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第13章 魔族領
第263話 魔法王国レムロス
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「時間だ。壇上へ上がれ」
「うん。ありがとう………………はぁ」
俯いていた顔を上げ、ため息を吐きなが
ら階段へと足を伸ばす男がそこにはい
た。時刻は昼に差し掛かる少し手前。男
がいる場所は大勢の野次馬達で溢れ返っ
ていた。そんな様子を気にも留めず。階
段を一歩ずつ踏み締めるようにして、男
は上へと上がっていく。階段から発する
木の軋む音。それをBGMにしながら、
男は今日までの日々が頭の中を駆け巡っ
ていくのを感じていた。それが男にとっ
て良い思い出であったかどうかはこの
際、どうでも良かった。なにせ自身の今
後を思えば、男の軌跡など無意味なもの
となってしまう可能性があったからだ。
「すぅ~~~はぁ~~~」
壇上へと上がった男は一度周囲を見渡し
てから、目を瞑って深く呼吸をした。そ
の際、一枚の羽根が乗った深緑色の帽子
が軽く揺れる。男はそれが落ちてしまわ
ないよう手で軽く抑えた後、目を開いて
真っ直ぐと前を見ながら、言葉を発し
た。
「本日はお忙しい中、お集まり頂きまし
て誠にありがとうございます。僕の名前
はハーメルン・ルイス。冒険者をしてい
る者です」
魔法王国レムロス。そこは数々の有力者
達が生まれ育った国として有名な場所だ
った。そんな国の中心部である"グリム
広場"。男は今、そこに急遽用意された
特設台に登り、これからとある懺悔を行
おうとしていた。ちなみに男が罪を告白
する場所としてこの国を選んだ理由だ
が、それは男の生まれ故郷がレムロスだ
ったからである。
「たった今から、僕はこの場所で現在犯
している罪を告白させて頂きます。そし
て、その後、贖罪の方法をお手数ではご
ざいますが皆さんに決めて頂きたいと思
っています。ちなみにこの発言を聞いて
不信感を持たれた方はご安心下さい。そ
こで出された裁定に対して僕は一切逆ら
うことなく、唯々諾諾として従いますの
で…………たとえそれが命を以って償え
ということであっても」
男のこの発言に周囲がザワザワとしだし
だ。ハーメルンといえば"笛吹き"とい
う異名を持つ誰もが知るSSランクの冒
険者だ。そんな男が何故そういう態度で
いるのか、はたまたそこまでさせる何か
があるのか……………野次馬達は話の続き
が気になって仕方がなかった。
「まず最初に僕の話が本気であることを
証明する為にこれだけは宣言しておきま
す……………裁定がどういうものであれ、
僕は責任を取って冒険者を引退するつも
りです。なので贖罪の方法は"冒険者の
引退"以外でお願い致します」
その瞬間、広場が驚きの声で埋め尽くさ
れた。
――――――――――――――――――
「はい、次の方どうぞ」
「すまん、団体での入国で頼む」
ハーメルンが壇上へと上がる10分前。
レムロスの門前は長蛇の列だった。皆、
入国審査を待っており、普段はここまで
並ぶことは稀なのだが、その日はどうい
う訳か列が長かった。というのも皆、あ
る目的があって入国を果たそうとしてい
たのだ。
「お、これまた沢山だね~やっぱり、君
達も例のアレを見に来たのかい?」
「ま、そんなところだ」
「いや、私も驚いたよ。まさか、彼まで
もがレムロスの出身者だったなんてね。
本当、ここ出身の有名人は多いよ
ね……………あ、悪いんだけど身分証明書
と一応姿の確認もしたいから、被ってい
るフードを外してもらってもいいか
な?」
「ああ」
「あ、はいはい。ええと……………お兄さ
ん達、冒険者なんだね……………って、え
えっ!?シ、シンヤ・モリタニって、ま
さか、あの!?それにそこにいる人達も
皆、有名な冒険者達じゃないか!?」
門番は提示されたギルドカードとフード
を取ったシンヤ達の姿を交互に見なが
ら、驚きで身体が椅子から3cmほど浮
き上がっていた。そんな様子を無表情で
見つめながら、シンヤは口を開いた。
「悪いんだが、早くしてもらってもいい
か?あまり長居すると目立ってしょうが
ない」
その言葉を裏付けるようにシンヤ達の周
りではザワめきが徐々に大きくなってき
ていた。それを知った門番は慌てて、ギ
ルドカードを返して、こう言った。
「し、失礼致しました!ま、魔法王国レ
ムロスへようこそ!!」
「うん。ありがとう………………はぁ」
俯いていた顔を上げ、ため息を吐きなが
ら階段へと足を伸ばす男がそこにはい
た。時刻は昼に差し掛かる少し手前。男
がいる場所は大勢の野次馬達で溢れ返っ
ていた。そんな様子を気にも留めず。階
段を一歩ずつ踏み締めるようにして、男
は上へと上がっていく。階段から発する
木の軋む音。それをBGMにしながら、
男は今日までの日々が頭の中を駆け巡っ
ていくのを感じていた。それが男にとっ
て良い思い出であったかどうかはこの
際、どうでも良かった。なにせ自身の今
後を思えば、男の軌跡など無意味なもの
となってしまう可能性があったからだ。
「すぅ~~~はぁ~~~」
壇上へと上がった男は一度周囲を見渡し
てから、目を瞑って深く呼吸をした。そ
の際、一枚の羽根が乗った深緑色の帽子
が軽く揺れる。男はそれが落ちてしまわ
ないよう手で軽く抑えた後、目を開いて
真っ直ぐと前を見ながら、言葉を発し
た。
「本日はお忙しい中、お集まり頂きまし
て誠にありがとうございます。僕の名前
はハーメルン・ルイス。冒険者をしてい
る者です」
魔法王国レムロス。そこは数々の有力者
達が生まれ育った国として有名な場所だ
った。そんな国の中心部である"グリム
広場"。男は今、そこに急遽用意された
特設台に登り、これからとある懺悔を行
おうとしていた。ちなみに男が罪を告白
する場所としてこの国を選んだ理由だ
が、それは男の生まれ故郷がレムロスだ
ったからである。
「たった今から、僕はこの場所で現在犯
している罪を告白させて頂きます。そし
て、その後、贖罪の方法をお手数ではご
ざいますが皆さんに決めて頂きたいと思
っています。ちなみにこの発言を聞いて
不信感を持たれた方はご安心下さい。そ
こで出された裁定に対して僕は一切逆ら
うことなく、唯々諾諾として従いますの
で…………たとえそれが命を以って償え
ということであっても」
男のこの発言に周囲がザワザワとしだし
だ。ハーメルンといえば"笛吹き"とい
う異名を持つ誰もが知るSSランクの冒
険者だ。そんな男が何故そういう態度で
いるのか、はたまたそこまでさせる何か
があるのか……………野次馬達は話の続き
が気になって仕方がなかった。
「まず最初に僕の話が本気であることを
証明する為にこれだけは宣言しておきま
す……………裁定がどういうものであれ、
僕は責任を取って冒険者を引退するつも
りです。なので贖罪の方法は"冒険者の
引退"以外でお願い致します」
その瞬間、広場が驚きの声で埋め尽くさ
れた。
――――――――――――――――――
「はい、次の方どうぞ」
「すまん、団体での入国で頼む」
ハーメルンが壇上へと上がる10分前。
レムロスの門前は長蛇の列だった。皆、
入国審査を待っており、普段はここまで
並ぶことは稀なのだが、その日はどうい
う訳か列が長かった。というのも皆、あ
る目的があって入国を果たそうとしてい
たのだ。
「お、これまた沢山だね~やっぱり、君
達も例のアレを見に来たのかい?」
「ま、そんなところだ」
「いや、私も驚いたよ。まさか、彼まで
もがレムロスの出身者だったなんてね。
本当、ここ出身の有名人は多いよ
ね……………あ、悪いんだけど身分証明書
と一応姿の確認もしたいから、被ってい
るフードを外してもらってもいいか
な?」
「ああ」
「あ、はいはい。ええと……………お兄さ
ん達、冒険者なんだね……………って、え
えっ!?シ、シンヤ・モリタニって、ま
さか、あの!?それにそこにいる人達も
皆、有名な冒険者達じゃないか!?」
門番は提示されたギルドカードとフード
を取ったシンヤ達の姿を交互に見なが
ら、驚きで身体が椅子から3cmほど浮
き上がっていた。そんな様子を無表情で
見つめながら、シンヤは口を開いた。
「悪いんだが、早くしてもらってもいい
か?あまり長居すると目立ってしょうが
ない」
その言葉を裏付けるようにシンヤ達の周
りではザワめきが徐々に大きくなってき
ていた。それを知った門番は慌てて、ギ
ルドカードを返して、こう言った。
「し、失礼致しました!ま、魔法王国レ
ムロスへようこそ!!」
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