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にじゅうよん
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「みんな、待たせたね」
「お待たせしました」
扉を開けて入ってきた魔王と魔嫁。漆黒の長い髪とツノを携えた長身の美形と、白銀の髪、大きな胸の神々しいふんわり美女が現れた。
このお二人が魔王と魔嫁⁉︎
二人ともお綺麗でキラキラしていた。
「お父様、お母様! お帰りなさい」
「エマちゃん、会いたかった」
「マキア様!」
エマ様とエロフは立ち上がり、可憐な魔嫁に抱き着こうとした。エマ様は無事にお母様の腕の中に収まり、エロフは魔王様が抱きしめた。
その途端にポッと頬を赤らめたエロフ。
「まっ、魔王様が僕を抱きしめてくれたぁ! 今晩、ベッドでお待ちしております」
「いいや、エロフ君、またなくていいから」
「あなた良かったわね。今晩はエロフがお相手よ」
魔嫁の冷淡な瞳と、タジタジな魔王様。
「……マ、マキア、アレは誤解だと説明しただろう? なぜ? 分かってくれないんだ!」
「嘘よ、カザン様なんて知らないっ。もう、エマちゃん聞いてよ。カザン様ったらお泊まりしたお城で、可愛い男の子を抱きしめていたのよ」
「えぇ、お父様またぁ⁉︎」
「だからアレは……何故だか、分からないが。いきなり部屋に来て!抱いてくれと抱きつかれたんだ。ワレはマキア、一筋だぞ」
何処かで、魔王様は可愛い男の子に惚れられて、攻められたのかな? なんて考えていた。
隣に座るユバは。
「サローナ、魔王様は何処に行っても女性ならず、男性にまでモテてしまうんだって。唯一、惚れなかったマキア様に惚れて、魔王様から口説き落として結婚したんだって」
「何処に行ってもモテてしまうって……大変ね」
「そうだよな。前にドラーゴ様から聞いたんだけど、魔王様は魅了魔法持ちで。ある程度魔力を持っていると掛からずに済むんだけど、魔力がない者は、たちまち魔王様に惚れちゃうんだって」
「魅了か……」
未だにエロフに抱き付かれる魔王様を、乙女ゲームのヒロインみたいだと思ってみていた。
(気に入った男性を落とせるのだもの、ヒロインて魅了持ちよね)
+
三十分経過してやっと会議が始まった。議題は『勇者が鬼弱すぎる!』だ。
あれからまた勇者一行はダンジョンに来たらしいのだけど……ダンジョン前に現れた、ウサギ型モンスターにやられたらしい。
みんなは魔王様の手前、笑わない様に我慢している。
口を開けば大笑いだ。
笑いを我慢して十分経過した頃、ドラーゴ様は涙目で口を開いた。
「もう、信じられない! 勇者は悪い行いをして、呪われているのよ、絶対に! じゃないと弱過ぎてクシャミで殺しちゃうわ!」
「ドラーゴのクシャミで必ず死ぬな。呪われているか……ドラーゴの言う通り、そうだとしか考えられない。魔王様どうする?」
みんなは他の観察虫を見て悩んでいる。
魔王様は少し考えて出した答えは。
「我々の平和のために、アレをどうにかしないといけない。皆もだろうが、私もアレを勇者だとは思いたくない……不作の年だな。体の線が細く、剣の持ち方がなっていない。剣士、魔法使いは勇者を守らず、あの女を守っている」
あの女というのが私の義妹だ。何故、妹は毎回、着飾って高価なドレス姿なのだろうか? 戦うでもなく、まるで誰かに会いたくて、勇者に着いてきてる様な気がした。
旦那様のユバ? もしくは美形な魔王様狙い?
ユバなら学園で会っているけど、魔王様の顔は知らないはず……だとすると、義妹はユバ、狙い!
「……こうなったら、最後の手段を取るしかないな」
「あなた、どうするの?」
魔王が合図して四天王とエマ様、魔嫁は近付く。エロフはみんなの接近に、ウネウネして不気味だが放置されて話は続いた。
「ワレが考えた案は。勇者に子供用の剣を持たせて、子供でも倒せる初級ダンジョンを作る、それしかないのでは?」
魔王の言葉にみんなは唸る。
「はぁっ、……やっぱりそれ! でも、それしかなさそうね。子供用ダンジョンってのが笑えるけど……あの弱さではね」
「魔王様の意見に賛成、意義なし!」
「僕も意義なしです。魔王様この後、僕と近くのレストランに食事に行きませんか?」
「行かない、ワレは家族と過ごす。いい歳なんだから、エロフ君もソロソロ嫁をもらうかして、落ち着きなさい」
「えぇ! 嫁なんかもらったら遊べない!」
と叫んだエロフを放置して会議は終わり、みんなは帰っていく。
「みんな酷いっ!」
置いていかれても、何にもこたえていない、エロフのハートは強い。
そうだ伝えるのを忘れていたと。魔王様は前魔王様と元勇者の魔嫁は『勇者を直に見てくるわ』と言っていたと、帰り間際に伝えた。
私はユバと帰りながら思う。もっと前世で友だちの話と、この乙女ゲームを遊んでおけばよかった。
みんなは気にしていないから言わなかったけど、あの格好といい、妹は何か企んでいるようだ。
そして、ある事を思い出す。
この国に来る前、妹に手紙を書くって言ったけど……まだ一枚も書いていない、と。
「お待たせしました」
扉を開けて入ってきた魔王と魔嫁。漆黒の長い髪とツノを携えた長身の美形と、白銀の髪、大きな胸の神々しいふんわり美女が現れた。
このお二人が魔王と魔嫁⁉︎
二人ともお綺麗でキラキラしていた。
「お父様、お母様! お帰りなさい」
「エマちゃん、会いたかった」
「マキア様!」
エマ様とエロフは立ち上がり、可憐な魔嫁に抱き着こうとした。エマ様は無事にお母様の腕の中に収まり、エロフは魔王様が抱きしめた。
その途端にポッと頬を赤らめたエロフ。
「まっ、魔王様が僕を抱きしめてくれたぁ! 今晩、ベッドでお待ちしております」
「いいや、エロフ君、またなくていいから」
「あなた良かったわね。今晩はエロフがお相手よ」
魔嫁の冷淡な瞳と、タジタジな魔王様。
「……マ、マキア、アレは誤解だと説明しただろう? なぜ? 分かってくれないんだ!」
「嘘よ、カザン様なんて知らないっ。もう、エマちゃん聞いてよ。カザン様ったらお泊まりしたお城で、可愛い男の子を抱きしめていたのよ」
「えぇ、お父様またぁ⁉︎」
「だからアレは……何故だか、分からないが。いきなり部屋に来て!抱いてくれと抱きつかれたんだ。ワレはマキア、一筋だぞ」
何処かで、魔王様は可愛い男の子に惚れられて、攻められたのかな? なんて考えていた。
隣に座るユバは。
「サローナ、魔王様は何処に行っても女性ならず、男性にまでモテてしまうんだって。唯一、惚れなかったマキア様に惚れて、魔王様から口説き落として結婚したんだって」
「何処に行ってもモテてしまうって……大変ね」
「そうだよな。前にドラーゴ様から聞いたんだけど、魔王様は魅了魔法持ちで。ある程度魔力を持っていると掛からずに済むんだけど、魔力がない者は、たちまち魔王様に惚れちゃうんだって」
「魅了か……」
未だにエロフに抱き付かれる魔王様を、乙女ゲームのヒロインみたいだと思ってみていた。
(気に入った男性を落とせるのだもの、ヒロインて魅了持ちよね)
+
三十分経過してやっと会議が始まった。議題は『勇者が鬼弱すぎる!』だ。
あれからまた勇者一行はダンジョンに来たらしいのだけど……ダンジョン前に現れた、ウサギ型モンスターにやられたらしい。
みんなは魔王様の手前、笑わない様に我慢している。
口を開けば大笑いだ。
笑いを我慢して十分経過した頃、ドラーゴ様は涙目で口を開いた。
「もう、信じられない! 勇者は悪い行いをして、呪われているのよ、絶対に! じゃないと弱過ぎてクシャミで殺しちゃうわ!」
「ドラーゴのクシャミで必ず死ぬな。呪われているか……ドラーゴの言う通り、そうだとしか考えられない。魔王様どうする?」
みんなは他の観察虫を見て悩んでいる。
魔王様は少し考えて出した答えは。
「我々の平和のために、アレをどうにかしないといけない。皆もだろうが、私もアレを勇者だとは思いたくない……不作の年だな。体の線が細く、剣の持ち方がなっていない。剣士、魔法使いは勇者を守らず、あの女を守っている」
あの女というのが私の義妹だ。何故、妹は毎回、着飾って高価なドレス姿なのだろうか? 戦うでもなく、まるで誰かに会いたくて、勇者に着いてきてる様な気がした。
旦那様のユバ? もしくは美形な魔王様狙い?
ユバなら学園で会っているけど、魔王様の顔は知らないはず……だとすると、義妹はユバ、狙い!
「……こうなったら、最後の手段を取るしかないな」
「あなた、どうするの?」
魔王が合図して四天王とエマ様、魔嫁は近付く。エロフはみんなの接近に、ウネウネして不気味だが放置されて話は続いた。
「ワレが考えた案は。勇者に子供用の剣を持たせて、子供でも倒せる初級ダンジョンを作る、それしかないのでは?」
魔王の言葉にみんなは唸る。
「はぁっ、……やっぱりそれ! でも、それしかなさそうね。子供用ダンジョンってのが笑えるけど……あの弱さではね」
「魔王様の意見に賛成、意義なし!」
「僕も意義なしです。魔王様この後、僕と近くのレストランに食事に行きませんか?」
「行かない、ワレは家族と過ごす。いい歳なんだから、エロフ君もソロソロ嫁をもらうかして、落ち着きなさい」
「えぇ! 嫁なんかもらったら遊べない!」
と叫んだエロフを放置して会議は終わり、みんなは帰っていく。
「みんな酷いっ!」
置いていかれても、何にもこたえていない、エロフのハートは強い。
そうだ伝えるのを忘れていたと。魔王様は前魔王様と元勇者の魔嫁は『勇者を直に見てくるわ』と言っていたと、帰り間際に伝えた。
私はユバと帰りながら思う。もっと前世で友だちの話と、この乙女ゲームを遊んでおけばよかった。
みんなは気にしていないから言わなかったけど、あの格好といい、妹は何か企んでいるようだ。
そして、ある事を思い出す。
この国に来る前、妹に手紙を書くって言ったけど……まだ一枚も書いていない、と。
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更新楽しみにしていました!!謎の短剣。気になります。これからも応援しています。
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