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完全開放!! 爽快バトル編
087:煙の向こう側
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全面に放った扇牙により、誘爆したアシッドランスの酸の煙で、視界が途切れたエカテリーナ。
それに苛立ち状況を確認しようと、王の残骸を使い煙を晴らそうとするが。
「そう焦るなよ、今すぐ行くぜ。ジジイ流 断斬術! 羆破斬!!」
羆破斬――背後より迫る羆にカウンターで真っ二つにする、乱暴で粗野な業。
それが今、悲恋の妖気をふんだんに使い真の力を開放する。
戦極は走りながら左回りに体を回転させ、そのまま妖気で強化した足でジャンプ。
さらに体をヒネリながら、横一文字の鮮やかな紫色の斬撃を放つ。
だがその斬撃、よくみれば〝ざざり〟と波立っており、鋭利さや繊細さなどは皆無。
ゆえに斬るというよりは、ぶち切ると言う表現がただしい。
そんな乱暴で粗暴な斬撃は、迫るエアカッターにぶち当たった瞬間、ソレが弾け飛ぶほどの威力であり、本当の狙った場所へと吸い込まれる。
戦極が狙った場所……それは石畳の床であり、しかもこの部屋の石畳は幅が広い。
自然石ゆえ形はまばらだが、あえて直径になおせば一メートルはありそうな物が並ぶ石畳へ羆破斬は喰らいつく。
瞬間、石畳はくだけ始め、地面から弾け飛ぶ。
弾け飛ぶ石の一つが、戦極へ急速に迫る。
そのなかの一つに戦極は飛び乗り、アシッドランスが巻き起こした煙の向こう側へと、口角をあげながら悲恋を右肩に担ぎ持つ。
悲恋が一瞬淡く光ると、そこから薄く透けている娘が戦極の後ろへと、静かにあらわれささやく。そう――美琴である。
「で、ヤツの場所はわかったか?」
『肯定。骨ホネに刻まれた瞳から伸びる魔力線。エアカッターが出現する瞳。巧妙に隠されていますが、それらから魔力の流れが一箇所へと集約されています』
「へぇ……じゃあそこにドS女がいる、な」
『具申。前面に展開するエアカッターへ、このまま無抵抗で突入を推奨』
ちらりと土煙の向こうから迫るエアカッターを見る戦極。
普通なら、何を言っていると呆れるところだろうが、美琴の言葉に疑問を持たず、考えるまでもなく従う。
「了解だ、このまま進む。それで策は?」
『前方のエアカッターを抜いたのち、その奥にある瞳を斬り裂くのを推奨。直後、魔力波の移動を確認後、臨機応変に対応します』
「……よし、それでいこう。頼むぜ美琴」
美琴はそれに頷くと、姿が幻のごとく掻き消える。
それを尻目に、体に腐臭ただよう風をうけ、目的の瞳――イリーを目指す。
まさか土煙の向こうから戦極が飛んでくるとは思わず、勝ち誇るエカテリーナ。
勝利を確信し、傀儡となった王の残骸へと命令する。
「こんな子供だましの煙幕で、このわたくしが見失うとでも思ったのですか? だから下等種と呼ばれるのですわ! ボケッとしていないで、おまえは下等種を探しなさい!」
「グルルルル……」
王の残骸が残った左腕で土煙を払った瞬間、手を硬質で大きいものがガツリと当たり、そのまま背後へと飛んでいく。
それが何かが分からず、首だけでそれを見て気がつく。
硬質なものは石の塊であり、その上に憎き敵が乗っていたのだから。
「グルオオオオ!」
「どうしたのですか傀儡? そんなに慌てた声をだして、情けないないですわねぇ」
「じゃぁぁ、オマエも情けない声を出してもらおうじゃねぇか?」
「ハァ? ……えッ!? どうしてここがッ!!」
戦極は右膝立ちになり、悲恋を肩に担ぎあらわれる。
濃密な土煙が溶けたように穴を開け、ついにエカテリーナを狩るものが飛来した瞬間だった。
それに苛立ち状況を確認しようと、王の残骸を使い煙を晴らそうとするが。
「そう焦るなよ、今すぐ行くぜ。ジジイ流 断斬術! 羆破斬!!」
羆破斬――背後より迫る羆にカウンターで真っ二つにする、乱暴で粗野な業。
それが今、悲恋の妖気をふんだんに使い真の力を開放する。
戦極は走りながら左回りに体を回転させ、そのまま妖気で強化した足でジャンプ。
さらに体をヒネリながら、横一文字の鮮やかな紫色の斬撃を放つ。
だがその斬撃、よくみれば〝ざざり〟と波立っており、鋭利さや繊細さなどは皆無。
ゆえに斬るというよりは、ぶち切ると言う表現がただしい。
そんな乱暴で粗暴な斬撃は、迫るエアカッターにぶち当たった瞬間、ソレが弾け飛ぶほどの威力であり、本当の狙った場所へと吸い込まれる。
戦極が狙った場所……それは石畳の床であり、しかもこの部屋の石畳は幅が広い。
自然石ゆえ形はまばらだが、あえて直径になおせば一メートルはありそうな物が並ぶ石畳へ羆破斬は喰らいつく。
瞬間、石畳はくだけ始め、地面から弾け飛ぶ。
弾け飛ぶ石の一つが、戦極へ急速に迫る。
そのなかの一つに戦極は飛び乗り、アシッドランスが巻き起こした煙の向こう側へと、口角をあげながら悲恋を右肩に担ぎ持つ。
悲恋が一瞬淡く光ると、そこから薄く透けている娘が戦極の後ろへと、静かにあらわれささやく。そう――美琴である。
「で、ヤツの場所はわかったか?」
『肯定。骨ホネに刻まれた瞳から伸びる魔力線。エアカッターが出現する瞳。巧妙に隠されていますが、それらから魔力の流れが一箇所へと集約されています』
「へぇ……じゃあそこにドS女がいる、な」
『具申。前面に展開するエアカッターへ、このまま無抵抗で突入を推奨』
ちらりと土煙の向こうから迫るエアカッターを見る戦極。
普通なら、何を言っていると呆れるところだろうが、美琴の言葉に疑問を持たず、考えるまでもなく従う。
「了解だ、このまま進む。それで策は?」
『前方のエアカッターを抜いたのち、その奥にある瞳を斬り裂くのを推奨。直後、魔力波の移動を確認後、臨機応変に対応します』
「……よし、それでいこう。頼むぜ美琴」
美琴はそれに頷くと、姿が幻のごとく掻き消える。
それを尻目に、体に腐臭ただよう風をうけ、目的の瞳――イリーを目指す。
まさか土煙の向こうから戦極が飛んでくるとは思わず、勝ち誇るエカテリーナ。
勝利を確信し、傀儡となった王の残骸へと命令する。
「こんな子供だましの煙幕で、このわたくしが見失うとでも思ったのですか? だから下等種と呼ばれるのですわ! ボケッとしていないで、おまえは下等種を探しなさい!」
「グルルルル……」
王の残骸が残った左腕で土煙を払った瞬間、手を硬質で大きいものがガツリと当たり、そのまま背後へと飛んでいく。
それが何かが分からず、首だけでそれを見て気がつく。
硬質なものは石の塊であり、その上に憎き敵が乗っていたのだから。
「グルオオオオ!」
「どうしたのですか傀儡? そんなに慌てた声をだして、情けないないですわねぇ」
「じゃぁぁ、オマエも情けない声を出してもらおうじゃねぇか?」
「ハァ? ……えッ!? どうしてここがッ!!」
戦極は右膝立ちになり、悲恋を肩に担ぎあらわれる。
濃密な土煙が溶けたように穴を開け、ついにエカテリーナを狩るものが飛来した瞬間だった。
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