どうしようもない姉に婚約者を寝取られそうになったので、彼よりもっとハイスペックな殿方を紹介することにしました。※但し、完璧なのは見た目だけ

当麻月菜

文字の大きさ
14 / 24
むしろ遅すぎる(婚約者談)

5

 言葉にならない感嘆符だけを吐き出したティスタをどう受け止めたのかわからない。

 だが、ウェルドはまくし立てるように続きを語る。

「い、言っておくけれど、俺一人じゃなかったからなっ。イリーグだって他の連中だって部屋にいたんだからなっ。それに俺はヴァネッサ嬢の裸は見ていない!誓って見ていないっ。ヴァネッサ嬢が背中のボタンを外した瞬間に、目を逸らしたし、すぐに察してイリーグが部屋の明かりを消したし、他の連中も目をつぶった......はず。すまない、そこは俺は見ていないから───」
「我が家の姉が、とんだご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした!!」

 これ以上言わないでと言わんばかりに、ティスタは首を振りながら大声を張り上げた。

 そして勢い良くベンチから立ち上がると、ウェルドの前に膝を付き深々と頭を下げた。

「......もう......なんとお詫びしてよいやら......ウェルドさま。どうかお許しください」

 地面に額を擦り付けんばかりに謝罪するティスタを、ウェルドは一先ず抱き上げた。次いでそっと己の膝の上に乗せる。

「ティスタ、あえて聞くけど、どのジャンルで謝罪をしてるんだ?浮気の冤罪か?それとも身内の不始末系か?」
「どっちもです!!」

 ティスタは被せるように答えた。そして、再び「ごめんなさい!」と大きな声で謝罪した。

(最悪だ!!もう、本当に最悪だ!!穴があったら入りたい。いや、穴がないなら自分で掘って埋まりたいっ)
 
 そう心の中で強く思いながら、ティスタは涙目になる。 

 これまでハーピー二世の妹として、かなり恥ずかしい思いを強いられてきた。

 たぶん、この年で死にたいほど恥ずかしいと思った回数と、近隣の皆さまに頭を下げた回数と、姉のせいで白い目で見られた回数をランキングにしたら、全てのジャンルでシュハネード国でトップ3に入るだろう。

 でも、これまでは”そういう星のもとに生まれてしまった”と、自分に言い聞かせてひたすら被害にあった皆々様に頭を下げ、誹謗中傷も甘んじて受けてきた。

 しかし、今回はハイグレード過ぎた。

 己の欲の為に、何の罪もない人間に殺害予告をした挙句、既成事実を作るために妹の婚約者を個室に引っ張り込んで自ら服を脱ぐような人間はもはや姉ではない。

 もう”そういう星のもとに生まれてきたなら、星ごとぶっ壊してやろうか”と本気で思った。

 きっと神様だって許してくれると思ったし、もしダメなどと言ったら神様もろともぶっ壊してやろうと決意した。
感想 8

あなたにおすすめの小説

勇者の凱旋

豆狸
恋愛
好みの問題。 なろう様でも公開中です。

いつまでも甘くないから

朝山みどり
恋愛
エリザベスは王宮で働く文官だ。ある日侯爵位を持つ上司から甥を紹介される。 結婚を前提として紹介であることは明白だった。 しかし、指輪を注文しようと街を歩いている時に友人と出会った。お茶を一緒に誘う友人、自慢しちゃえと思い了承したエリザベス。 この日から彼の様子が変わった。真相に気づいたエリザベスは穏やかに微笑んで二人を祝福する。 目を輝かせて喜んだ二人だったが、エリザベスの次の言葉を聞いた時・・・ 二人は正反対の反応をした。

婚約者を寝取った妹に……

tartan321
恋愛
タイトル通りです。復讐劇です。明日完結します。

王太子殿下の想い人が騎士団長だと知った私は、張り切って王太子殿下と婚約することにしました!

奏音 美都
恋愛
 ソリティア男爵令嬢である私、イリアは舞踏会場を離れてバルコニーで涼んでいると、そこに王太子殿下の逢引き現場を目撃してしまいました。  そのお相手は……ロワール騎士団長様でした。  あぁ、なんてことでしょう……  こんな、こんなのって……尊すぎますわ!!

ヒロインが私の婚約者を攻略しようと狙ってきますが、彼は私を溺愛しているためフラグをことごとく叩き破ります

奏音 美都
恋愛
 ナルノニア公爵の爵士であるライアン様は、幼い頃に契りを交わした私のご婚約者です。整った容姿で、利発で、勇ましくありながらもお優しいライアン様を、私はご婚約者として紹介されたその日から好きになり、ずっとお慕いし、彼の妻として恥ずかしくないよう精進してまいりました。  そんなライアン様に大切にされ、お隣を歩き、会話を交わす幸せに満ちた日々。  それが、転入生の登場により、嵐の予感がしたのでした。

もう我慢したくないので自由に生きます~一夫多妻の救済策~

岡暁舟
恋愛
第一王子ヘンデルの妻の一人である、かつての侯爵令嬢マリアは、自分がもはや好かれていないことを悟った。 「これからは自由に生きます」 そう言い張るマリアに対して、ヘンデルは、 「勝手にしろ」 と突き放した。

断罪される令嬢は、悪魔の顔を持った天使だった

Blue
恋愛
 王立学園で行われる学園舞踏会。そこで意気揚々と舞台に上がり、この国の王子が声を張り上げた。 「私はここで宣言する!アリアンナ・ヴォルテーラ公爵令嬢との婚約を、この場を持って破棄する!!」 シンと静まる会場。しかし次の瞬間、予期せぬ反応が返ってきた。 アリアンナの周辺の目線で話しは進みます。

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。