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11.記憶

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体育館から出ていったマリア。

皇太子殿下はニヤッと笑いミレイに話す。

「さぁ!悪役令嬢は居なくなった!学園からも追い出した!やっと。これでやっと僕たちの物語が始まるんだ!嬉しいよね?嬉しいでしょ?あんなに夢中だったもんね。この僕にっ!」

ミレイは怖くなり皇太子を突き飛ばした後逃げるように体育館から飛び出した。

誰…。誰なの。この物語を知っている。私と同じ転生者だ。どうして私に固執するの怖い。また私は誰かに追われるの…?「また」?私元の世界に住んでいた時にも誰かに追われてたんだっけ…。なにか大事なことを忘れている気がする。怖い。なんで私家からでなかったんだっけ。思い出せない。

なにか大切なことを忘れていると分かっていても靄がかかったように思い出せないミレイ。体育館横にあった森のようなところに逃げて寮に向かう。するとそれがわかっていたように目の前に皇太子殿下が現れた。そして抱きしめられこういった。

「どうして逃げるの?やっと結ばれるんだよ。僕の愛しの"ミィちゃん"♪」

地面に押し倒され"ミィちゃん"そう呼ばれてミレイは固まった。この世界では人の名前の後ろに"ちゃん"を付ける風習はない。

以前に馬乗りにされた記憶がある。そして"ミィちゃん"と呼ぶ人物は前世でも一人しかいない。見たことある風景と"ミィちゃん"その2つが重なりミレイはその瞬間思い出してしまった。この男の事を。

ミレイはただ普通に生活していた。ある日家近くの公園で倒れている男性を発見し助けたことがある。幸いにも大きなけがはなく本人もあまり知られたくなさそうだったのでどこにも連絡しなかった。

少し病んでいそうなその人物を怖いと思いつつもほっとけなかったミレイは少しだけ話を聞いたという。21歳で大学生だという男性の名前はタク。話を聞いているといじめられた直後だったらしく金銭もなかった。かといって家には帰れる距離だというのでお金の貸し借りもせずただその日は話を聞いただけだった。

そして次の日も学校から帰る道としてまた公園を通るとその男性がベンチに座っていた。それでもまたほっておけなくて声をかけたのがダメだった。

虐められて精神が弱っているところに2回も声をかけ気にかけてくれたと心が救われたタクはミレイに恋をした。そこからは酷かった。公園でいつも待っているタクがだんだん怖くなり公園を避けるように帰宅していたがどこかのタイミングで家がばれ偶然を装い家の前で会うようになった。
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