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にじゅうろく

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 初代魔王と勇者が結ばれだ。それは素敵な話だけど。

「あの魔王を倒した勇者なら、子孫を残さなくてはならないですよね。その国の王子と結ばれるとか」

「そうです、強い血こそ、残すのが当たり前です」 

 頷きながらラトナが拳を握り力説した。

「えぇ、普通ならそうね……でもね曾祖母は出来なかったの。勇者の力を羨んだ妹に毒を飲まされて、殺されかけたから」
  
「妹に毒を飲まされたぁ⁉︎」

 妹って人の婚約者を取ったり、力を羨んで毒まで飲ませるの!

「妹、恐るべし……では、毒を飲んだ勇者様は助かったのですよね?」

「えぇ曾祖父がもちろん助けたわ、その時に魔族の血が入って、魔族化しちゃったのだけどね」

 魔族化……

「それでね、サローナ。勇者に選ばれると男女問わず、勇者の証が手の甲に浮かぶのよ」

 エマ様は私にわかりやすく、手の甲を指さした。

「その勇者の証はどうなったのですか?」

「曾祖母の証は同じ血をひく彼女の妹に移ったわ。それも力の弱い妹にね。勇者となった彼女は勇者パーティにちやほやされながら、一年をかけて四天王のところまで来たらしいわ」

「それで、どうなったのですか?」

「当初の曾祖父と曾祖母の計画の通り、四天王と初代魔王は倒された。魔王を倒したからとその子は勇者と崇めれて、その国の王子と結婚して一応勇者の血は残したのだけど……薄いのよね」

 血が薄い?
 ドラーゴ様が頷き。

「二番煎じの勇者の血じゃ~弱い勇者しか生まれないのよ。私の鼻息で飛んでいきそうなくらい弱すぎ! そんな奴に、倒されなくちゃならない私の身になってほしいわ」

「ほんとそうだ。この前の勇者なんて、わしの軽めの猫パンチ1つで壁まで吹っ飛んで焦ったよ『やるな、勇者!』と側に行き、こっそりポーションとヒールをかけてやった。一応勇者は、勇者パーティの中で1番権力はあるが、力は最弱だな」

 倒される方が心配するとか……勇者は弱すぎ。

「だとすると、エマ様、父、ドラーゴ様の話を聞く限り、サローナの方が勇者よりも強いですね……」

 みんなは「そうだ」と各々頷く。

「えっ、ユバ! 私の手の甲にそんな勇者マークないし、やだよ。ユバのお嫁さんになるのに……」

「いや、サローナが勇者だって言っていないよ。ただ、勇者装備を全部集めるし、ダンジョンで遊ぶサローナが強くて、可愛いと思っただけだよ」

 可愛い! 

「当たり前です、サローナお嬢様はこの国、いいえ、世界一可愛い、私の大好きなキラキラお嬢様です」

 ラトナまで。

「そうね、確かに私の次に可愛いわね。今度、私と真剣勝負して欲しいわ……相撲で!」

 エマ様と勝負! 
 それも、相撲で?

「えぇ番の次に可愛いと思うわ。私もサローナと相撲で戦いたいわね」

「うちの嫁子は人気者だなぁ~はっ、はは!」

「相撲か、面白いな!」

 ちょっと、みんなは普通に相撲とか言ってるけど。
 お相撲ってあの相撲? だとしたら、ここに私と同じ転生者がいるの⁉︎

 聞こうと思ったけど。
 ふわぁ~っと、エマ様が欠伸をすればみんなにうつる。

「でも今日は眠いから、ユバとサローナの結婚式の日にみんなで対決しましょう」

 エマ様の言葉でこの日は解散した。
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