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エピローグ
~ クローヴィア視点 ~
結婚して10年がたった。
平和って、本当に良いものよね。
まずは一番懸念していた他国からの侵略戦争や、私の誘拐だ。
これは結果的にはなかった。
聖域結界の要である大水晶を盗みに来る輩はいたが、ネルによる迎撃結界で返り討ちにされた。
また、大水晶に刻まれた魔法陣や構造、製作過程を記した本も出版したので、他国が総力を上げて製作するなり、この国に製作依頼や技術指導を願い出ることで、国同士の諍いにはならなかった。
あと、初期起動時に聖女三人分の神聖力を注がなければいけない仕様は、ネルの天才的なアドバイスによって、大水晶に刻まれていた魔法陣の欠陥の判明とそれを排除することで解決した。それにより、聖女100人の神聖力で起動するようになったのだ。
3と100じゃ、すごい差だが、反発作用の元凶になっていた力増幅形式を失くした弊害といえる。
しかし、一人で三人分の神聖力を溜め込むより簡単だろう。
いくつかの国が成功しているのだから、問題はない。
粛正された貴族はその罪に応じて、国外追放か、幽閉、強制世代交代、爵位剥奪、爵位降格、炭鉱での強制労働など様々だった。
元婚約者のポンコツ男の家、レイザー侯爵家は強制世代交代になっていた。ポンコツ男の余波ね。
問題のポンコツ男は勘当。騎士団も自主退団したと聞いている。
クズ女も男爵家から勘当され、表向きは家を追い出された。
男爵夫妻は陰ながら援助していると聞いていたが、二人が結婚してから三年で男爵が他界。それを追うように男爵婦人も亡くなった。
財産の一部はクズ女に渡ったが、ほとんどは男爵家を引き継いだ従兄弟のものとなったそうだ。
ただ、その従兄弟は賢い人ではなかった。あっという間に貯蓄を使いきり、領民からの激しい反発、領主失格を訴える直訴状が王宮に届き、調査の結果、領地運営に不適切な人物と見なされ爵位剥奪。男爵領は国の管轄となった。
結婚してしばらくしたら、ポンコツ男はクズ女を残して、他国で冒険者になったと噂で聞いた。
もともと剣技は優れていたのだ。貴族としての教養も悪知恵もあるので、足手まといが居なければ、生きていくことは簡単だろう。
クズ女の方は男爵が亡くなってしばらくは、豪勢な暮らしを謳歌していたそうだ。男漁りをしていたらしい。
その後、噂では新しい男に連れられ他国に渡ったとか、金が失くなったからポンコツ男を探しに旅に出たとか、借金取りに奴隷として売られたなど多数の噂が流れたが、真相を知る者は誰もいなかった。
暗い話ばかりでは気が滅入るので、楽しい話に変えよう。
弟のアランドロと婚約者のシシリーが結婚した。彼女が貴族学園を卒業するとすぐにだ。
社交界では紳士然としており、シシリー以外には冷たい態度の弟が、見たことのないくらい嬉しそうな顔をしていた。
こちらまで嬉しくなってしまった。
しかも、結婚してすぐに子宝にも恵まれて羨ましい限りだ。
しかし!
私とネルの間にも、同時期に子供を授かった。
しかも双子の女の子!
アリアとクロエだ。
二人とも天使のように可愛い!!
アリアは金髪で青い瞳。
造形はネルに似ている。
クロエは黒髪で金の瞳。
造形は私に似ている。
世界一可愛い!!
はい、親バカです!
ただ、ネルの過保護には負けると思う。
なんと、二人に超強力な守護結界を張っているのだ。危害を加えようとすると、結界から大量の水が現れ相手を押し流してしまうらしい。もちろん、二人が高いところから落ちたときも水がクッションになるように構成されているらしい。
あと、いつでも二人の位置がわかるように、追跡魔法が常にかかっているそうだ。
軽いストーカーだよ、お父さん!
小さい頃はいいけど、思春期になったら絶対嫌われるから!
ネルは頑固だから『二人の安全の為だ!』と譲らなかった。口論の末、なんと私にも追跡魔法をこっそり着けていることが発覚。
早急に解除させました!!
夫婦でもストーカー行為はダメ、絶対!
そういえば、トーマスも貴族学園を卒業後すぐに結婚した。お相手は、なんと、私の侍女アンナとだ。
アンナは男爵家の四女。
子爵家に降格したブリュッセル家なら嫁ぐことが出来る。
後で聞いた話だが、トーマスとネルは、実はずっと前から知り合いだったそうだ。
『ブリュッセル侯爵家を潰したい同盟』なんて、ふざけてるとしか思えない。
特にトーマス。実家なのに、それでいいのか?
聞くと、トーマスとしては父親もその愛人も兄も排除するには、家を取り潰すしかないと考えていたところで、ネルと知り合い、今回の計画に賛同したそうだ。
裏事情では、アンナと結婚するには爵位が高すぎるから、降格になりたい思惑があったそうだ。
恋は盲目ね。
爵位を落としても叶えたい恋ね~。
「ヴィア」
「へ?」
「もっと集中しないと、失敗するぞ」
はっ!
今はネルと圧縮魔法の実験を行っていた。
パンっ!
はい、魔力操作に失敗して圧縮していた魔法が弾けた。軽く吹っ飛ばされました。
まぁ、ネルが抱き止めてくれたから怪我はないけど、……。
ネルが怒ってる……。
「ごめんなさい……」
「たくっ……。魔法実験中に考え事とは大聖女様は余裕なんだな~」
うわ~……、黒い笑顔……。
軽く嫌味も混ぜ合わせて……。
悪いのは私だし。
「すいませんでした」
素直に謝る。
「で、考えはまとまったか?」
「え?」
「神聖力の備蓄する方法を開示しろって、他国からせっつかれているんだろ。どうするんだ?今回も研究中と逃げるのか?」
そういえば、そんな話があったわね。
忘れてた……。
神聖力三人分を一人の体に貯められる方法。それは他国からしてみれば喉から手が出るほど欲しい情報だ。
研究テーマ1『神聖力と魔力は別物なのか』
『神聖力』=信仰心の力
『魔力』=空気中の魔素を体内に取り込んだ力
『二つの力は別物である』
これが今の常識だ。
しかし、私の研究で明らかになったのは『神聖力』と『魔力』は同じだと言うこと。
例えば私が限界まで回復魔法を使いきってから、火の魔法が使えるか試したが、それは出来なかった。
よって、神聖力の根本は魔力である。
これは推測だが、『聖女』と称される人々は魔力を神聖力に変換して使用できる、何かしらの機能が備わっているのではないか。
それが信仰心(感謝する心)によって、耐久力に差が出てくるのではないかと考えている。
実験に費やした約3年は、神以外にも食べ物、私に関わってくれる全ての人、事柄、何に対しても感謝するように心がけた。その成果として、膨大な魔力を神聖力に変換でき、大魔法『聖域結界』を成功させられたのだ。
ただ、『聖女』『神聖力』については謎が多いのが現状だ。『神聖力に変える機能?』が何なのか、何処にあるのか、私の推測が正しいのか……。
答えは出ていない。
あと『聖女でなくなった者が聖女に戻れるのか』。
私の推測では『戻れない』と考えている。
実験は何も出来ていないが、元聖女で教会の聖職者になった方に話を聞いた事がある。
その方は1日に三回礼拝堂で約一時間祈りを捧げ、食事するときは感謝をしながら食べていると言っていたが、神聖力が戻ることはなかった。
よって、神聖力を一度失えば戻らないと考えられる。
研究テーマ2『魔力切れは何故起こるのか』
魔法を限界まで使うと死んでしまう。
魔素は大気中に存在し、自然と体内に取り込み魔力を回復する。取り込める魔素は生まれつき持った『器』で決まる。
これが常識だ。
しかし、『生まれ持った器』が体内のどこにあるかは解明されていない。
そこで私は推測した。
限界まで魔法を使うと、心臓が痛くなるし、体がだるくなって立っていられない。その事象は『貧血』によくにていると思った。
魔力は『血』の中に溶け込んでいるのではないだろうか。血に溶け込むのなら、細胞一つ一つにも魔力を貯める事が出来るのではないかと考え、魔力操作を応用して細胞一つ一つに微量の魔力を蓄積することに成功したのだ。
ただ、その結果が『デブ』になることだった。
以上が私の研究結果だ。
この結果が世界に広まれば『デブの魔法使い』が常識化、もしくは非人道的に作られる可能性がある。
また、大火力の魔法使いは戦争に重宝されて、世界を混乱に陥れないとは言い切れない。
世界の均衡を崩しかねない研究を発表するわけにはいかないのだ。
「逃げるなんて人聞きが悪いわ。研究したくても、貯められなくなっちゃったんだから、教えることもできないのよ」
嘘です。
「処女じゃなくなったから貯められないって言ってるのに、誰も信じてくれないのよね」
はい、嘘です。
「処女性が関係してるとは、誰も信じられないだろ。私自身、いろんな文献を読んだが、そういった事象は確認されていない」
「神聖力を貯める方法が文献にあるのかしら?未知の方法なのだから、不思議な事象が起こってもおかしくないと思うけど?」
ネルは私の言葉に眉を潜め、ため息をついた。
ネルには申し訳ないが、例え夫婦でも教えられない。それに、どこで誰が聞いているかわからないのだ。
ごめんね、ネル。
「しょうがないな」
ネルが耳元で囁く。
「続きはベッドで聞くよ。ベッドの中は防音結界が何重にもかかっているから、秘密も、君の喘ぎ声も絶対に漏れないよ」
思わず顔が赤くなる。
「覚悟しておくように」
すっごく爽やかな笑顔を見て、結婚初夜の寝かせてもらえなかった、濃厚な夜を思い出した。
「お……お手柔らかに……お願いします」
私、平和な朝を迎えられるのかな……。
Fin
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~ あとがき ~
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
皆様の応援により、HOTランキング1位(2021.6.5.11:00確認)に掲載されました。
本当にありがとうございました!
また、あたたかいコメントをありがとうございました!
嬉しくて、何度も読み返してしまいました。
このお話のきっかけは、小さな女の子の一言から作りました。
ソファーでゴロゴロお菓子を食べてるときに
『デブ活してるの?』
と、衝撃的な一言でした。
まさに天啓を受けた感じでした(笑)
もうすぐ夏なので、クローヴィアのように一瞬で痩せられませんが、毎日スクワット100回……50回……。出来るだけ頑張りたいと思います💦
次回作も楽しんで頂ければ幸いです!
追記
番外編について。
『ライオネル外伝』と『ダレン外伝』を作成準備をしています💦
書くのが遅いので、気長にお待ち頂ければ幸いです。
m(。≧Д≦。)m
結婚して10年がたった。
平和って、本当に良いものよね。
まずは一番懸念していた他国からの侵略戦争や、私の誘拐だ。
これは結果的にはなかった。
聖域結界の要である大水晶を盗みに来る輩はいたが、ネルによる迎撃結界で返り討ちにされた。
また、大水晶に刻まれた魔法陣や構造、製作過程を記した本も出版したので、他国が総力を上げて製作するなり、この国に製作依頼や技術指導を願い出ることで、国同士の諍いにはならなかった。
あと、初期起動時に聖女三人分の神聖力を注がなければいけない仕様は、ネルの天才的なアドバイスによって、大水晶に刻まれていた魔法陣の欠陥の判明とそれを排除することで解決した。それにより、聖女100人の神聖力で起動するようになったのだ。
3と100じゃ、すごい差だが、反発作用の元凶になっていた力増幅形式を失くした弊害といえる。
しかし、一人で三人分の神聖力を溜め込むより簡単だろう。
いくつかの国が成功しているのだから、問題はない。
粛正された貴族はその罪に応じて、国外追放か、幽閉、強制世代交代、爵位剥奪、爵位降格、炭鉱での強制労働など様々だった。
元婚約者のポンコツ男の家、レイザー侯爵家は強制世代交代になっていた。ポンコツ男の余波ね。
問題のポンコツ男は勘当。騎士団も自主退団したと聞いている。
クズ女も男爵家から勘当され、表向きは家を追い出された。
男爵夫妻は陰ながら援助していると聞いていたが、二人が結婚してから三年で男爵が他界。それを追うように男爵婦人も亡くなった。
財産の一部はクズ女に渡ったが、ほとんどは男爵家を引き継いだ従兄弟のものとなったそうだ。
ただ、その従兄弟は賢い人ではなかった。あっという間に貯蓄を使いきり、領民からの激しい反発、領主失格を訴える直訴状が王宮に届き、調査の結果、領地運営に不適切な人物と見なされ爵位剥奪。男爵領は国の管轄となった。
結婚してしばらくしたら、ポンコツ男はクズ女を残して、他国で冒険者になったと噂で聞いた。
もともと剣技は優れていたのだ。貴族としての教養も悪知恵もあるので、足手まといが居なければ、生きていくことは簡単だろう。
クズ女の方は男爵が亡くなってしばらくは、豪勢な暮らしを謳歌していたそうだ。男漁りをしていたらしい。
その後、噂では新しい男に連れられ他国に渡ったとか、金が失くなったからポンコツ男を探しに旅に出たとか、借金取りに奴隷として売られたなど多数の噂が流れたが、真相を知る者は誰もいなかった。
暗い話ばかりでは気が滅入るので、楽しい話に変えよう。
弟のアランドロと婚約者のシシリーが結婚した。彼女が貴族学園を卒業するとすぐにだ。
社交界では紳士然としており、シシリー以外には冷たい態度の弟が、見たことのないくらい嬉しそうな顔をしていた。
こちらまで嬉しくなってしまった。
しかも、結婚してすぐに子宝にも恵まれて羨ましい限りだ。
しかし!
私とネルの間にも、同時期に子供を授かった。
しかも双子の女の子!
アリアとクロエだ。
二人とも天使のように可愛い!!
アリアは金髪で青い瞳。
造形はネルに似ている。
クロエは黒髪で金の瞳。
造形は私に似ている。
世界一可愛い!!
はい、親バカです!
ただ、ネルの過保護には負けると思う。
なんと、二人に超強力な守護結界を張っているのだ。危害を加えようとすると、結界から大量の水が現れ相手を押し流してしまうらしい。もちろん、二人が高いところから落ちたときも水がクッションになるように構成されているらしい。
あと、いつでも二人の位置がわかるように、追跡魔法が常にかかっているそうだ。
軽いストーカーだよ、お父さん!
小さい頃はいいけど、思春期になったら絶対嫌われるから!
ネルは頑固だから『二人の安全の為だ!』と譲らなかった。口論の末、なんと私にも追跡魔法をこっそり着けていることが発覚。
早急に解除させました!!
夫婦でもストーカー行為はダメ、絶対!
そういえば、トーマスも貴族学園を卒業後すぐに結婚した。お相手は、なんと、私の侍女アンナとだ。
アンナは男爵家の四女。
子爵家に降格したブリュッセル家なら嫁ぐことが出来る。
後で聞いた話だが、トーマスとネルは、実はずっと前から知り合いだったそうだ。
『ブリュッセル侯爵家を潰したい同盟』なんて、ふざけてるとしか思えない。
特にトーマス。実家なのに、それでいいのか?
聞くと、トーマスとしては父親もその愛人も兄も排除するには、家を取り潰すしかないと考えていたところで、ネルと知り合い、今回の計画に賛同したそうだ。
裏事情では、アンナと結婚するには爵位が高すぎるから、降格になりたい思惑があったそうだ。
恋は盲目ね。
爵位を落としても叶えたい恋ね~。
「ヴィア」
「へ?」
「もっと集中しないと、失敗するぞ」
はっ!
今はネルと圧縮魔法の実験を行っていた。
パンっ!
はい、魔力操作に失敗して圧縮していた魔法が弾けた。軽く吹っ飛ばされました。
まぁ、ネルが抱き止めてくれたから怪我はないけど、……。
ネルが怒ってる……。
「ごめんなさい……」
「たくっ……。魔法実験中に考え事とは大聖女様は余裕なんだな~」
うわ~……、黒い笑顔……。
軽く嫌味も混ぜ合わせて……。
悪いのは私だし。
「すいませんでした」
素直に謝る。
「で、考えはまとまったか?」
「え?」
「神聖力の備蓄する方法を開示しろって、他国からせっつかれているんだろ。どうするんだ?今回も研究中と逃げるのか?」
そういえば、そんな話があったわね。
忘れてた……。
神聖力三人分を一人の体に貯められる方法。それは他国からしてみれば喉から手が出るほど欲しい情報だ。
研究テーマ1『神聖力と魔力は別物なのか』
『神聖力』=信仰心の力
『魔力』=空気中の魔素を体内に取り込んだ力
『二つの力は別物である』
これが今の常識だ。
しかし、私の研究で明らかになったのは『神聖力』と『魔力』は同じだと言うこと。
例えば私が限界まで回復魔法を使いきってから、火の魔法が使えるか試したが、それは出来なかった。
よって、神聖力の根本は魔力である。
これは推測だが、『聖女』と称される人々は魔力を神聖力に変換して使用できる、何かしらの機能が備わっているのではないか。
それが信仰心(感謝する心)によって、耐久力に差が出てくるのではないかと考えている。
実験に費やした約3年は、神以外にも食べ物、私に関わってくれる全ての人、事柄、何に対しても感謝するように心がけた。その成果として、膨大な魔力を神聖力に変換でき、大魔法『聖域結界』を成功させられたのだ。
ただ、『聖女』『神聖力』については謎が多いのが現状だ。『神聖力に変える機能?』が何なのか、何処にあるのか、私の推測が正しいのか……。
答えは出ていない。
あと『聖女でなくなった者が聖女に戻れるのか』。
私の推測では『戻れない』と考えている。
実験は何も出来ていないが、元聖女で教会の聖職者になった方に話を聞いた事がある。
その方は1日に三回礼拝堂で約一時間祈りを捧げ、食事するときは感謝をしながら食べていると言っていたが、神聖力が戻ることはなかった。
よって、神聖力を一度失えば戻らないと考えられる。
研究テーマ2『魔力切れは何故起こるのか』
魔法を限界まで使うと死んでしまう。
魔素は大気中に存在し、自然と体内に取り込み魔力を回復する。取り込める魔素は生まれつき持った『器』で決まる。
これが常識だ。
しかし、『生まれ持った器』が体内のどこにあるかは解明されていない。
そこで私は推測した。
限界まで魔法を使うと、心臓が痛くなるし、体がだるくなって立っていられない。その事象は『貧血』によくにていると思った。
魔力は『血』の中に溶け込んでいるのではないだろうか。血に溶け込むのなら、細胞一つ一つにも魔力を貯める事が出来るのではないかと考え、魔力操作を応用して細胞一つ一つに微量の魔力を蓄積することに成功したのだ。
ただ、その結果が『デブ』になることだった。
以上が私の研究結果だ。
この結果が世界に広まれば『デブの魔法使い』が常識化、もしくは非人道的に作られる可能性がある。
また、大火力の魔法使いは戦争に重宝されて、世界を混乱に陥れないとは言い切れない。
世界の均衡を崩しかねない研究を発表するわけにはいかないのだ。
「逃げるなんて人聞きが悪いわ。研究したくても、貯められなくなっちゃったんだから、教えることもできないのよ」
嘘です。
「処女じゃなくなったから貯められないって言ってるのに、誰も信じてくれないのよね」
はい、嘘です。
「処女性が関係してるとは、誰も信じられないだろ。私自身、いろんな文献を読んだが、そういった事象は確認されていない」
「神聖力を貯める方法が文献にあるのかしら?未知の方法なのだから、不思議な事象が起こってもおかしくないと思うけど?」
ネルは私の言葉に眉を潜め、ため息をついた。
ネルには申し訳ないが、例え夫婦でも教えられない。それに、どこで誰が聞いているかわからないのだ。
ごめんね、ネル。
「しょうがないな」
ネルが耳元で囁く。
「続きはベッドで聞くよ。ベッドの中は防音結界が何重にもかかっているから、秘密も、君の喘ぎ声も絶対に漏れないよ」
思わず顔が赤くなる。
「覚悟しておくように」
すっごく爽やかな笑顔を見て、結婚初夜の寝かせてもらえなかった、濃厚な夜を思い出した。
「お……お手柔らかに……お願いします」
私、平和な朝を迎えられるのかな……。
Fin
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~ あとがき ~
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
皆様の応援により、HOTランキング1位(2021.6.5.11:00確認)に掲載されました。
本当にありがとうございました!
また、あたたかいコメントをありがとうございました!
嬉しくて、何度も読み返してしまいました。
このお話のきっかけは、小さな女の子の一言から作りました。
ソファーでゴロゴロお菓子を食べてるときに
『デブ活してるの?』
と、衝撃的な一言でした。
まさに天啓を受けた感じでした(笑)
もうすぐ夏なので、クローヴィアのように一瞬で痩せられませんが、毎日スクワット100回……50回……。出来るだけ頑張りたいと思います💦
次回作も楽しんで頂ければ幸いです!
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番外編について。
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書くのが遅いので、気長にお待ち頂ければ幸いです。
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感想 172
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そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
「お前」としか呼ばれない婚約者でしたが、婚約破棄の夜、北の辺境伯が初めてわたくしの名前を呼びました
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反論すれば、毎年冬に北の砦へ荷を送ってきたことを明かさなければなりません。王太子の名を使い、自分の私財で、5年間ずっと隠してきたことを。
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※「小説家になろう」にも掲載しています。