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海の景色
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「その旅に、僕を加えてくれるのかい」
「あなたは何かと役立ちそうだからね」
飛鳥は僕を利用しようと思っているみたいだった。上等である。だったら、僕も飛鳥を利用すればいいだけのことだ。少しでも、彼女に僕の人生を狂わされたと思っているから。これは細やかな復讐劇でもある。もちろん、飛鳥という少女に興味があるのも事実である。それ以上に翼を探す旅に興味があることも。
「翼とはなんだ?」
僕は直接聞いてみた。
「何か言った?」
ちょうど長いトンネルに差し掛かった頃合いだった。僕の声は聞こえなかったようだ。
「だから、翼とは」
結局、僕の声は響かないようだった。トンネルを抜けるのに10分程度かかった。トンネルを抜けると、左の車窓に海が広がっていた。飛鳥は身を乗り出して、目を輝かせた。数日前に自殺騒動を起こしたとは思えないほどに幼い少女であった。
「久しぶりに見る海、変わってないね」
「この辺りに来たことがるのかい?」
僕は質問した。飛鳥はこくりと頷いた。
「昔は家族みんなでよく来たわ。もう今となっては遠い記憶だけどね」
遠い記憶……たかだか15年程度の人生しか生きていなくても、遠い記憶なのか。なかなかミステリアスだ。翼……その答えを今聞かなくても、この旅のゴールで必ず知ることが出来る。そこまで待ってもいいと思った。
列車と海の距離がだんだん近づいてきた。海……それは心の故郷だった。僕にとって、そして飛鳥にとっても。
「あなたは何かと役立ちそうだからね」
飛鳥は僕を利用しようと思っているみたいだった。上等である。だったら、僕も飛鳥を利用すればいいだけのことだ。少しでも、彼女に僕の人生を狂わされたと思っているから。これは細やかな復讐劇でもある。もちろん、飛鳥という少女に興味があるのも事実である。それ以上に翼を探す旅に興味があることも。
「翼とはなんだ?」
僕は直接聞いてみた。
「何か言った?」
ちょうど長いトンネルに差し掛かった頃合いだった。僕の声は聞こえなかったようだ。
「だから、翼とは」
結局、僕の声は響かないようだった。トンネルを抜けるのに10分程度かかった。トンネルを抜けると、左の車窓に海が広がっていた。飛鳥は身を乗り出して、目を輝かせた。数日前に自殺騒動を起こしたとは思えないほどに幼い少女であった。
「久しぶりに見る海、変わってないね」
「この辺りに来たことがるのかい?」
僕は質問した。飛鳥はこくりと頷いた。
「昔は家族みんなでよく来たわ。もう今となっては遠い記憶だけどね」
遠い記憶……たかだか15年程度の人生しか生きていなくても、遠い記憶なのか。なかなかミステリアスだ。翼……その答えを今聞かなくても、この旅のゴールで必ず知ることが出来る。そこまで待ってもいいと思った。
列車と海の距離がだんだん近づいてきた。海……それは心の故郷だった。僕にとって、そして飛鳥にとっても。
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