい?今、何と仰いました?」
「だから、迷宮をクリアしたって言った
の。ほら、証拠」
「た、確かにそう記載されています
が…………それにしてもこんな短時間
で」
依頼帰りの冒険者達で混雑するギルド
内。そんな中であっても一際目立つ集団
があった。服装もさることながら、発言
内容も只事ではないその集団は周りの視
線を全て集めている。
「あいつらは……………」
「今、話題のクランの奴らだな。先頭に
いるのが銀のバッジをつけているから、
組長だな」
「あの見た目は……………"華蝶"アゲハ
か。っていうことはあいつら、桃組のメ
ンバーだな。ちゃんと組員まで引き連れ
て、立派にリーダーやってるのか」
「お前はどの立場なんだよ。そんなこと
よりも聞いたか?あいつら、難攻不落だ
った"アシダクト迷宮"を制覇したみた
いだぞ」
「流石だな。まぁ、組長がSランクだと
それも可能か」
「まぁ、俺達には一生縁のない世界だ
な。く~っ、羨ましい!」
「だな……………ん?今、あいつら包み紙
から何か取り出して、口に含まなかった
か?何だ、あれ?随分と小さかった
が……………肉じゃないよな?」
「何だろうな?……………あ!近くで様子
を窺っていた男が"華蝶"に向かってい
ったぞ。あいつは確か、迷宮をクリアで
きなくて、何年も燻っていたホアンじゃ
ないか。あ~あ。どうなっても知らない
ぞ」
「しつこく絡んでるな。それに対してあ
いつら、ずっと無視して受付嬢と会話し
てる。凄い度胸だ。……………あ、ついに
我慢できずホアンが手を出した」
「……………で、当然返り討ちに遭うと。
馬鹿だな、アイツ。触らぬ神になんとや
ら。やっぱり、直接関わらず、外から眺
めているのが一番だぜ」
「だな」
その後、ギルドマスター室に通されたア
ゲハ達。その際、先程の件があってか絡
んでいく冒険者は1人としていなかっ
た。
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