170 / 451
23
しおりを挟む
あれから村長の家に戻り、約束をしていた男の子と遊んだ。絵を描いたり本を読んだりした。僕が男の子と遊んでいる間、ラズールは壁にもたれて遊ぶ僕達をずっと見ていた。
しばらく遊んでいると、疲れたのか男の子の頭が揺れだしたので部屋に戻るように言い、男の子が去った後に僕とラズールも仮眠をした。そして夜が更けた頃、再び採掘場に向かった。
採掘場からそのままイヴァル帝国に戻るつもりにしてたので、僕は村長に突然押しかけた非礼を詫びて世話になった礼を言った。
ラズールも礼を言った。しかしその後に村長に近づき威圧しながら、もし今夜に他の騎士が来た時には、眠らせて動けなくするか採掘場に向かわせるようにしてほしいと頼んでいた。表向きは丁寧に頼んでいるように見えたけど、実際は家族を人質に脅していたので、更に村長に辛い思いをさせてしまった。申しわけない。
村長は、黙ってラズールに頷いて、僕に孫と遊んでくれたことを感謝していた。
村長の家を出て裏山を登りながら、僕はラズールに聞く。
「採掘場に行ったらゼノ達が待ち構えてるんじゃないの?」
「彼らはまだ動けません。朝になって俺達がここを出る頃には、動けるようになっているでしょう」
「それならいいけど…ずっと暗くて寒い中にいて大丈夫かな」
「身体を鍛えてるでしょうから、三日ほど放置しても問題ありません」
冷たく言い放つラズールを見て、僕は小さく息を吐く。
「おまえは厳しいね。僕が同じような状況下におかれたらどうするの?」
「とんでもないことです。すぐに助けます」
僕は小さく笑う。いつも僕のことを一番に考えてくれるラズールの言葉が嬉しい。
「ふふっ、頼りにしてるよ」
「お任せください」
ラズールも僕を見て、小さく笑った。
勝手に来てしまって迷惑をかけてるだろうにラズールは何も言わない。いつも通り僕の傍にいて世話をしてくれる。信頼できる一番の家臣であり兄のような存在のラズール。彼がいてくれるから僕は王として頑張っていける。
採掘場に着き、警戒しながら中へ入る。ラズールに手を引かれながら奥へと進み、ゼノ達がいる横穴へは行かずにまっすぐ進む。
僕は通り過ぎた横穴を見ながら尋ねた。
「ゼノの様子を見に行かないの?」
「微かにうめき声が聞こえます。元気そうですよ」
「でも体調を崩してる人もいるかも…」
「…あなたは変わらずお優しいですね。わかりました。後で見に行きましょう」
「うん、そうして」
僕とラズールの声が、暗い穴の中に響く。
突き当たりまで行くと、横の壁に人が一人通れるくらいの穴があった。
しばらく遊んでいると、疲れたのか男の子の頭が揺れだしたので部屋に戻るように言い、男の子が去った後に僕とラズールも仮眠をした。そして夜が更けた頃、再び採掘場に向かった。
採掘場からそのままイヴァル帝国に戻るつもりにしてたので、僕は村長に突然押しかけた非礼を詫びて世話になった礼を言った。
ラズールも礼を言った。しかしその後に村長に近づき威圧しながら、もし今夜に他の騎士が来た時には、眠らせて動けなくするか採掘場に向かわせるようにしてほしいと頼んでいた。表向きは丁寧に頼んでいるように見えたけど、実際は家族を人質に脅していたので、更に村長に辛い思いをさせてしまった。申しわけない。
村長は、黙ってラズールに頷いて、僕に孫と遊んでくれたことを感謝していた。
村長の家を出て裏山を登りながら、僕はラズールに聞く。
「採掘場に行ったらゼノ達が待ち構えてるんじゃないの?」
「彼らはまだ動けません。朝になって俺達がここを出る頃には、動けるようになっているでしょう」
「それならいいけど…ずっと暗くて寒い中にいて大丈夫かな」
「身体を鍛えてるでしょうから、三日ほど放置しても問題ありません」
冷たく言い放つラズールを見て、僕は小さく息を吐く。
「おまえは厳しいね。僕が同じような状況下におかれたらどうするの?」
「とんでもないことです。すぐに助けます」
僕は小さく笑う。いつも僕のことを一番に考えてくれるラズールの言葉が嬉しい。
「ふふっ、頼りにしてるよ」
「お任せください」
ラズールも僕を見て、小さく笑った。
勝手に来てしまって迷惑をかけてるだろうにラズールは何も言わない。いつも通り僕の傍にいて世話をしてくれる。信頼できる一番の家臣であり兄のような存在のラズール。彼がいてくれるから僕は王として頑張っていける。
採掘場に着き、警戒しながら中へ入る。ラズールに手を引かれながら奥へと進み、ゼノ達がいる横穴へは行かずにまっすぐ進む。
僕は通り過ぎた横穴を見ながら尋ねた。
「ゼノの様子を見に行かないの?」
「微かにうめき声が聞こえます。元気そうですよ」
「でも体調を崩してる人もいるかも…」
「…あなたは変わらずお優しいですね。わかりました。後で見に行きましょう」
「うん、そうして」
僕とラズールの声が、暗い穴の中に響く。
突き当たりまで行くと、横の壁に人が一人通れるくらいの穴があった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
479
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる