模倣少女は今日も唄う。

ハル

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6曲目 New me!

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次の週末。
土曜日のうちにリクエスト曲を憶え、居間でお茶を飲んでいる美琴。
琴音も家事が一段落し、一緒にお茶を飲む。
「美琴、最近学校はどうだい?」
「うん、友達が増えて楽しいよ!」
「へえ、どんな子だい?」
「蓮くんと大輝くんって言う男の子だよ!蓮くんはとっても優しくて、大輝くんは面白い人だよ!」
「へえ、男友達かい。で、どっちが好きなの?」
「うーん、好きって気持ちはよくわかんないけど、結婚するなら蓮くんみたいな人がいいなぁ。」
「それって好きってことなんじゃないの?」
「え、そうなの!?」
「じゃあ何でその蓮と結婚したいのさ?」
「うーん・・・優しいし、かっこいいし、物知りだし・・・私の歌をずっと隣で聴くよって言ってくれたから!」
「もうそれプロポーズじゃん。」
「え、そうなの!?プロポーズ・・・」
顔を赤くする美琴。
「おや、顔赤くしちゃって。まあやっと美琴も男の子に興味を持ってくれて嬉しいよ。今度連れてきな!アタイが品定めしてやんよ。」

「それはそれは・・・是非ワシも品定めしなきゃならないなァァァァァ!!」

いつの間にか後ろにいた龍真。
「アンタ、いつの間に・・・」
「ワシの美琴ちゃんを誑かそうとする輩にはワシの究極奥義をお見舞いしてやらんとなぁぁぁ!!」
「はぁぁ・・・アンタ、そろそろ子離れしなよ。美琴だって彼氏の1人や2人作ったっておかしくない歳なんだよ。」
「幾つになっても美琴ちゃんに彼氏などありえない!!美琴ちゃんは一生、ワシと一緒にいるんだよぉぉぉ!!」
「アンタだってアタイを嫁にしたじゃないか。親の反対を押しきって。」
「ワシはいいんだよ!!でも美琴ちゃんは駄目なの!!美琴ちゃんもワシと一緒にいたいもんなぁ?」
「うん。」
「ほら!」
「でも、蓮くんとも一緒にいたいよ?家族のことも大好きだけど、蓮くんも大好きだよ?」
「蓮、ぶっころぉぉぉぉぉす!!!」
「いい加減にしやがれぇぇぇぇ!!!」
「ぐはぁぁぁぁ!!!」
琴音に鳩尾を思いっきり蹴られ烈しく吹っ飛ぶ龍真。
「美琴、好きな男は手放すんじゃないよ。どんな手を使っても手に入れな!」
「うん。でも、私は本当に蓮くんのこと好きなのかなあ?」
「どうだろうね。まあ一緒にいたいって気持ちがあるならそうなんじゃないの?その蓮って奴、どうやって知り合ったんだい?」
「蓮くんは椿ちゃんの知り合いなんだよ。パーティーでよく会うって言ってた!」
「パーティー?」
「多分、お金持ちが集まるパーティー!蓮くんの家は九条グループって名前のお金持ちなんだって!」
「九条グループだって!?かなりの金持ちじゃないか!!絶対に結婚するんだよ!!いいね!?」
「え、うん。わかった。」
「美琴が玉の輿かぁ・・・親のアタイも贅沢出来るかもねえ・・・♪アタイもセレブの仲間入りだな!!」

それから蓮の事を二人で話していると美琴のスマホがなる。

♪~

「あ、椿ちゃんだ!どうしたんだろ?もしもーし!」
〈もしもし、美琴?歌はもう憶えたにゃ?〉
「うん、憶えたよ!今はママと蓮くんのこと話してるよ!」
〈じゃあ明日は暇だにゃ?〉
「うん、明日は特に用事ないよ?」
〈じゃあお出かけするにゃ!真琴さんも連れてくるといいにゃ!〉
「お兄ちゃんも?」
〈そうにゃ!明日、朝迎えに行くにゃ!〉
「わかったぁ!」
〈じゃあまた明日にゃ!〉
プツッ・・・

「椿ちゃん何だって?」
「明日お出かけするから朝迎えに来るって!なんかお兄ちゃんも連れてきてって。」
「真琴も?何だろね?まさか真琴にプロポーズでもするじゃ・・・!」
「ええ!?」
「うちの子に胡桃坂カンパニーと九条グループ・・・逆玉に玉の輿!!なんて親孝行な子供たちなんだ!頑張って育てた甲斐があるねぇ!!」
上機嫌な琴音。
「美琴、椿ちゃんと真琴を何としてでもくっつけるんだよ!」
「くっつければいいの?」
「ああ!私の為に頑張るんだよ!!」
「え?ママの為に?うん、頑張る。」

そして次の日・・・

「美琴ー!きたにゃー!」
「おう、椿か。今日は何処にいくんだ?俺も行かなきゃいけねえのか?」
出迎えた真琴が椿に問いかける。

「今日は洋服を買いに行くにゃ!あと美容室も!」
「なに!?つまり、美琴が更に可愛くなるってことか!?」
「そうにゃ!前に行くって約束したにゃ!」
「そうだったな!じゃあ美琴呼んでくるぜ!」
真琴は美琴の部屋に呼びに行く。
その間に琴音が椿の下にやってくる。
「椿ちゃん!真琴の嫁になる決心はついたかい?」
「美琴ママ!まだにゃ!」
「なんだい、早くしないと他の女に取られちまうよ?」
「美琴離れしないうちは大丈夫にゃ。」
「美琴離れといえば、蓮って男はどうなんだい?この前、プロポーズされたみたいなんだけど。」
「プロポーズ!?」
「ああ、隣でずっと歌を聴くとか何とか・・・」
「あれはプロポーズだったのかにゃ・・・」
「どう聞いたってプロポーズだろ!九条グループの跡取りなんだろ?玉の輿じゃないか!!」
「うーん・・・」
「なんだい?悪いやつなのかい?」
「違うにゃ。あの二人がくっつくには一つ問題を解決しなきゃならないにゃ。」
「問題?」
「蓮には許婚がいるにゃ。」
「なにぃぃ!?許婚がいるのに美琴にプロポーズしたのかい!?とんだスケコマシじゃないか!!」
「違うにゃ!親同士が勝手に決めたのにゃ!蓮にはその気はないにゃ!ただ、相手は乗り気で・・・」
「成程。確かにそれは問題だね・・・」
「仮に二人が付き合えても美琴パパと真琴さんがなんて言うか・・・」
「それは大丈夫。アタイが制圧するから!」
「じゃあ問題ないにゃ!」

そして、美琴と真琴が玄関に戻って来る。

「椿ちゃんおまたせー!」
「おはようにゃ!って、やっぱりジャージでいくのにゃ・・・」
「うん、これしかないし!」
「美琴ママ・・・何で服を買ってあげないにゃ・・・」
「え?アタイだって若い頃はジャージだったよ?」
「これは俺が気に入ってたジャージだ!かっこいいだろ?」
「もう時代遅れにゃ。」
「なっ!?ジャージに時代遅れなんかないだろ!?」
「そもそも今時の女子高生が服がジャージしかないのが問題にゃ。美琴はママに似て美人だからもっと可愛い服着たほうがいいのにゃ。」
「そんな、私は美人じゃ・・・」
「流石椿ちゃん!!わかってるじゃないか!!そうなんだよ、私に似て美人なんだよ!!流石は将来のうちの嫁だね!!」
美人と言われて上機嫌な琴音。
「だから俺は嫁なんて・・・」
「煩い!!アタイが決めたことに文句あんのか?」
「あるに決まってんだろ!!何でもかんでも勝手に決めやがって!」
「でも、私も椿ちゃんとお兄ちゃんが結婚してくれたら嬉しいよ?」
「うう・・・美琴まで!!美琴はお兄ちゃんが結婚したら寂しくないのか!?」
「全然。寧ろ嬉しいけど?椿ちゃんがお姉ちゃんになったら楽しいし!」
「と言うことだ!まさか可愛い妹の願いも聞けないのかい?」
「うう・・・つ、椿!何とか言ってやれよ!」
「まあ、結婚するかはわからないけど、変な金持ちと結婚して窮屈に暮らすくらいならここに嫁いだほうが楽しそうにゃ。」
「そうだろ!?よし!本人の了承も得たし、晴れてアンタ達は婚約者だよ!!」
「俺の了承はいらねえのかよ!!」
「あ?いるわけないだろ・・・?散々迷惑かけてきた癖に自分の意見を主張してんじゃねえよ・・・」
「くっ・・・何も言い返せねえ・・・」
「そろそろ行かないと遅くなるにゃ。」
「そうだよ、行ってきな。美琴、2人を頼んだよ!」
「うん!」

そして、3人は車に乗り込む。

「あ、影野さん!おはようございます!今日は宜しくお願いします!」
「おはようございます、美琴様。」
「あ、この前おふくろに楯突いたおばちゃんか。」
「お久しぶりです、真琴様。」
「で、何処行くんだ?」
「先ずは原宿にでも行こうか!」(影野がいるから《にゃ》封印中)
「何しに行くの?」
「勿論、服を買いに行くよ!」
「ええ!?私、そんなにお金持ってないよ!?」
「大丈夫だ、美琴。俺が買ってやるって約束しただろ?」
「え!?いいの!?」
「当たり前だろ!お兄ちゃんに任せろ!」
「わぁ!お兄ちゃん大好き!!」
「そうか?いっぱい買って可愛くなろうな!」
「うん!可愛い服がいいなあ!」
「可愛い服・・・じゃああそこかな?」

そして、1時間以上かけて原宿に到着する。

「お嬢様、私はここの駐車場で待機していますので。」
「うん、戻るまで自由にしててね!じゃあ行こうか!」
「うん!影野さん、行ってきます!」
「はい、楽しんで来てくださいね。」
「はい!」

そして3人は竹下通りを歩く。

「わあ!人がいっぱいだねえ!」
「くっ、歩きにきぃ・・・全員ぶっ飛ばしてやろうかな・・・」
「絶対に駄目にゃ!もうすぐ着くから我慢にゃ!」

竹下通りを歩いていると色んな人が美琴と真琴をジロジロとみてはヒソヒソと話す。

「ねえあの子、ジャージなんだけど・・・」
「マジウケる!」
「原宿にジャージって・・・」
「あの人、凄いイケメンじゃない!?」
「凄いかっこいい!話しかけてみる?」

(この2人、凄い目立ってるにゃ。本人たちは全然聞いてないけど・・・)

竹下通りを少し歩き、目的のお店に辿り着く。

「ここにゃ!ここなら可愛い服も売ってるし、リーズナブルにゃ!沢山買うなら少しでも安いほうがいいにゃ!」
(でも流石に可愛すぎだから美琴も恥ずかしがって着ないだろうけど・・・)
3人は店の中に入ってゆく。

「いらっしゃいませー!」
中にいた従業員は皆、ロリータファッションを着ていた。
「わあ!可愛い!お人形さんみたい!!」
「この店はロリータファッションのお店だにゃ。可愛い服が欲しいって言ったから連れてきたけど、流石に・・・」
「私、これ着たい!!」
「え!?ホントかにゃ!?」
「だって凄い可愛いんだもん!前に電車で見たことあって、いいなぁって思ったんだ!」
「そ、そうなのにゃ・・・」
(美琴にまさかそんな憧れがあったなんて意外だにゃ・・・ずっとジャージだったからかな・・・)
「お兄ちゃん、どうかなあ?」
「・・・いい。」
「え?」
「凄くいいぞ!美琴!おい、そこのねーちゃん!この子に似合うやつを持ってきてくれ!」
「は、はい!」(わあ!超イケメン!!妹さんもよく見ると可愛いし!よおし、ロリータ歴10年の私が妹さんをめっちゃ可愛くしてあげるんだから!!)

店員は直ぐに美琴に合いそうな服を持ってくる。
「こちらなんてどうでしょう!!」
店員が持ってきたのは黒ロリと言われる黒を基調としたロリータファッション。
「早速着てみますか!?」
「はい!着たいです!!」
美琴は店員に連れられ試着室へと案内される。

5分後・・・

「どうかな?」
黒のロリータファッションを身にまとった美琴が2人に問いかける。
「ぶっはぁ!!な、なんて可愛いんだ!!ネーチャンやるじゃねえか!これ買うぞ!!」
「有難うございます!!お客様、他にもお嬢様が似合いそうなものが沢山あるのですがいかがなさいましょう?アクセサリーや靴など小物類も取り入れると更に可愛くなられると思うのですが!」
「まじか!!全部持ってこぉぉぉい!!」
「かしこまりましたぁぁ!!」(このお客様チョロい!!今日で今月のノルマ達成してみせるわ!!)
その後、次から次へと服を持ってくる店員。
それを嬉しそうに着る美琴。
「わあ!これも可愛い!お兄ちゃん!これも欲しい!」
「ああ!買ってやる!!美琴が欲しいものは何でも買ってやるぞ!!」
「わあい!!お兄ちゃん大好き!!」
「ネーチャン!次だァァ!!美琴が喜ぶもの、全部持ってこぉぉぉい!!」
「アイアイサー!!」
(美琴も真琴さん相手だと容赦ないにゃ。私にはいつも遠慮するのに・・・。まあ、真琴さんはこの前大会で優勝した賞金もあるから大丈夫かにゃ・・・店員も次から次へと売れるからウハウハにゃ。真琴さんは完全にカモにされてるにゃ・・・。他にもお店回ろうと思ったけど、ここだけで済みそうにゃ・・・。) 

盛り上がる3人を少し遠くで見守る椿だった・・・。

買い物も終わり・・・

「有難うございました~!!」
(今日は最高の日だったわ。ノルマも大幅に達成したし、イケメンとも交流出来たし!大満足だわ!ボーナスも楽しみ!!)
むふーっと満足気な店員。

「お兄ちゃん!いっぱい買ってくれてありがとう!毎日着るね!」
「おう!毎日着てお兄ちゃんに見せてくれ!また欲しくなったら言うんだぞ?お兄ちゃん、大会で優勝しまくっていっぱい賞金持ってくるからな!」
「うん!ありがとうお兄ちゃん!!」
着替えるたびにスマホで写真を撮った真琴も満足気なご様子。
美琴は最後に試着した甘ロリのロリータ服をそのまま着て満足気だ。
「なかなか似合ってるにゃ。」
「そう?えへへ。」
「でも、そのままでは駄目にゃ!」
「へ?」
「美琴、次は美容室に行くにゃ!もっと可愛くなるにゃ!」
「わかった!!」
「椿・・・わかってるな?美琴の美髪を男なんかに触らすんじゃねーぞ?女がいる所にしろ。」
「わかってるにゃ。さっき調べて女の美容師を指名して予約したにゃ。」
「流石は椿。わかってるじゃねえか。美琴!次行くぞ!」
「うん!」
3人は近場の美容室へと入る。

「いらっしゃいませ!どのようにしますかぁ?」
「この子はロリータファッションが好きだからそれに似合う髪型にしてほしいにゃ!」
「わかりましたぁ!お客様は綺麗な髪してますので長さを保って、前髪はバッサリいっちゃいましょう!」
「よ、宜しくお願いします!」
少し緊張気味の美琴。
髪はいつも琴音が切っていた為、美容室に入るのは初めてで緊張している。

「色はどうします?」
「い、色ですか?え、どうしたらいいの?」
「いっそのこと、薄いピンクにしてくれにゃ。」
「ええ!?」
「その方が服に合ってるにゃ。」
「そうなの?じゃあそれで!」
「了解しました~!」
「なあ、これって時間かかるのか?」
「1時間以上かかるにゃ。」
「じゃあ俺は少し寝るわ。」
そう言うと真琴は近くのソファに横たわり、寝てしまった。
「まるで自宅のようだにゃ・・・。まあいいにゃ。ついでに私も色入れてもらうにゃ。そろそろ落ちてきたし!」

二人がやってもらってる間、真琴は昼寝。
凄いイケメンが寝てると話題になり、その時間、美容室は満員となった。

2時間後・・・

「お兄ちゃん!起きて!終わったよ!」
「ん?終わったのか・・・って、ぶはっ!!」
美琴の変わりように驚く真琴。
「ど、どうかな・・・?」
「び、びっくりした・・・天使が迎えに来たのかと思ったぜ・・・!凄い可愛くなったじゃねえか!」
「そうかな・・・えへへ。」
「よくやった!ネーチャン!やっぱりプロはちげえな!うちのババアがやるのとはレベルが違うな!!」
「まあ、美琴ママは適当だからにゃ・・・」
「なんて可愛いんだ!!そうだ!写真!写真を撮って永久保存しないと!!」

パシャパシャパシャパシャ!!

「お兄ちゃん、撮りすぎだよー。そろそろお店出ないと迷惑だから行こ!」
「うう、もっと撮りたかったのに・・・」
渋々店を出る3人。(美琴のヘアカット&カラー代(約2万円)は勿論真琴が払った。)

「もうお昼も過ぎたしご飯食べるにゃ!どうする?ケーキバイキングでも行くかにゃ?」
「ケーキ・・・バイキング・・・?」
それを聞いた真琴が不思議そうな顔をする。
「あ、真琴さん甘いの嫌いかにゃ?」
「お兄ちゃんは凄い甘党だから大丈夫だよ!」
「そうなのかにゃ!?」
「うん!お酒も飲まないし、タバコも吸わないけど毎日甘い物は欠かせないよ!」
「ええ!?どっちもやってそうだにゃ!」
「ああ?タバコの副流煙で美琴に害があったらどうすんだよ!酒のんだら美琴にもしものことがあったら単車に乗れねえだろ!」
「凄い健全にゃ。暴走族総長だったとは思えないにゃ。」
「で、ケーキバイキングってなんだ?」
「知らないのかにゃ!?ケーキ食べ放題のお店だにゃ!いくら食べても決められたお金払うだけでいいのにゃ!」
「ま、まじかよ・・・そんな天国みたいな店があんのか!?」
「ケーキだけじゃなくてパスタとかカレーもあるにゃ!」
「おお!すげえな!そこに行こう!美琴もそこでいいか?」
「うん!お腹すいたからそこ行きたい!」
「良し、決まりにゃ!!」

3人はケーキバイキングのお店へと向かう。

「ちょうど入れそうだにゃ!」
「あ、そう言えば影野さんはいいの?」
「大丈夫にゃ!まめにメールしてるにゃ!今頃1人で美味しいものでも食べてるにゃ!影野の趣味は行く先々で美味しいものを探すことにゃ。」
「そうなんだ!じゃあ大丈夫だね!」

3人は空いてる席に座る。
「おい、すげえな・・・ケーキがたくさんあるぞ・・・アイスまで・・・本当に食べ放題なのか・・・?」
「勿論だにゃ!」
「うおお!!じゃあ早速食べようぜ!」
「まだ店員が来てないにゃ!」
「うるせぇ!早くしないとなくなっちまうだろ!どうすりゃいいんだ?」
「あそこにあるお皿に食べれる量だけ持ってくるにゃ!おかわりは自由だから一気に持ってこなくても大丈夫にゃ!」
「わかった!!」
そう言うと店員が来る前に言ってしまう真琴。
「ああ、行っちゃったにゃ・・・」
「お兄ちゃん嬉しそう!」

その後店員にどのコースにするかを伝え2人も取りにいく。

「わあ!色んなのがあるから迷っちゃうね!」
「食べ放題だから全部食べれるにゃ!端から一つづつ持っていくといいにゃ!」
「そうだね!あ、パスタとカレーも食べたいな!サラダもいいねえ!」
そう言って次々とお皿に盛る美琴。
「え、そんなに食べれるのかにゃ!?」
「うん、家ではこのくらい普通に食べるよ?」
「そんなに食べて太らないのかにゃ!?」
「そう言えば太らないねえ?気にしたこともなかったなあ。」
「くっ、羨ましい・・・栄養がみんなおっぱいにいってるにゃ・・・美琴も美琴ママも巨乳なのはそのせいか・・・羨ましい・・・」

席に戻ると美琴の2倍は盛ってあるだろうお皿が3つほどある。

「ま、真琴さん!そんなに食えるのかにゃ!?」
「このくらい楽勝だろ?俺は普段この倍以上食うぞ?」
「如月家の胃袋はどうなってるのにゃ・・・」
その後宣言通り倍以上食べる真琴。
美琴もかなりの量を食べていた。
それを見て唖然とする椿だった。


「ふぅー、食ったぜ!あんだけ食べて2000円もしないなんてやばくね!?店潰れるんじゃねえの?」
「真琴さんが毎日朝昼晩来たら潰れそうだにゃ。」
「美味しかったね~!お兄ちゃん、また来ようね!」
「そうだな!」
(お店の人はもう来るなって思ってんだろうな・・・)

お店を出て、竹下通りを歩くとまたもジロジロと見られる。
しかし、朝とは違う声が聞こえる。
「ねえ、あの子、超可愛くない!?」
「お人形さんみたい!」
「あ、さっき美容室で寝てたイケメン!」
「起きててもイケメンだわ~♡」

真琴は変わらないが、美琴への視線が明らかに変わった。
二人は話していて気付いていなかったが、椿はそれを聞いて嬉しかった。

「じゃあそろそろ帰るにゃ!余り遅くなると渋滞に巻き込まれちゃうにゃ!」
「そうだな。おふくろも飯作って待ってるだろうしな!」
「さっき食べたのにまだ食うにゃ!?」
「あと3時間もすれば腹へんだろ?」
「ママは折角作ったご飯食べないと怒るしね!」
「とんでもない胃袋だにゃ・・・」

車に戻ろうとすると・・・

「すいません!!」
1人の男が美琴に声をかけてくる。

「え!?なんですか!?」
「あの、私・・・」
「てめえ、ナンパか・・・?誰の妹ナンパしてると思ってんだ?殺すぞ?」
「ひぃぃ!!ナンパじゃありません!!」
「じゃあなんだ!!」
「わ、私はこういうものです!!」
男が名刺を真琴に渡す。
「あ?月刊ロリータ☆マニア、月見野隆史・・・?なんだ?」
「ロリータファッション誌にゃ。」
「そうです!ロリマニです!」
「で、そのロリータが何の用だ?ナンパか?」
「だからナンパじゃないですよ!うちの雑誌の特集で、原宿でロリータファッションを着ている女の子を紹介するコーナーがありまして、是非そちらのお嬢さんを載せたいと思いまして声をかけたんです!」
「ええ!?ホントかにゃ!?」
「なんだ?凄いことなのか?」
「美琴が雑誌に載るのにゃ!」
「ええ!?私が!?無理無理無理!」
「そこを何とか!!私はこの仕事をして5年になりますが、貴女は今まで会った人達の中でもトップクラスの可愛さなんです!来月号の表紙にしてもいいくらいですよ!!」
「表紙!?凄いにゃ!!」
「表紙!?絶対に無理!!」
「そこを何とかお願いします!!」
引き下がらない月見野。
すると・・・
「おい、テメエ・・・」
「ひぃ!!」
(執拗くしすぎた!!やばい!殺される!!)
「その写真は貰えるのか?」
「へ!?ええ、ご希望でしたら現像が済み次第自宅に送ることも可能ですが・・・」
「美琴!撮って貰え!」
「ええ!?」
「今日美琴は生まれ変わって新たな美琴になったんだ。その記念に撮って貰ったほうがいい。美琴もそろそろ人前で緊張しちまう所を直さないと社会に出て困るぞ?」
「うう・・・そうだけど・・・」
(真琴さんが珍しく真面目なこと言ってるにゃ・・・)
「おっさん!頼むわ!可愛く撮ってやってくれ!」
「あ、ありがとうございます!!ではこちらに!専属のカメラマンの指示に従ってポーズをとってください!」
「は、はい!分かりました!」
「緊張しなくても大丈夫ですよ!寧ろ堂々としてください!その方がいい写真が撮れますよ!」
(皆見てて緊張する・・・でもお兄ちゃんが言った通り、緊張するのを直さないと大人になって困っちゃうよね・・・よし、堂々と!!)
堂々とした態度を取り始めた美琴の表情はとても美しく見え、周りの人達も魅了される。
「いいですねー!次は頬に手を・・・そうです!美しい!!これ表紙いけますよ!!」

30分程で撮影は終わり・・・

「いやー、とても良いものが撮れましたよ!」
「見せてみろ。」
「あ、はい!これです!」
月見野が真琴にデジカメの画像を見せる。
「こ、これは・・・!!」
「ど、どうでしょう・・・」
「凄え!!美琴の美しさが何倍も引き出されているじゃねえか!!流石はプロだな!俺が撮るのとは全然違え!!この写真、全部送れ!いいな?じゃなきゃ雑誌に載させねえからな!!」
「わ、分かりました!!」
(やっぱりそれが狙いだったにゃ・・・いいこと言ったと思ったら・・・。)

そして3人は月見野と別れ、車に戻る。

「うう、やっぱり恥ずかしかった・・・」
「何言ってるにゃ。堂々として良かったにゃ!」
「そうだぞ?とても綺麗だったぜ!」
「あれはお兄ちゃんが社会に出たら困るって言ったから頑張ったけど、終わったらやっぱり恥ずかしくて・・・」
「あれでいいのにゃ!一歩前進にゃ!」
「そうだ!あ~写真楽しみだな!」
上機嫌な真琴。
そして3人は車に辿り着く。
「おかえりなさいませ、お嬢様・・・って、美琴様!?」
美琴の変わり果てた姿を見て驚く影野。
「どうですか・・・?」
「かなりお変わられになられましたが、とても綺麗ですよ。」
「だろ?わかってんじゃねーか、おばさん!じゃあ帰ろうぜ!あ、帰りにコンビニ寄ってくれよ、スイーツ買わなきゃならねえからな!」
「あんなに食べたのにまだ食べる気!?」(にゃ封印)
「当たり前だろ?食事のデザートは必須だ!」
「甘いもの好きにも程があるよ・・・」

そして、帰り道・・・

「美琴!明日カラオケ行こう!憶えたんでしょ?」
「うん!いいよ!」
「明日も盛り上がっていこー!」
「おー!」

今思えば、このカラオケから始まったのかもしれない。

次の日・・・

「蓮くん、おはよう!」
「え!?美琴!?どうしたの!?髪が・・・」
「昨日、初めて美容室に行ったんだよ!どうかな・・・?」
「う、うん、似合ってるよ。」
「ホントに!?良かった!あ、洋服も買ったんだよ!」
「洋服?どんなやつ?」
「可愛いやつ!」
「可愛いやつ・・・?」
「ロリータ服にゃ。」
「ロリータ服!?美琴が!?」
「あ、椿ちゃん、おはよう!」
「おはようにゃ!」
「え!?美琴、ロリータ服買ったのか!?」
「うん!前から着たかったの!」
「これがロリータ服を着た美琴にゃ。」
椿は蓮に昨日隠し撮りした美琴の写真を見せる。
「え!?いつの間に!?」
「撮影してるときにこっそり取ったにゃ。どう?」
「か、可愛い・・・」 
「でしょ?洋服可愛いの!」
(いや、美琴が可愛いと言ったんだけど・・・)
そこに大輝も登校してくる。
「おはよーって・・・美琴っち!?どうしたんだ!?その髪!!」
「昨日美容室に行ったんだよ!」
「まじかよ、似合ってんじゃん!」
「ホントに?ありがとう!」
「いいなー、俺も染めようかな?」
「ヤンキーにしか見えなくなるにゃ。」
「えー、そうかなー?かっこよくね?」
「染めて見ないとわからないにゃ。それより、今日もカラオケ行くにゃ!」
「え!?今日はちょっと駄目だ・・・」
「え!?蓮くん来れないの!?」
「ごめんね、今日は家のことで色々とやらなきゃならないことがあって・・・」
「じゃあ3人でいこうぜ!」
(やったぜ!両手に花だぜ!)
大輝が内心喜んでいると・・・

「早乙女くん、ちょっと来て!」
百瀬が大輝を呼び出す。
「なんすか?百センセー。」
「早乙女くん、この前のテストで赤点だったので今日は補習よ。放課後教室に残ってね。」
「ええええ!!今日じゃなきゃ駄目!?」
「駄目です。逃げたら成績1にしますからね!」
「まじかよ・・・ごめん、俺も行けない・・・」
「ええ!?じゃあ明日にする?」
「嫌にゃ!今日聞きたいのにゃ!美琴、二人で行くにゃ!」
「そうだね、二人で行ってくるといいよ。行けなくてごめんね、美琴。」
「ううん、家の事ならしょうがないよ!また来週行こうね!」

この後、椿はこの日にカラオケに行ったことを後悔することになった・・・。

続く
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