デブだから婚約破棄?!上等だ、お前なんかこっちから願い下げだ!!

ともどーも

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ダレン外伝③

 助けられてから1ヶ月が経つ頃には、傷の痛みはほとんど無くなっていた。
 ただ、動けない期間が長かった為、体がなまってしまっている。

 勘を取り戻す意味もあったが、パリスやジミーと剣の稽古や村の中を走ったりした。
 始めは余所者なので皆に警戒されたが、パリスやジミーを介して村の人達と交流を持つことが出来た。
 話してみると気さくな村人が多かった。

 ある日、一人でトレーニングがてら村を走っていると、村の端の方でケンカしている声が聞こえた。
 気になって見に行くと、ジミーが村の子供3人に囲まれていた。

「お前みたいなバカで弱っちいヤツが、騎士になんてなれるわけないだろ。パリスならまだしも、お前なんか、親父の跡を継いで木こりになるのがお似合いだ!」
「お前なんかがパリスの弟なんて、信じらんねーよ。全然似てないもんな~」
「拾われっ子じゃないのか」
「確かに!」

 子供達のやり取りを聞いて、総毛立った。
 貴族学園での出来事だ。

『お兄様達はとても優秀で、学園の誇りですよ。素晴らしいお兄様を持って羨ましいですな』
 兄達の元担任の言葉。
『秀才と天才の弟が凡人なんて、可哀想だろ』
 兄達の知る先輩達。

 兄達を知る人から向けられた
『期待はずれ』
 と、言わんばかりの目を思い出させた。

「ごちゃごちゃと、うるせーな!兄ちゃんは兄ちゃんで、俺は俺だ!俺は『パリスの弟』じゃない。ジミーっていう立派な名前があるんだよ!」

 俺は俺だ……。
 胸がギュッとなった。

「はぁ?!生意気だぞ!年下の癖に!」
「けっ!年下相手に3人で囲んでるなんて、ダセーな!」
「上等だ!」
「フクロにしろ!」
 
 3人の子供がジミーに同時に襲いかかった。
 多勢に無勢、止めなくてはと駆け寄ろうとすると、

「ジミー!!」
 パリスが走ってきた。
「げっ、パリスだ!」
「逃げろ!!」
 逃げようとする子供の一人の服を掴み、ジミーはその子を引き倒し馬乗りになって殴った。

「くそっ、やめろ!」
「年下だって舐めんなよ!」

 駆けつけたパリスはジミーを羽交い締めにして、下で殴られていた子供を助けた。

「くそ!覚えてろよ~!!」
「兄ちゃん離せよ!くそ!」
「落ち着け落ち着け。何があった」
「あいつら、俺は騎士になれないって、くそ!」

「今のジミーじゃなれないな」
「なっ!」
「自分の嫌なことを言われて、相手をぶん殴るヤツが騎士なのか?」
 パリスにズバッと言われて、ジミーは言葉を飲み込んだ。

「……違う。でも!」
「あぁ、言われっぱなしはムカつくよな。……ジミーはどうしたい?俺がアイツ等をぶん殴ってきたら満足か?おばさん達に告げ口するか?」

 パリスは目線をジミーと合わせて彼の真意を探っているようだ。
 二人を見ていると……とても苦しい……。

『兄さん達に任せろ!父上と母上に文句を言ってやる』
『ダレン、可哀想に。兄さん達がついてるぞ』
 
 あぁ、そうか。
 兄さん達に庇われたとき、兄さん達は俺にどうしてほしいか聞いてこなかった。
 兄さん達は頭が良いから、優しいから、俺の求めているであろう『答え』を先読みして行ってくれていた。
 でも、そこに『俺の求める答え』はあったのだろうか?
 
 あぁ、駄目だ……。
 考えたくない……。

 兄さん達は俺の意思を確認しなかった。
 それは『俺』を見ていたのではなく『自分達が大切にする可哀想な弟』を見ていた……?

 やめろ、考えるな。

 俺自身、兄さん達の『可愛い人形』を演じている方が楽だった。
 でも俺は人間だ。
 感情のある一個人の人間だ。

 庇われて、惨めに思ったのも。
 兄さん達の行動に俺の意志がなかったからだ。

 あぁ、俺は……。

「俺自身で認めさせたい」
 ジミーの言葉。

『俺を認めて欲しかったんだ』
 俺の心の声。

「兄ちゃんに殴ってもらっても、おばさんに言われて謝られても、嬉しくない。騎士になって見返してやりたい」

 あぁ、そうだ。
 見返したかった。
 立派になった俺で、兄さん達を、両親を、

「さすがジミーだな。カッコいいぞ。だけどな、見返すためだけに騎士になるのか?」
「ううん、違う。俺、誰かを助けられる男になりたいんだ!兄ちゃんが俺を助けてくれるように、俺も誰かを助けたい!」

 あぁ……。

「ジミーは俺の自慢だよ。すげー、カッコいい」
「へへん!そうだろ!」

 ジミーはカッコいいよ。
 8歳の子供が理解していることを、俺には解らなかった。
 ただ流され、悲観して、見当違いな野心を抱き、自滅したんだ。

 あぁ、なんてーーー
「ダッセーな…」

 全てを捨てて、失って、初めて気が付くなんて滑稽だな。

 俺は……ただ認められるために騎士になった。
 俺は……俺が認められるために、クローヴィアを、ミアを利用した。
 俺が認められるために、冒険者パーティーを利用した。

 そして……失敗したんだ。
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