【序章】あなたに贈る手紙

 あなたにいくつもの手紙をさしあげます
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 今日、とある皇帝の葬儀が行われた。そして、彼の私室の机の引き出しを開け、入っていた2つの箱の蓋を開けるとそこには大量の手紙があった……。
 愛した妻に殉じた男。その男を愛した妻。幼少の頃からの手紙を紐解きながら、淡い恋が激しい恋に、激しい恋が穏やかな愛に変遷する。そして、時を経て穏やかな愛はまた激しく切ない愛に繋がっていく。

 男と女。その付き合いの中で会えない時間の隙間をどう埋めるか。それは手紙が主体だった時代がある。

 そう。とある世界のように電子データによる即送信、即受信、即既読のようなやりとりができた時代でもない。はたまた、とある世界のように魔法通信、魔導通信で即送信、即受信、即既読のようなやりとりができた時代でもない。

 それでも、その時代は手紙を書けば、どんなに遠くても3日あれば相手の元に届く時代だった。
 そんな時代だからこそ、互いが互いを思う時にそれは恋や愛へと生まれ変わる。

 手紙のやりとり、その後日の解釈を通じた恋愛劇を貴方や貴女へ……。
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