銀の王子は金の王子の隣で輝く

明樹

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 僕の名前はフィルという。イヴァル帝国の王の子として生まれた双子の片割れだ。
 でも、この名前を決して口にしてはいけない。     
 僕のことを僕と言ってもいけない。だって僕は生まれてからずっと、双子の姉の振りをしているから。
 だから僕は僕のことを私と言い、名前もフェリと言うんだ。

 僕と姉上は雪が降る寒い朝に生まれた。
 生まれてからずっと僕の傍で世話をしてくれるラズールの話では、生まれた瞬間僕はとても大きな声で、姉上はとても小さな声で泣いていたらしい。
 母親である王のお腹がひどく大きかったことから、双子が生まれることはわかっていた。
 この世界では、双子は国に災いをもたらすと信じられていて好ましく思われない。
 その上、この国では王となるのは女と決まっている。
 だから生まれる前からいらない子だと決まっていた僕は、王都を出されて辺鄙な田舎の子供のいない夫婦の元へ預けられる予定だった。
 だけど父親がせめて一日は自分の手元に置いて欲しいと懇願した為に、すぐに城から出されることはなかった。

 そして問題が起こる。
 僕達が生まれた翌日から姉上が熱を出した。
 まだ生まれたばかりで薬を飲ませることも出来ない。もしかすると、このまま育たないで死んでしまうかもしれない。
 もうすでに跡取りの王女が生まれたことを周辺の国々に知らせていた王は、苦肉の策として、姉上が元気になるまで僕を姉上の身代わりにすることを決めた。

 跡取りが生まれると、その国の将来は安泰だと周りの国々に一目置かれる。だけど、その跡取りの王女が生まれてすぐ死んだなどと知られては、呪われた弱き国だとつけ込まれて、近隣国が戦を仕掛けてくるかもしれないのだ。

 唯一僕の誕生を喜んでくれた父親は、僕が姉上の身代わりだとしても、この城に残れることを喜んで、僕達が生まれた一月後に死んだ。
 後にラズールから聞いた話によると、不自然な死だったらしい。

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