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決意

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「我々はキリト様に言われた通り、フォゼット近隣の国を当たってみました。どうやらそれらの国々で幼い子供が複数人攫われている様子。
これは只事ではないと出来る限りの街にいる子供達に見張りを付けた次第」

「カシラさん、さすが!!」

キリトの言葉にカシラさんは照れているようだ。森の民って一体どれくらいいるんだろう?
謎だなぁ。
でも彼らのお陰で、この事件に進展が見られそうだ。

「アカツキも言っていたけれど、身代金やなんかの要求はないみたいだ。
だからこそ何が目的なのか分からなくて気味が悪い…」

キリトはカシラさんに現在の状況を伝えていた。

「なんと!アンデルフォンでもそんなことに」

カシラさんが驚いている。一体何が起きているのか、僕達にも分からない。
こうしている間にも子供達に危険が迫っている。


「俺と紬はこれからフォゼットに向かう。
アカツキと向こうで落ち合うことになってるから」

「キリト様、それならすぐにお弁当を作るわ。
お腹が空いていたら動けないもの」

ずっと黙っていたツムギがこう言ってくれた。
ビャクヤの事が心配なのだ。彼女はそれをぐっと堪えている。

「ありがとう、ムギ」

キリトにもツムギの気持ちは伝わっている。
僕達って傍から見るとこんなにラブラブに見えるんだ。
知らなかった、恥ずかしい。

ツムギがお弁当を作り始めてくれた。
僕達も改めて着替えや必要な物をカバンに詰め直す。今日一日過ごして大分疲れた。
でも本番はこれからだ。

「フォゼットって大きな森があるんだよね?」

「うん。森が国を囲うようにして広がってる。だから、人間の通れる入口は一つしかない。森を通る手もあるけれど、ここより野生の動物が多いって父さんが言ってた」

「そうなんだ。じゃあ…」

キリトが目を細める。僕の言いたい事が分かっているらしい。

「もちろん、森の中も探る。
火事が起きた場所を入念にね」

「キリトは山火事が、人為的なものなんじゃないかって思ってるの?」

「そう。ビャクヤと何か関連があるんじゃないかって思ってる」

なんだか途端に背筋が寒くなった。
もし人が居たとして、子供達を攫って一体何をしようとしてるんだろう。

「むぎ、無理して来る必要は…」

「ううん、僕も行きたい」

僕はキリトを危ない目に遭わせたくない。
キリトは軽傷とはいえ、怪我をしてしまっている。それに人手が足りているようにも思えない。

「むぎ、ありがとう」

今度は僕がキリトを守る番だよ。
愛斗が僕にしてくれたように。
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