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7話 王族の食事会に誘われた

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「それでは、お父様。詳しい話はあとで」
「うむ」
「――ではカズマ様。お部屋まで案内致しますわ」

 侍女か城の人に案内させればいいものを、姫様は自身で俺をエスコートしたいらしい。
 彼女に案内された部屋は、俺が借りていた日本のアパートの一室が10個は入るほど広い。

「それでは、カズマ様。私は、護衛騎士が壊滅したことをお父様に報告しないといけませんので、誠に後ろ髪惹かれる思いですが、一度、席を外しますわ」
「そういえば、そうでしたね」

 ヴァルキリー隊だっけ? 
 むしろ部隊が壊滅したことは優先的に知らせるべき事だったのでは?
 そんなことを考えていると、微笑みをアーデルハイドさんは俺に向けてきたあと、部屋から出て行った。
 当然ながらリーシャさんも、アーデルハイドさんのあとを追って部屋から出ていく。
 一人部屋に取り残された俺は――、

「はぁー」

 深く溜息をついていた。

「失敗したな」

 思わず、その言葉が唇から零れ落ちる。
 アーデルハイドさんが、何度も確認してきたステータスの数値。
 常人の5倍はあると言っていた事から、おそらく――、いや! 間違いなくマークされたに違いない。
 何せ、芸術からは程遠い生活を送っていた俺でも分かるくらい調度品は高いと判断できたからだ。
 どうしてかと言うと金が所々に散りばめられた調度品が部屋の至る所にあるから。
 一応、常人の5倍はあると断定された身体能力で聞き耳を立てるが、とくに俺のことを監視しているような感じはない。
 あくまでも素人の俺から見たらと言った感じになるが。

「いまは、これ以上はどうしようもないか」
 
 俺は一人納得すると、部屋に置かれていた天蓋付きのベッドに靴を脱いだあと横になった。
 それにしても、今日は疲れたな。
 少し仮眠を取るとしよう。



――寝て起きたら、日本に戻っているという事もなく普通に起きた。
 しかも起きたら、ベッドの横には桃色のドレスを着たアーデルハイドさんが座って俺を見つめていた。

「――お、おはようございます」
「ごきげんよう、カズマ様。随分とお疲れのようですね」
「そんなことありませんから」

 どう答えるのが正解だ? と、思考しながらも俺は返事をする。

「そうですか。それは、良かったです。カズマ様、本日は私的なプライベートということで、お父様とお母様が食事をご一緒にどうですか? という事なのですが、如何でしょうか?」
「……ご馳走になります」
「はい!」

 断れるわけがない。
 たった今、疲れていないと答えたばかりだし。

「マリアンヌ」
「はい。姫様」
「カズマ様は、食事を一緒にとのことですので、そのように手配して頂戴」
「畏まりました」

 どこから現れたのか侍女というかメイドの恰好をした女性が頭を下げたあと、部屋から出ていく。

「えっと……彼女は?」
「マリアンヌと言いますわ。私の身の回りの世話をする侍女の一人ですが、私が公的な用事でカズマ様に付き添えない時に、代わりに身の回りの世話をさせていただきます」
「そ、そうですか……。俺としては、とくにそういうのは大丈夫ですが……」

 ずっと他人と一緒にいるとか疲れてしまうので、そういうのは遠慮させてもらいたい。
 その点、貴族や王族というのは慣れているのだろうが、一般人の俺はそうではない。

「ご安心ください! 人手に関しては、きちんと話し合って決めておりますので」

 そっちの事じゃないんだよな。


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